仮面ライダージオウ。

仮面ライダージオウが面白い。

ここ数年のニチアサはライダーより戦隊の方が面白くて、それは戦隊のほうが対象年齢が低いので制約が多いから、という仮説を立ててるんだけど、そして今シーズンの『快盗戦隊ルパンレンジャーvs.警察戦隊パトレンジャー』はマイベスト戦隊を更新するほどの面白さなんだけど、それはさておき、今回の仮面ライダー、ジオウは面白い。

主人公・常磐ソウゴは「王様になりたい」と公言する、底なしの善人の高校生。周囲には妄言だと思われているが、本人は無邪気に繰り返す。「おまえ、なんで王様なんかになりたいんだよ?」「だって、世界を良くするためには、王様になるしかないって思ったんだ!」

しかし物語は、常磐ソウゴが魔王・オーマジオウとなり、世界中の人々を皆殺しにする未来から始まる。最悪の未来を阻止するために、2号ライダー・明光院ゲイツとヒロイン・ツクヨミが未来からやってくる。常磐ソウゴが魔王になることを止めるため、常磐ソウゴを殺すために。

しかし、底なしの善人のソウゴと共に戦ううち、ゲイツとツクヨミは、ソウゴが本当に魔王になる男なのか、本当にソウゴを殺すべきなのか、その確信が揺らいでゆく。

常磐ソウゴは、未来で魔王となった自身の腹心ウォズに(ゲイツとウォズwww)、時間を超えて「魔王となった自分自身」と対面させられる。一面の焼け野原のなか、ソウゴは未来の自分・オーマジオウから、自分が将来魔王になる事実を突き付けられる。

魔王は、もしおまえが魔王になりたくなければベルトを捨てろ、と告げる。戦う力は失われるが、魔王になる道は閉ざされる。常磐ソウゴは目の前で倒され傷つく人々の前で迷い、ついにベルトを捨てる。

ベルトを捨てて無力となったソウゴはもう戦うことができない。目の前の敵になすすべもないソウゴに、未来からソウゴを止めに来たはずのゲイツが、自らのベルトを渡す。ソウゴ、変身しろ!もしお前が本当に魔王になるなら、その時は俺が止めてやる!

というところで2018年が終わったのだが、相当いい感じだと思う。常磐ソウゴがなぜ王様になりたいのか、その詳しく具体的な動機はあまり触れられない。突然ベルトを手にして変身してもあまり動揺しない。全ては自分が王になるために当然だから、と思っている節がある。そのあっけらかんとした無邪気さと、オープニングで繰り返されるオーマジオウの虐殺シーンとのギャップ。

王になる、ということは、民のために犠牲を払うことを厭わない、ということでもある。きっとこの先、「多くの人を救うために、誰かを犠牲にできるか」という選択を迫られる展開があるだろう。

そして、ヒーローのアティチュードとはいつも、「誰も傷つけない」「全員助ける」ということだ。この普遍的なテーマが、今回の設定によって、さらに重みを増すことになる。

王になるということと、ヒーローであることは、いつか必ず矛盾するのだ。

そして本日、別の未来からやってきたウォズが、2号ライダーことゲイツにうやうやしく跪き、言う。

「ジオウを倒した我が王よ」

仮面ライダージオウ、久々に物語自体を楽しめるライダーになりそうだ。いまがピークにならないことを祈るばかりである。

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