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loves insectシリーズについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回はloves insectシリーズについてのnoteです。
メインは格子柄のジャガード生地をベースに、4匹の虫の飾りをつけたヘッドドレスです。
昔のお話、『虫めづる姫君 (The Lady who Loved Insects) 』から名前をいただいています。

以前からよくお話ししていることですが、私は国語の勉強が苦手でした。特に漢字の読み書きが今も自信がなく、漢字の多い日本史や古文や漢文が大の苦手でした。どんなに頑張って聞いても話についていけず意味がわからなくなり、当時はもはや日本人向いていなんじゃないかと思って授業を受けていました。 (そう言いながら英語も意味が分からず赤点三昧でした)
そんな中、『虫めづる姫君』というお話があるという話を何故かはっきり覚えています。
その人の事を考えれば考えるほど、ご本人も背景のことも知らないのに、なぜか愛おしくなって、テストでは解答欄に5つほど「虫めづる姫君」と書いてどれか当てようとしたような記憶があります。

私も姫様と同じく虫が好きです。本やドキュメンタリーなどで習性を知ることが楽しかったり、蟻塚を作るスマホゲームをしたり、財布にハナムグリがついていたりと、結構身近にいる存在であります。
特に甲虫などの固い虫が好きで、ブランド開始より虫モチーフのものを作りたいなと考えていました。それが商品として形になった時はとても嬉しかったです。

このヘッドドレスは「姫様のために作ったヘッドドレス」をコンセプトにしています。身なりにあまり関心のない姫様とも、虫や私の大好きなおしゃれを通して交流ができたらいいなと思い、大好きな虫さんといっしょにお出かけできるファッションアイテムを考えました。
虫の飾りはブローチピンで取り外しができる仕様にし、気分に合わせてヘッドドレスのアレンジを楽しんだり、ブローチとして好きな子とお出かけできるように作っています。
また、昔のお召し物に合わせやすいよう、格子柄のジャガード生地を使用、フリルは三角が連なったものを飾り、刺繍のブローチやヘッドドレス全体を長方形にするなど、沢山の「直線」の要素で構成しました。

カラーバリエーションは黄・橙・鼠・黒の4種です。
それから数量限定でブレスレットを金と黒の2色販売しました。

loves insect ヘッドドレス

ヘッドドレス本体は格子柄のジャガード生地を使用しています。鮮やかな黄色と橙色は屏風や柑橘を想像させてくれます。
この周りを小さな三角の連なるような控えめのラメレースで囲っています。
プチエクランエトワールでちょくちょく使用しているもので、ラメが華やかなのにボリュームの控えめ加減が気に入っています。生地の柄をよりよく引き立てる名脇役のような、頼もしい存在のレースです。
このレースにもカラーバリエーションがあり、それぞれの生地に合わせて色を選んでいます。 (綺麗なので多色買いしながらわくわくしていました)

鼠色は上の二色と対照的に落ち着きがあり、肌なじみの良いカラーです。ほんのり紫味もあったり、ゴールドの線との兼ね合いか冷たさを感じたりで素敵な色に惚れ惚れします。計画当初は黄色と橙のみでしたが、私の好みでラインナップに加えました。
飾りの三角のレースは色の近いベージュ系を選びました。

4色目の黒はシリーズが出来た1年後に発売しました。刺繍の部分と同じジャガード生地を使用し、アイテム全体により統一感のあるデザインになりました。
この黒いジャガードは生地の状態で手に取ったとき、やわらかくてふっくらした触り心地です。強い黒×華やかな金を組み合わせているため鋭い印象になると思いきや、なぜかやさしい雰囲気になりました。おそらくこの生地の質感によるものが大きいのではと考えています。
三角のレースは「ゴールドよりも数段黒いゴールド」を選んでいます。

ヘッドドレスのサイドには左右2匹ずつ、合計4匹の虫のモチーフを飾りました。タマムシとカミキリムシ、ゾウムシとハナムグリです。
虫めづる姫君は毛虫を可愛がるシーンが印象的なお話ですが、ロリータファッションと毛虫の親和性を考えた時に私の表現力では難易度が高いと感じました。元々甲虫をアイテムにしたい強い気持ちがあったため、甲虫の中で姫様がきっと好きだろうと思う虫と私が好きな虫を選んでいます。
私はホウセキゾウムシや綺麗なハナムグリが好きです。大学のゼミ旅行で博物館に行った際は沢山の標本に心が躍り、ついつい単独行動して標本コーナーで時間いっぱい過ごさせてもらいました。

この博物館でした。とてもおすすめです。 (またぜひ行きたい)

刺繍は黒い細かな格子柄のジャガード生地にゴールドの刺繍糸を使い、1色のみで輪郭線を刺繍をしています。細かな種ではなく○○ムシとしての総称や属として多少のデフォルメ化をしながら図案を書いていきました。これを刺繍用のアイロンでくっつく紙(ピーシングペーパー)に書き写し、布にくっつけて刺繍をしています。

こだわった部分はそれぞれの足の角度やその長さ太さ、足の棘などです。私にとって人と虫の形としての大きな違いの部分は「手足」だと思っています。そのため特に足は図案の段階から何度も書き直し、納得がいく絵になるよう微調整しました。
刺繍は絵の上からしているとは言え、元の図案と多少のずれは生じます。足の先っぽや棘は一番最後、ピーシングペーパーを全て取り除いた後にバランスを見ながら慎重に刺繍しています。

虫の刺繍の周りは四角く飾りを付けています。レース?と言ってよいのか、少し硬めの質感のゴールドの飾りテープで囲みました。 (固いためこの縫い付けが地味に大変した)
カミキリとタマムシは四角のサイズが他二つよりも一回り大きいため、両端に細かい黒のラッセルレースをつけて少しだけ強調させました。
ラッセルレースについては普段から私は上手く使いこなせる自信がなく、難しい素材だと感じてつい避けてしまいます。しかし、本アイテムのコンセプトが少し挑戦的なことから、せっかくなので一つ冒険してみることにしました。

この飾りでのこだわりポイントはヘッドドレス本体への飾りよりも少し華やかにしたことです。自身が着飾ることそれ自体よりも、華やかに飾った虫さんを身につけることの方が喜んでもらえるだろうと思ってこの形になりました。

アレンジ例1
アレンジ例2
虫さん無しだととてもシンプルになります

着脱はリボンのタイプを選択しました。私自身がいつも洋風のアイテムを作っており、和風のキリっとしたアイテムの中に少しだけ洋風でやわらかい要素を入れたいと考えてリボンで結ぶタイプとしました。
リボンを結びなおす姫様を想像してちょっと可愛いなとも思ったりします。

ブレスレット

可愛いスカラベのチャームが手に入り、数量限定でなにか作ることにしました。
姫様にもし何かを贈るとしたらを考えた時、いつでも虫を眺められるアイテムが嬉しいだろうと思いました。ブレスレットは視界に入りやすく虫さんを可愛がっているときにも見えるため、気分が上がるんじゃないかと想像してニマニマしてしまいます。

合わせたビーズはチェコガラスが中心です。
・丸は金箔や金のスプレーを少し吹きかけたようなビーズ
・少し潰れたボタンもしくはそろばんのコマ?のようなビーズは全体が透明で通し穴の部分だけ金または銀の色付けがされています
・沢山使っているやさしいカクカクは1つのビーズ内で色の濃さがグラデーションになっているものです
これら3つのガラスビーズと、エンボスが入ったような柔らかい四角形のメタルビーズを合わせています。 (ブランド内でよく出てきます)

もしかしたらブレスレットの販売はこのアイテムが初めてかと思います。全部が単体でも眺めていられるほどお気に入りの材料で作りました。

アイテム裏話

積極的にお伝えしている話ではないですが、ヘッドドレスのブローチを裏返すとそれぞれの虫の名前が書いてあります。

標本に添えられているラベルをイメージし、生成色のラベルにそれぞれの虫の名前を英語で記しました。購入後に時間が経ってもどれが何虫かわかるようにしたかったためです。
実はこの英語のラベルが、和風なデザインのヘッドドレスに英語の商品名をつけた理由でもあります。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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