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rose milk シリーズについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回はrose milk シリーズについてのnoteです。
薔薇の小さな刺繍と、ミルクに見立てたバロックパールのシリーズです。

私は材料買い出しに行くとついつい人工パールをじっくり見てしまいます。中でもバロックパールを見るのに費やす時間は多く、自分でもかなり好きなんだなと思います。
樹脂製のバロックパールは淡水パールの歪さを表現したものが多いそうです。自然に出来た形をわざわざ人工的に作ることに私はなんだか美学を感じてしまいます。各社・一つ一つのサイズ・デザイン案で自然のパールを沢山観察して、試行錯誤されて出来たんだろうなと想像するととっても愛おしい材料に感じます。
樹脂で作られたものはコスト面が優れているのみでなく、一粒ずつの重さが軽くなっています。いい意味で見た目からも重さを感じないため比重の小さい布系の素材と合わせても浮いた印象にならず、そのことも私にとってとても嬉しい発見でした。

薔薇の刺繍についてです。以前デザフェスで後ろの壁に飾るために刺繍の絵を作りました。そのうちの一つは秘密の花園がテーマで、小さな薔薇を沢山刺繍しました。

ホットピンクと表現するのが近い、満点の可愛さの中に少し強さも感じるような色をメインに、くすみのある落ち着いたピンクや、白に近く赤みと青みのバランスがちょうど良い薄ピンク、ワインのような少し青みのある赤などを使用して秘密の花園の門を彩るお花の刺繍をしました。

沢山薔薇を咲かせていく作業がとても楽しかったため、またやりたいなと思っていたのが本作品が生まれた最初のきっかけです。
絵では黒いジャガード生地をキャンバスにしていましたが、今作では生成色、又は紅茶染めをした色のハーフリネンに刺繍をしています。
当然のことではありますが背景の色が変わると色の印象がまた違って見えるためカラーリングは本当に面白いです。

このシリーズでは生地やレース本来の生成色と、それらを紅茶染めしたバージョンのものも作りました。
紅茶染めは十八歳頃、初めての一人暮らしをしていた頃にマイブームでした。
当時本で見て「布って紅茶で染めることがあるの!?」と衝撃を受け、一口しかないコンロを使って染めてみました。
まず紅茶を淹れまして、紅茶を飲みながら本を何度も読んでから実際にレースを染めてみました(初挑戦はたしか今回と同じくトーションレースを染めたと記憶しています)。本当にあたたかい紅茶色に染まったものだから楽しくなってしまい、またレースを買って染め、布を買って染め、と楽しんでいました。香りが良いので癒されるのも好きなポイントでした。

そんな紅茶染めを10年以上ぶりにやってみたら一回で理想通りに上手くいって「私ってば大天才!」なんて自画自賛しています。

今回の紅茶染めではしっかり色を入れるために色止めの他、一定時間煮ています。そのため染め上がり後は細いレースたちが紐のようにしわしわで、染めること自体よりもレースをアイロンで伸ばしていく作業に苦労しました。

私は以前は夏も冬も冷たいコーヒーばっかり飲んでいました。ゆっくり考えることも大切な今の活動をはじめてからはお茶自体の香りや温度も楽しめるようになり、徐々に紅茶を飲む割合が高くなっています。(あとハーブティーですがレモングラスやカモミールティーも好きになりました)
紅茶染めをした生地やレースへは「バラの香りのする紅茶」をイメージできるように色を合わせていきました。

先程の刺繍の絵の方でも使用したピンク達が再び大活躍。ホットピンクと薄ピンク、ホットピンクとくすみピンクの2種類を作りました。
葉っぱはほんの少しくすみのある暗めの緑色を選びました。この色はプチエクランエトワールで一番多く使っている緑色です。黒〜白、生成りや茶色など特にベーシックな色との相性がとても良くお気に入りの色です。

反対に生地そのままの生成り色のバージョンでは、水彩画をイメージした少し冷たい印象の配色を考えました。

こちらは先に葉っぱの色から決まりました。深みと青みのある、でも少し薄まったような緑色です。
それから薔薇は薄紫と黄色、薄紫と赤紫の2パターンにしました。
緑と薄紫に少し青みがあるおかげか、黄色や赤紫と合わせた時にその冷たさが立ったように感じています。

2色ずつ、計4つのカラーバリエーションをつくることでシリーズとしての世界観をしっかり出すことができました。私自身もコンセプトを感じながら取り扱っています。

バロックパールの色は青みのある白とほんのり暖かい白が選べました。
私は生成りベース、紅茶染めベース共に青みのある白を選択しています。

生成りベースでは刺繍で表現した冷たさとの調和を取るため、全体的に温かみのある紅茶染めではパールの青みをアクセントにするため、この選択としました。
また、私の感覚ですがミルク・牛乳は少し冷たい白の印象があったのも理由の一つです。牛乳瓶に入っていたからか、パッケージに寒色が使われていることが多いからなのか、日常の何気ないイメージが反映されていることに記事を書きながら気付いたりもします。

rose milk ヘッドドレス

rose milkヘッドドレスは本体も飾りリボンもほぼ全てトーションレースからできています。

プチエクランエトワールでは今までトーションレースを使うことがあまりなく、おそらく初期に発売したgardeningシリーズ以来かも知れません。

ヘッドドレスのセンターラインと、リボンクリップは中央のリボンを束ねたレースにトーションレースを使用しています。

普段から天然繊維よりも化学繊維を好んで使うことが多かったのもあり「せっかくの機会なので沢山使おう!」と思っていたら全部がトーションレースになってしまったという、ちょっと極端なエピソードを持つヘッドドレスです。

並べて写真撮ったらテンション上げ上げです

本シリーズのキーとなっている薔薇の刺繍・バロックパールはサイドの飾りリボンに集めました。

ループ部は幅の広いレースをダブルリボンに、たれの部分は細いレースを2重にして垂らしています。細いレースは3つ折りで端処理をしているのですが、かなり細かくて手持ちの一番細い針で縫っています。個人的にアイテム内で一番大変な作業でした。
小さな刺繍モチーフの周りに小さなパールをぐるっと縫い付け、リボンの中央に飾りました。薔薇とミルクが混ざり合っているような印象になり、モチーフが出来上がるたびに気分が上がっています。

リボンの飾りはブローチピンでつけ外しができるようにしました。同系色のお洋服につけても可愛いだろうなと思っています。

ヘッドドレス本体は中央がはしごのトーションレースをベースにし、その上と下にフリルタイプのトーションレースを重ねました。プチエクランエトワールのヘッドドレスとしては少しボリューム感のあるものになっています。横から見るとフリルの層がたまらなく愛おしいです。
一番下の大きいフリルレースも3つ折り処理をしているのですが、こちらは綺麗に折りやすいためさっきのレースより楽しく縫っています。

センターラインのはしごにかけたリボンはシルクのものを使いました。実は刺繍用のリボンとして売られているもので、控えめな光沢と薄さ・柔らかさがレースと相性抜群だったためこちらを選んでいます。発色も綺麗で今度は刺繍で使えたらいいなと思っています。
生成りレースのバージョンでは紫と緑、いずれもとてもとても薄い色のものを使っています。水彩画をイメージした配色のため薄めたような色も取り入れたくて選びました。レースの自然な色とも馴染み、とても気に入っています。
紅茶染めバージョンでは反対に濃いめ緑とローズピンクを選びました。こちらも配色テーマに沿い、「薔薇の香りのする紅茶」の表現を手伝っています。こっくりカラーのリボンと紅茶色のレースが合わさり、温度を感じるような印象に仕上がりました。

rose milk イヤリング/ピアス

ヘッドドレスでは薔薇とミルクが混ざっているイメージでしたが、耳飾りは混ざる前をイメージし、ミルクの1滴をはっきりさせるように考えました。

刺繡モチーフはヘッドドレスと同じサイズで作っています。ゴールドのお皿を利用し、その縁取りで輪郭をつけています。こちらをトップとし、ボトムに大きすぎない丸みのあるバロックパールを付けました。

パール下部にはピンの抜け防止にゴールドのビーズを付けています。こちらも私がよく使っている花形のものですが、今回はテーマもあってかまるでミルククラウンのように感じアイテムをより好きになった部分です。

今回はrose milkシリーズについてのnoteでした。製作過程の写真が結構残っていたので最初に出来上がった時の気持ちを思い出しながら書くことができました。
今回もお読みいただきありがとうございました。

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