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女の側にある。

 日雇い肉体労働に女の姿がある。筋骨隆々とは対極の華奢だが、荷を担ぐ影に怯みも迷いもない。強靭そのものだ。ひ弱な男と比すると期待をはるかに上まわる躍動がある。額の汗は作業で舞い上がる埃を呼び汚れ、日焼けを覆う黒さを顔に広げ、だからよけいに時折りこぼれる笑顔の歯並びが光輝を際立たせていた。
 女は男以上だった。男女同権を謳う前に、しかとその目を見開いて現実を受け止めてみるといい。男女の間に線など引かれてはいない。肉体労働に適した人材を希望者の並び順に掬い取れば、そこは求めらる能力で埋まり、男ばかりの社会というものを形成してなどいないのだ。
 女は女でありたいと願うは女の側にある。綺麗に装い、化粧を施し、チヤホヤされたいとも考える女は女の側にいる。女は男と同権だと主張しながら、女は男に対して特権を使いたがる。
 男女同権か、女性特権か。
 女の敵は女の側にある。
 

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