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「2013年のmRNAワクチン臨床試験で、生存者は20万人中で5人未満」は根拠不明

[2023/4/23更新]
「2013年のmRNAワクチン臨床試験で、生存者は20万人中で5人未満」は根拠不明。当証言に該当するような臨床試験の記録は過去に存在しない。証言内容は時期や結果から考えて真偽が疑わしい。

【解説】
 2013年に実施したmRNAワクチンの臨床試験(第Ⅲ相,20万人参加)に参加したと言う被験者が「全員が心停止を経験し、現在の生存者は5人未満、自分はその生存者のひとりだ」と証言した動画がネットで拡散されたもの。 世界初のmRNAを使用した薬剤の臨床試験記録は、2013年頃に2件あるが、いずれの結果も安全性に問題はない。まだmRNAワクチンが開発途上の時期に、20万人参加の第Ⅲ相臨床試験が行われたという話は、世界初の臨床試験が2013年,被験者101人 ,第1相臨床試験であることを考えると真偽が疑わしい。単に遺伝子組換の抗SLE剤の臨床試験を勘違いしている可能性もある。仮に勘違いだとしても、常識的に考えて、承認後も長期安全性試験は行われるので、被験者の殆どが死亡するような事態であれば、何かしらの記録が残る筈である。

◾️動画と拡散したブログ
“IN A 2013 TRIAL OF OVER 200,000 PEOPLE TESTING MRNA-BASED MEDICATION - LESS THAN 5 ARE ALIVE TODAY”
https://www.bitchute.com/video/tbtePmwJU75S/
「m RNAワクチン10年生存率0.002%」
https://ameblo.jp/yoshi1020nihei/entry-12759295702.html

◾️過去のmRNAワクチン開発と臨床試験の記録

世界初のmRNAを使用したワクチン, 薬剤の臨床試験記録は以下の2件である。

◾️世界初ヒトへのmRNAワクチンの臨床試験
(2013/10〜2016/1)
狂犬病ウイルスをコード化したmRNAワクチンの第Ⅰ相試験。ウイルス抗原に対してブースト可能な機能的抗体を誘発すること、当該ワクチンは一般的に安全であることが示された。
・LANCET論文
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)31665-3/fulltext
ClinicalTrials(No.NCT02241135)
当試験の長期安全性試験
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02241135?cond=NCT02241135&draw=2&rank=1

◾️世界初mRNAワクチンのフェーズⅢ臨床試験
(2012/11〜2018/4)
転移性腎細胞癌RNAとCD40L RNAの自己免疫療法剤の第III相試験。免疫応答との相関は認められたが、OS(全生存期間)を改善できなかった。試験薬に起因する重篤な有害事象は現在までに報告されていない。
・ASCR論文
https://aacrjournals.org/clincancerres/article/26/10/2327/82423/Results-of-the-ADAPT-Phase-3-Study-of
ClinicalTrials(No.NCT01582672)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01582672?cond=NCT01582672&draw=2&rank=1

【追記】
ワクチンの有効性・安全性については自己でご判断ください。当方は、皆さんが正しい情報を基に判断できるよう、デマの指摘に努めます。