見出し画像

作品とグッズの値付けについて

こんにちは金曜お昼になりました。手芸作家兼若手イラストレーターの展示をメインとしたギャラリーを運営している大図まことです。イラストレーターと手芸作家に向けた「仕事とお金の授業」16回目となる本日のテーマは「作品とグッズの値付けについて」です。



はじめに

予算が決められたクライアントワークとは別に自分が描いたイラストや手芸作品を個展やイベント、雑貨店などへ卸して販売するときの値付けは皆さんどうしていますか?自分が作ったものに値段を付けるのって難しくないですか?私は作家活動を始めたばかりの頃はとても迷いました。高く設定して売れなかったらどうしよう、安くしたら沢山売れるかもしれないけど利益は少なくなりそうなど悩みがつきませんでした。

今日はこれまで20年近く作家活動を続けてきた中で決めた自分なりの値付けの基準とイラストレーションを中心としたギャラリーを6年間運営してきた中でご一緒する作家さんにアドバイスしていることをベースに書きたいと思います。参考になれば嬉しいです。

目的は何か?

まず作品でもグッズでも値付けをする際は何が目的なのかを明確に決めておくことがとても大事です。一番わかりやすいのは対価として利益を得ると言う目的です。このnoteを読んでいるほとんどの方がそう考えて値付けをしていると思います。

しかしながら利益が無くても(少なくても)作ることや発表することが目的で安価な値付けをする方も沢山いらっしゃいます。どちらも良いと思いますが今回は前者の方に向けて話を進めます。後者の方はそういう考えもあるのかと読んでみてください。

何をどこで誰に向けて販売するのか?

先日浅草を歩いていた時に行列を見かけました。甘い香りが食欲をそそるたい焼き屋さんです。どうやら並んでいるのは外国人観光客のようです。皆さん物珍しそうにニコニコしながら自分の順番はまだかまだかとたい焼きが焼かれている姿を覗きながら並んでいます。価格を見ると1つ350円と書いていました。日本人からしたら流石に高過ぎなのではと思う値付けですが飛ぶように売れています。

そんなにおいしいたい焼きなら食べてみたいと私も並んで購入してみました。普通に美味しかったです。笑
けれどもう一度買うかというと正直微妙です。

このたい焼き屋さんは浅草という観光地でターゲットを外国人観光客に絞りたい焼きという日本ならではのスイーツを販売することで日本人からしたら高い値付けでもビジネスを成り立たせていたのでした。同じ日本でもスーパーで350円のたい焼きはたぶん売れませんよね。

私たちが作品やグッズを販売するときの値付けにも参考になりそうです。

グッズの値付けの基準

アクキーやTシャツなど業者へ発注して作るグッズの値付けはとても簡単です。目安としてよく原価の3倍と聞いた事があると思いますが私もそれでいいと思います。もう少し詳しく書くとお店などの仲介業者を介してお客さんに販売する際は3倍付けないと利益が出ません。おおよそ販売価格の3割~5割が手数料として仲介業者に支払われるからです。また業者へ生産を依頼するときに忘れがちですが全部売れるとも限りません。大量に作る場合は消化率も加味して値付けをする必要があります。
逆に原価の3倍付けて高過ぎると感じた場合はそもそもそのグッズを作る必要は”ビジネス”としては無いのかもしれません。いくら利益が欲しいのかやお店に卸すのかお客様へ直販するかにもよるので一概に言えませんが目安として原価の3倍というのは頭に入れておくべきです。もちろん3倍以上付けても売れると思う場合はその価格を付けてください。例えばステッカーが1枚20円で作れたとして3倍の60円にする必要は無く10倍の200円で売っても良いということです。あくまで3倍は目安です。

作品の値付けの基準

グッズとは異なり原価を計算しづらい作品の値付けはとても難しいです。イラストレーターであれば紙とペンに時給をプラスして値付けするのでしょうか?手芸作家の場合は材料費に時給をプラスするのでしょうか?そんなのおかしいですよね?

ピカソが路上でファンにせがまれて絵を描き手渡す際、「この絵の価値は100万ドルある」言った有名な話があります。ファンが「たった30秒なのに?」と尋ねるとピカソは「30年と30秒だよ」と答えたそうです。

私はピカソではありませんが自分の価値を一番最初に決めるのは自分だと思っています。なので作品の値付けをする場合は原価や掛かった時間などは考えず自分がこうだと思った値付けをするようにしています。すごく時間が掛かって出来上がった作品より、パパパッとアイデアがひらめいて出来上がった作品の方が良いこともありますよね。これまでの経験や技術力をしっかり値付けに加味していきたいです。

なんてかっこいいことをドヤ顔で書きましたがそもそも始めたばかりの作家の場合もっとわかりやすい基準が欲しいですよね。私がギャラリーでご一緒する作家さんから作品の値付けのアドバイスを求められた場合はまず自分と近しいキャリアの作家の値付けを参考にしてはどうかと答えます。それがきっと一番わかりやすいですよね。

【参考】私が運営するギャラリーの通販ページには過去の展示作品のアーカイブが残っているので是非参考にしてください。

活動を継続していき人気が出てきたらキャリアに合わせて徐々に値段を上げていくのが一般的です。いきなり価格を上げたり下げたりすのは買う側の信頼を失うのでよした方が良いと思います。これはクライアントワークにも同じことが言えますよね。

その作品は安いから売れるのか?高いから売れないのか?

先日ギャラリーに作品を持ち込んでくれた作家が本当はもう少し高くしたいけど不安なので価格を抑えていると話してくれました。あえて価格は聞きませんでしたがお客さんは作品を買う時に安いからといって買うのでしょうか?高すぎて買えないということはあると思いますが私の場合は安いから欲しいでは無く、欲しいから買いたいと思います。生活必需品では決して無いのでこう考える方は少なくないと思います。

人によって高い安いの価値基準は様々です。もし自分以外の誰かからその値付けについて意見を求められたときしっかり答えらえる”意味付け”が出来ていると悩む事が無くなるかもしれません。

浅草のたい焼き屋さんがなんで1つ350円もするのに沢山売れているのかの意味がなんとなくわかりましたよね。
それでは皆さん楽しいゴールデンウィークをお過ごしください♪

宣伝!

ヒダカナオト個展「うたうたう森」

私が運営するギャラリーでは本日5/3(祝・金)から26(日)までイラストレーターヒダカナオトさんとべつやくれいさんの個展を開催します。
キャリアも作風も異なるお二人の展示はきっと値付けの参考にもなる所が沢山あると思います。是非遊びに来てください。

べつやくれい個展「べつやくストア」


▼個展の詳細はこちら

この記事が参加している募集

つくってみた

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?