格付けされる勇気

私がもっとも(ほとんど唯一ともいえる)影響を受けたアーティストが、彦坂尚嘉である。しかし彼の影響は時に複雑な感情を伴う。臆面もなくいってしまえば、エディプスコンプレックスみたいなものだ。誰かを敬遠しながらも、その人について詳しい、という。
彦坂氏は美術家として優れた人物であることは間違いないが、時にかなりグロテスクな内容を”投稿”することもある。「イニシャルトーク」と称して、(内心軽蔑している)熱心な信徒たちを公然と揶揄するなど。かつて私もその「贄」の一人であったことを認めざるを得ない。
お馴染みの「格付け」でいうところの、私の人格は「ゾンビ」(およそ考えうる最低の格)。これにて私のアーティストとしてのキャリアは早々に終焉を迎えたのだった。さようなら、現代アート。
ある彦坂氏の高弟の一人なんぞは、その話を聞いて「あの人についてきてよかった」と、鑑定を受けた本人の眼前でしみじみと心情を語っていたが、まあ、つくづくグロテスクな業界である。
改めて、彦坂尚嘉先生、ありがとうございました。

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