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「頭がいい」とはどういうことか ――脳科学から考える|読書メモ(6)

「頭がいい」ということはどういうことなのか、その内容・構造について、ひとつひとつ章を追って確認してきました。まずは脳の原理がどうなっているのかの機能の解説、次に身体性の必要性、そして感受性と創造性のダイナミズム、と見てきました。

「第7章 人の気持ちがわかる」では、これまでに提示されてきた数々のタームが統合されて、ついに脳科学の一丁目一番地である「心はどこにあるか?」に迫っていきます。全部抜粋したいくらい、すっごくいい文章です。この章だけでもいいから本屋で立ち読みしてほしいくらい(暴論)

読んでいるうちに思い当たることがたくさんありすぎて、うまくまとまらないですけど、結局、人の気持ちがわかるということは、自分の気持ちがわかるということなのです。人それぞれ、この”気持ちの理解力”、解像感と言い換えてもよいが、そこに差がでてくる。

まえにとりあげた話題の繰り返しになっちゃいますけど、同じようなことを言っても、人々に刺さる人と、そうではない、その他大勢の普通の人とに別れていきますよね。

みんな心の底では同じようなこと思っているんだろうし、みんなと同じような発言をしている人はごまんといるわけです。人のやらないことをしない限り目立てはしないですし、人と同じことしてもたいがいスベるだけ。なのですけれど、同じような発言をしていても、只々寒いだけの人もいれば、世間の喝さいを浴びる人もいる。これってなんでだろう?

こういうのは才能という他なく、狙ってできるものではない。この話の核心は自分の欲望を素直に表現できる人と、できない人がいるという、とくべつな資質の違いが関係していると思います。自他の心と心の距離感を測るレンズが人一倍、透明というのか、みんなの心を同時に開かせる、そのようなギフトがあるようなのですね。

本章では情動知性という呼び方をされています。一応、その知性の磨き方についての処方箋も書いてます(ネタバレになるのでここでは詳しく書きませんが)

先々月あたりからチューブの毛内先生のチャンネル「脳研究者・毛内拡の社会に役立つ脳科学」をよく見るようになりました。やや朴訥な喋り方ですが、話だすととどまることなく、いくらでも興味深い話が湧いてくる。一見、ほのぼのとした雰囲気を纏っているが、よくみると眼光は鋭い。

考えていることがちょっと学者離れしている。天性のコミュニケーターと思います。ビジネスマンを相手に、社会人向けのゼミを開催されていたり、チューブのチャンネル登録者数も順調に伸ばしてますし。すでに本書で書いていることを、ご本人は実践されている、という見方も可能でしょう。

<続>


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