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【本】2024年4月に読んだ本

ぴかぴかに晴れた4月25日の八重桜。
4月は、とにかくやりたいなと思っていたことをぐんぐん叶える月だった。

そうしたら、4月下旬から5月初旬くらいになってから、やる気がむきむき。
自分の課題に真っ直ぐ目を向けて、解決や知見のために本を読む気力があったり、自分の世界観の中で読書以外にやりたいことがたくさん出てきて、なんだかこの感じ久しぶりだなあと嬉しい。

嬉しくて、いけるところまでいっちゃえ〜!とGWを駆け抜けたら、まあ心が小石のようになりまして、そのあたりうまい塩梅…。

自分の機嫌は自分で取ると決めているが、「心が小石です」と、ぽろっと友人にこぼしたら、「らしい表現で良いねえ」と言ってくれて、嬉しかった。
吐き出せばいいへの疑問とアンチテーゼ、自立心、疲れている類の言葉の攻撃力、全部飛び越えて嬉しくて、甘んじる自分や嫌われる自分が怖かったけど、むしろのびのびいられるということの実体験なのだった。





そろそろいい歳というけれど
恋愛の方程式って東大入試よりムズい
/ジェラシーくるみ



unlimitedさまさまである。Kindleのおすすめを巡回していたら見覚えのある表紙。ジェラシーくるみさま。

そろそろいい歳〜には、結婚の葛藤や妊娠の事実、資産形成のことが、おりゃおりゃ、ぐさぐさと書かれていて、いやでもそう、直視して内訳を出すなり、計画を立てるなり、意欲的になるなり、自分の手でもぎ取るものはもぎ取っていくis人生…と思わされる。総じてよかった。

そもそも自分で叶えられない願いを相手に求めるのはお門違いだ。今の自分にないものは、なくても十分生きていける贅沢品。どうしても我慢できない願望なら、自分で叶えてしまうほうが早い。

行儀作法を知らない自意識モンスターは気を抜くと暴れ出すので、自分の欲深さや浅ましさを観察し続け、自意識や嫉妬の手懐け方を覚えましょう。

↑承認欲求も然り・・・

恋愛の方程式~は、恋に強くなれたり、育み方、自尊心・自己肯定のあたりまで網羅。くるみさんの経験談からばしばし背中を叩いてもらえる。

知恵を養うためにいちばん大切なことは、どんな理不尽にも「なんとかする方法がある」と信じて模索する心構えです。


文にあたる/牟田都子



校正を行う自身の経験と共に書かれたエッセイ。校正の仕事にとどまらず、誰だって「間違う」ということ、そして、そこに目くじらを立てるのではなくて、相手へ示すのであれば余白を残しつつ、そして、正しいだけではないということを全体的に優しく感じた。

「言葉は読まれることで結実する」という文に、改めて本を読む気持ちがぐっとなった。


とんこつQ&A/今村夏子


相変わらず、ぞくっとさせてもらいました。目をつむりたい事々を暴かれずともああこの感じ…とストーリーが進む中で分かってしまうから、ぞくり。そして、そのざわざわ(主人公自身が気づいていないことも多い)を持ったまま、生活が続くことが、いい意味で「そんなものかもしれない」と思わせられる。日記を読んだ後の温度感と似てるのかも。


白山通り炎上の件/有手窓


河出書房新社刊行の文芸誌「文藝」編集部とソニー・ミュージック主催のmonogatary.comコラボ賞で大賞となった作品。

冒頭、なかなかエッジの効いたというか、文末の処理が歌詞的に感じたり、ふむふむ「最近」って感じだなと思っていたのが、中盤からのアクションシーン。え!そっちかいな!!

「ばかにされたくない」という気持ちが怒りとして輪郭を現した瞬間がバシッときた。

「みんな馬鹿にして、ばかにできる相手だからって心を許す、みたいな感じに勝手になって! ほんっと……ふざけんなよ……!」

全然自分の中でもまとまらないけど、私はこめかみのあたりが怒りで熱くなるのを感じて、そのかわりに恐怖が少しずつ失せていくのを感じる。私は怒っていた、多分ずっと。周りにも、自分にも。

へらへらしないと押しつぶされるけど、へらへらしてると軽んじられる。ムカつくな、気づくと口からこぼれていた言葉を笹川さんは静かに拾って、そうですね、ムカつく、そんなふうに低く囁いてくれた。

読了後、爽快感と共に、読み始めの自分の気持ちをぐりぐりっとやられて恥ずかしさと、それも込みにして、すごく面白かったな。

そして本作を原作とした曲をYOASOBIが作製するらしい。原作を全部読んでから曲が聴くって初めての体験。楽しみだな。


黄金比の縁/石田夏穂


言い回し最高のやつです。面白く読みました。作者が理系大学卒業とだけあって、主人公の数字・事実ベースの判断や思考回路に、うわああと個人的に大興奮。そういった理系の世界観をもっと出して、ずんずん突っ走ってください石田さま~!

こういう人の小説を読むとミクロな視点がマクロになったり、いったん冷静になる感じが得られる。臨機応変に使い分けたいというか。いやあ、いろんなものの引き出しが増えたり(知識というより、考え方)、豊かになる感じが楽しいなあと思う。はああ本もっと読みたい。

脳のお休み/蟹の親子


東京・下北沢にある「日記屋 月日」初代店長の蟹の親子さんによるエッセイ集。

日記本『浜へ行く』はゆっくり読み進めていて、気重たい感じを受けるけれど、それも生活と感じる文体が気になっていて、彼女の日記を通して私にも生活があること、続くことを思う。

本屋B&Bのイベントで蟹の親子さんと土門蘭さんのトークがあって、私はオンラインで参加していたのだけれど、よかったな。

人には大きな物語と小さな物語があって、日記で書くような小さな物語は、人から見られるイメージの大きな物語への復讐。

土門蘭さん

誰かの生をここにあったとさせる文。

私も興味がある。誰かの日常が見れた時にいろんな今があって、じゃあその人の過去に何があって、今ここで居合わせていて、未来があって。悲しかった時にはどうやって過ごしていて、どんなことに嬉しいのか。

自分が自分の形でいられるように生きていきたい。

蟹の親子さん

トークイベント最後の蟹の親子さんの言葉にそうだなあ、と、しんみりしてしまった。

お探し物は図書室まで/青山美智子

脳のお休みで、だいぶ心が揺さぶられたところに、こちらで心の調整をはかる。

5つのお話がたまに交差しながら、主人公達が希望を見つけて前向きに進んでいくようすが、こちらを優しい気持ちにさせる。優しいけど、ぐうんと背中を押してもらえるような。瀬尾まいこさんのような読後感。真正面からの優しさ。

個人的には、第三章の「太陽の目」(理性的に論理的に眺めて物事に明るい光をあて理解する)と「月の目」(感情や直感でそれを捉えたり結びつける)が協力しながら、どちらも否定せずに世界を受け取ることができる。という部分に惹かれる。

最近思うのは、寄り添うことと元気でいることの両立で、自分のフィジカル、メンタル両方大丈夫だけれど、lowでいたい時は、「元気」に眩しいパワフルさを感じてしまって、そういう方向ではなくて、誰かに寄り添いたい、自分に寄り添いたいなと感じる時なのかと思っていて。

「元気」でいると何か掬えるものが掬えなくなるんじゃないかという恐怖。誰かを、自分を否定することになるんじゃないかと思う自分がいる。だけど、具合が悪い状態にいたいわけではもちろんなくて。だから元気と寄り添うを両立できたらいいんじゃないかなって思っている。

繊細さんの幸せリスト/武田友紀


武田さんの「繊細さん」の本は、不安になると読み返しては救われることが多くて、この幸せリストも、うんうん頷けて、ずんずん進めるような言葉がたくさんあったので、本棚に追加。


繊細すぎるあなたの恋のはじめ方/斎藤芳乃


恋についての本を読むなんて恥ずかしいと思っていた節はあるけれど、もう同じ過ちは起こしたくないので。

大事なのは、自分の繊細さをネガティブに転じる前にポジティブに能力を使うこと。想像力はプラスに使っていく。

武田さんの本にも通じるところがあるけれど、自分の感性や直感を誰かに伝える中で、寄ってきてくれる人っているのだなあとちょっとずつ実感している。昔から、まわりの子たちとズレている意識はあって、でも自分の世界観は好きで、それを自分の中だけで楽しんでいたのだよね。誰かが介入すると「正解」が気になってしまって、傷つくのが怖かったのもある。でも表現しないとわからないこともあるんだなあ。


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