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どうせ2日で終わる日記-62-(最近読んで面白かった論文)【7/25-7/31】

まだ日付が変わっただけだから……

最近読んで面白かった論文

以前から稀にこの日記で読書感想文を書いていたが、今回はそれを論文に拡張しようと思う。
これまで僕が論文をあげなかった理由としては、別段まとめるほどではないというか、やや専門的過ぎるかなぁとか思っていたのだが、それはそれとして日々自身の分野と関係の薄い論文や、専門的であっても面白い論文なんかは沢山あり、自分が読む機会も多いので、読書感想文を拡張して項目を設けることにした。

……というのは建前で、ここ最近技術系の話題も踏み込むようになったので、備忘録的に読んだ論文も簡単にまとめられたらな、と思い始めたのが大きい。
ともかく、折角なのでここ最近読んで面白かった論文の感想文をここに並べる。
専門じゃないものも含まれるので解説は一切信用しないでもらいたい。ただ感想だけを受け止めてくれればそれでいい。


最近読んだ中で一番印象に残っているのはこれだ。
どちらかというと短報なので、すぐに読むことができる。

内容としては、イッテンアカタチという魚が海底に巣穴を作って生活しているのだが、その巣穴がただの巣穴ではなく、メインとなる穴の周りに浅めの穴が円状に配置しているのを発見した、というものだ。
もともとアカタチ類に関しては巣穴を作ることが以前から知られていたようなのだが、このようにまるでミステリーサークルみたいな幾何学的配置をしている巣穴というのは初めての発見らしい。

以前も、アカタチ類で巣穴の周りに穴が開いているという現象は報告されたようなのだが、その穴はカニの巣穴であって、アカタチの巣穴とカニの巣穴が交差するような構造になっていたそうだ。
今回発見されたのは非常にシンメトリーな幾何学模様であり、著者はこれは無脊椎動物には出来ないと推察している。

――というような論文の内容なのだが、やはりこういった知られざる生態の報告みたいなのは面白い。
僕自身が魚好きということも相まって、なんだか図鑑を夢中で眺めていた子供の頃のあの感覚を思い出してしまった。

こういう海底に生じる幾何学模様は、論文中でも触れられているが、アマミホシゾラフグのミステリーサークルなどが記憶に新しい。

実際のところ、魚はどれくらいの認識力を持っているのだろうか?
ちょっと前にホンソメワケベラという魚が鏡に映る自分を「自分」であると理解している、という論文が発表されたのは覚えている人もいるだろう。

つまり、自分を自分であると認識できるくらいの図形の把握が可能ということだ。
哺乳類でもこうした認識力には大きく差があるように、魚類にも当然そうした能力の差はあるだろう。
しかし、サメがダイバーとじゃれ合ったり、ウナギが完全に野生を失っていたり、コバンザメが餌が流れてくる場所を学習して泳ぐのをやめたりしているのを見ると、これまでの人間の想定以上の知能(ここでいう知能は、人間も持っているような思考力?的なもの)を有しているように思える。

知能に関して僕が迂遠な表現をしたのは、主に下の本の影響による。

この本については高校生の頃読んで、主張は覚えているものの細部までは覚えていないので、いずれ読み直した際にでもまた紹介したい。
まあ要するに知能というのを定義するのは難しいので、あくまでも人間の持つ能力に限定して考えた、というだけだ。

魚に関する研究というのは進んでいるように見えて実はまだまだ研究の余地がある。
実験でよく使われるような魚などはそれなりに詳しく調べられているが、我々の身近にいるような水産魚でさえ分かっていないことは多くある。
そういう状況である以上、水産重要種でもない魚の生態などは情報が一切ない、ということもざらだ。特に深海魚など、人が生体を観察することが難しい環境に生息する魚などでは顕著だ。
しかし、上で挙げたように多くの魚でこうした「知能」が見受けられる以上、他にこうした能力を持つ魚がいない、という主張をする方が難しい。
何よりハダカイワシが光を用いて複雑なコミュニケーションをしていて、シジュウカラのように文法を獲得していた、とか、ミドリフサアンコウが体の斑点模様で個体を識別していた、とか、そういったものがあると信じて研究した方が楽しいだろう?


なんだか後半は論文と関係なくなってしまったが、まあこんな感じで今後も不定期に論文紹介ができれば、と思っている。

それでは。

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