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おおい町の星空はどれくらい綺麗なのか?星空案内人(星のソムリエ®)・中塚一成さんに尋ねてみました。

こんにちは。地域おこし協力隊の張本です。

今年の秋、友人が大阪から遊びにきてくれた際に八ヶ峰家族旅行村に泊まりました。その日の夜空には天の川が流れていて、体が冷え込むまで眺めていた思い出があります。

今回は、そんなおおい町で星に詳しい星空案内人(星のソムリエ®)の中塚一成さんを取材しました。星空案内人(星のソムリエ®) とは、星空の楽しみ方を教えてくれる人のこと。ただし、誰でも名乗れるわけではありません。

「星空案内人資格認定制度」があり、資格の取得には星空観察や天文学、星空に関する文化の知識、そして技能が求められます。そんな中塚さんにおおいの星空のことや星の楽しみ方についてお話を伺いました。

中塚 一成 (なかつか かずなり)
星空案内人(星のソムリエ®)
名田庄出身。小さな頃からの天文好きが高じて10年以上にわたり若狭各地で星空案内の講師を務める。

おおいの星空はどれくらい綺麗?

オリオン座

――おおい町に移住し、星空のうつくしさに驚きました。星が綺麗に見えるのは町の光が少ないからなのでしょうか?

空が暗いと星が綺麗に見えるので、町の明かりが少ないことも大事な条件の一つです。その他にも、上空に湿気が少なく、空が澄んでいる。曇ったり、雨が降ったりせず、天候に恵まれる。暗闇に慣れていて、視力が良い。それら の条件が揃えば、安定して星空を観察できるでしょう。

実は、夜空の明るさを数値化する『令和5年度夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果について』という環境省の レポートがあります。値が大きいほど夜空が暗いことを示しています。

等級が19以上で天の川が薄っすらと見えはじめ、20を超えるとよく見ることができ、そして、21を超えると細部まで明確に確認できるという基準です。東京都の中心地であれば16~18程度であり、美しい星空で有名な長野県や鳥取県では21.5を超えることもあります。

――おおい町はどれくらいでしょうか?

2018年に名田庄の星空のデータを提出しはじめました。当時から20等級以上の地点として常連となっており、20.8や20.9といった数値が出ることが多いです。今回、偶然かもしれませんが、 令和5年度の夏の調査で21.7という結果が出ました。この数値は、20等級以上を出した108地点のなかでも上位2割に入るのです。

――全国的にも星が綺麗なのですね!

街灯を設置して夜を明るくし、人の生活を安全にすることは大切です。その一方で、夜が暗いからこそ、おおい町では美しい星空を眺められます。

国際的な非営利団体によって国内4番目の「星空保護区」に認定された大野市(南六呂師地区)の ように、たとえば 足元を照らしながらも上空には光が漏れない街灯を導入するなど、おおい町でも人の生活だけでなく星空も守っていく取り組みが増えていけば嬉しく思います。

「星空とは一期一会」

「プラネタリウム & おはなし会」で星空案内

――中塚さんが星に関心を持ったきっかけをお聞きしたいです。

小学生のとき、親 に買ってもらった天体望遠鏡で月を見たの がはじまりです。目で見るとのっぺりとしている月が、望遠鏡をのぞく とボコボコの表面であることが面白かったのです。

月のあとは木星、土星、金星と見ていき、「なぜ、星の色は違うのか?」「星には遠近があって3Dなんだ」と天文への興味が湧いていきました。そして、大人になっても興味は尽きず、10年ほど前から星空案内の活動を始めました。

――どんな風に星空案内をされているのですか ?

参加者の関心やその日の星空によって案内の仕方は変えています。見える星は時期や時間帯などさまざまな条件によって異なるので、広くネタを用意しておくのです。そして、状況や対象に応じて魅力的なものを選び、時には 星の色の話やギリシャ神話などの話題も混ぜながら星空案内を行っています。

今回の広報誌が出るのは12月下旬ですよね。それならば、12月24日のクリスマスイブの星空を案内しましょうか。星を漫然と眺めるのもいいですが、星空には季節ごとに目立つ星並びがあります。24日の21時頃だと東の空に冬の大三角形・冬のダイヤモンドを観察できます。

12月24日(日)21時の星空

東の空に寝転がっているオリオン座のベテルギウス 、おおいぬ座のシリウス 、そしてこいぬ座のプロキオンを見つけたら冬の大三角形を結べます。そして、プロキオン 、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲル、そしてシリウスからプロキオンに戻る六角が冬のダイヤモンドです。

ちなみに、月の女神はアルテミス。オリオンと恋人関係なのです。オリオン座と月は約1ヶ月に1度近づきます。まるでデートをしているようですね。

――具体的な日時で教えてもらえるとありがたいですね。12月24日の星空が楽しみです。

周囲の明るさや天候、ご自身の心のコンディションも含めて、毎日の星空とは一期一会です。まったく同じ星空はないので、ぜひその日の星空を楽しんでください。

編集後記

取材を終えた週末、名田庄図書館主催で中塚さんが講師を務める「プラネタリウム&おはなし会」へ。

ドーム型のプラネタリウムのなかで「今日の一番星はどこでしょう?」とクイズを出しながら、木星や土星、夏・冬の大三角形や秋の大四辺形、ふたご座流星群のことなど、中塚さんが面白おかしく、その日の星空を中心に案内してくれました。

これまで星空の見方を意識したことがなかったためので 、星空が綺麗な日には冬の大三角形や目立つ星座を結んでみたいと思います。

執筆・撮影 : 張本 舜奎

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