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「SEE SEA PARK」事務局長・時岡良太さんの、おおい町でワクワクを広げていく挑戦。

おおい町の暮らしのこれからを、まちの人たちと一緒に考えていくインタビュー連載。第三回目のゲストは、2022年7月にオープンした商業施設「SEE SEA PARK」(以下、シーシーパーク)にて事務局長を務める時岡良太さんです。

今回は、一周年を迎えるシーシーパークの歩みと、時岡さんご自身の思いについて伺ってきました。取材のなかで時岡さんは「おおい町にいて、退屈さを感じるときがある」と呟かれていたのですが、その言葉の背景にあるものは何なのか、そして、おおい町のこれからをどう考えているのでしょうか。

1978年生まれ、おおい町出身。東京で大学時代を過ごした後、財団法人大飯ふるさと振興公社(現在の株式会社おおい)に入社。一昨年に株式会社リライトおおいへ転職し、SEE SEA PARK事務局長に就任する。築230年の古民家を活用した「暮らしの複合施設hibi」や「若狭本郷駅前クラフトビールまつり」の運営にも携わっている。

SEE SEA PARK はどんな施設?

――まず最初に、時岡さんの仕事について伺えますか?

(時岡)わかりました。シーシーパークという商業施設の事務局長を務めていて、仕事の内容は施設管理全般です。広報やイベント運営は若いスタッフにお願いしているので、僕は全体のディレクションや町内外の団体との交渉ごとをメインに携わっています。

――シーシーパークって、どんな施設なんですか?

(時岡)シーシーパークは、「みんなでつくる公園」をコンセプトにした複合型の商業施設です。さまざまな機能を備えていて、福井県の若狭エリアの観光をたのしむスタート地点であり、色々な形でのチャレンジを支えるインキュベーション施設であり、カフェやアウトドアショップがある施設なんです。昨年の7月にオープンしたばかりで、今月で一周年になります。

「SPOT skateboard shop」

――一周年おめでとうございます。振り返ると、どんな一年でしたか?

(時岡)僕たちは「色んな人がシーシーパークを拠点に、自由に楽しんでほしい」という思いをもって運営しているのですが、この一年間でコンセプトが形になった瞬間を何度も見れたのはよかったです。

――なかでも印象に残っているものはありますか?

(時岡)先月開催されていたハンドメイドのマーケットである「おおいCraftGarden」ですかね。このイベントの主催者は、僕たち事務局ではなく、おおい町の住民の方々で構成された実行委員会が主体となって開催されていて、シーシーパークはあくまで場を提供しているだけなんです。

「おおいCraftGarden」

他にも、テナントの出店者である「THE GATE WAKASA」さんと「宮古島珈琲焙煎所」さんが手を組んで、一緒にコーヒー教室を開催されているのも印象的でした。

事務局だけじゃなく、おおい町の住民や出店者の方々も企画者になり、おおい町を一緒に盛りあげる流れがシーシーパークで生まれてきていて。それは、すごく素敵なことだと思っています。

「おっちゃんら、なんか楽しそう」

――シーシーパークには、どういう経緯で関わることになったのですか?

シーシーパークが開業する一年ほど前に、施設を運営する人が必要だということで声をかけていただいて。おおい町をより面白いまちにしたいという思いがあり、そうしたチャレンジングな仕事に関われるのはワクワクしたのでお受けしました。

ーーおおい町を面白いまちにしたいという話、くわしく聞きたいです。

飲み会でときどき「おおい町が好きか、嫌いか」という話になるんですけど、僕はまだまだやれるぞという期待を込めて、どちらかというと好きじゃないほうのスタンスで(笑)。東京の大学を卒業しておおい町に帰ってきたときから、この町には人生を楽しんでいる大人たちが少ないんじゃないかと感じているんです。

だからこそ、おおい町をもっと面白いまちにしていきたいと思うんでしょうね。ただ、他人やまちって簡単にワクワクさせられるものではありません。まずは自分やまわりの仲間たちが人生をワクワクしつづけていることを、もっとも大切にしています。

――まずは自分が楽しんで、そこから広がればという思いがある。

そうですね。シーシーパークでもそのほかでも、イベントを開催したり企画を実行しようとするときって、やっぱり大変なことも多々あって。でも、仲間たちと「ああでもない」「こうでもない」と言いながら夢中になっているのはやっぱり楽しい。そうして、自分が仲間たちと一緒に楽しむことで、おおい町の若い子たちが「あのおっちゃんら、なんか楽しそうやな」と感じてくれたらいいなって思っています。

SEE SEA PARKと時岡さんのこれから。

「SEE SEA FOREST」

ーーシーシーパークと時岡さんの挑戦がどうなってくのか、これからの展望を伺えますか?

(時岡)もっと多くの方に、シーシーパークを自由に楽しんでもらうための取り組みは続けていきたいです。芝生でチェアを置いてくつろいだり、寝っ転がったりして過ごしてもいいですし、イベントを開催する場として使ってもらえるのもありがたい。そうしてさまざまな形でシーシーパークを拠点にして楽しむ方法を提案していきたいと思っています。

ーー「みんなでつくる公園」というコンセプトの実現を今年も続けていくのですね。

(時岡)そうですね。やっぱり、そこが一番の土台だと思うので。ただ、その一方で、商業施設としては集客の課題を何とかしないといけない。とくに平日は厳しい状況で、なかなか苦労しています……

これまで話してきたように、シーシーパークを文化面で盛り上げていきたい気持ちはありますが、やはり商業施設である以上、出店者さんにもしっかり稼いでいただいて、末長くこの町でお商売を続けていただきたい。そうでないとシーシーパークの存在意義もなくなってしまうと思うんです。だから、そうした文化だけじゃなく、経済的にもより盛り上げていかないといけないです。

ーーなるほど……。とても難易度が高そうです。

(時岡)決して簡単ではないですね。ただ、本当にありがたいことに、出店者のみなさんは協力的で、問題を乗り越えようと一緒に挑戦してくれています。その動きをうまく取りまとめて、二年目は平日も休日もお客さんで賑わうようにしていきたいです。

ーーシーシーパークの取り組み、応援しています。最後に、時岡さん個人のこれからについてもお聞きしたいです。

(時岡)出店者さんのやりたいことがおおい町の人たちに広げていきたいです。例えば、シーシーパークではアウトドアのグッズを販売していたり、ツアーを展開している出店者がいて。そんなお店が近所にあると、おおい町の恵まれた自然環境をより楽しむことができるはずなんです。

そうして様々な形でおおい町の楽しみ方を提案してくれる出店者さんと関わりを持つことで、おおい町を楽しむ大人がもっと増えたらいいなと思っています。

ーー今日は素敵なお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。いつか僕もシーシーパークさんで何かしら企画できたらと思うので、その際はぜひ相談させてください。

(時岡)ぜひぜひ。こちらこそ、ありがとうございました。

編集後記


「なんか楽しそう」を大事にされている時岡さんの姿勢が印象に残っています。子どもたちの目に映る大人たちの姿がとことん楽しそうであれば、まちには自然と人が集まるんじゃないか。楽観的な考えではありますが、「なんか楽しそう」という感覚的な良さにはそれだけの力がある気がしました。

実際、ぼくがおおい町に移住した要因のひとつとして、シーシーパークの雰囲気が関わっていたのは間違いありません。おおい町を初めて訪れたとき、シーシーパークでピアノを弾いていた親子がとても穏やかに楽しんでるのが素敵に思えたんです。

地域おこし協力隊の活動を通じて、そんな小さな楽しさを積み上げ、まちづくりに繋げていきたい。そうした刺激を受けた取材でした。取材に応えてくださった時岡さん、そして、最後まで読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

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