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東大にまで入ったのにもったいない。って言わないでほしい


東京大学工学部卒・同大学院工学系研究科卒。
現在、アイドルをしている。


これを見て、皆さんはどう思うだろうか。


「東大にまで入ったのにもったいない」

私が今まで優に100回は言われてきた、呪いの言葉だ。




実際は平日は民間企業で働いているので少し話を盛ってしまったかもしれないが、
勤めている会社も特別学歴を重視するところではないし、
むろんアイドルにも学歴など一切必要ない。

もちろん悪意がないことも、なんなら私を褒めようとしてくれていることだってわかる。


アイドルはすごく楽しいし、社会人として現状に大きな不満もない。
それなのに、その言葉を言われるたびに少し落ち込む。
「私の人生、やっぱり間違いだったのかな」「もっと楽しく上手に生きていけたんじゃないのかな」

昔から自分に自信がなかったし、自分の選択に自信がなかった。
だからこそひとまず一番の大学を目指して入学して安心していたような人間なので、
自分の選択に対しものすごく不安を覚えてしまう。


けれど私は、昔からアイドルが大好きだった。
歌って踊ることが大好きだったし、大勢の人から愛されるアイドルがすごくうらやましいと感じた。私の容姿では限界があると思うけど、絶対にアイドルをやりたいと中学生のころから夢みていた。

なので、今の選択は私としては決して間違ってはいない。
でも、もし私に学歴がなかったら、きっともっと本気でアイドルをしていたと思うし、就職活動だってもっと自分の興味を冷静に見つめることが出来ていたかもしれない。なんてふと思う。


東大に入ることは、逆に選択肢を狭めることになっているような気すらする。
なまじ日本一の大学に入ってしまったからには、今後もエリートルートから外れてはいけないという観念が重くのしかかってくるのだ。

「東大にまで入ったのに」に、私は一生縛られ続けるんだろうか。


けれど、外コンに入って自分よりさらに賢くエネルギーのある人たちと競争にさらされ、睡眠時間を削りながら働くことが、答えの見えない問いに立ち向かい研究を続けることが、苦手な英語とコミュニケーションを駆使してグローバルに働くことが、私にとってはどうしても幸せだと思えなかった。

私が好きなのは、そして人よりも少しだけ得意だったのは、1つだけ存在する美しい答えを求め一つ一つ糸の結び目をほどいていくような、パズルのように処理ができる高校数学だけだったのだ。
でも正直その能力よりも、私はかわいい顔と愛嬌のほうがよっぽど欲しかった。


なので学歴はいったん「高校3年生の時人よりもペーパーテストが得意だったんですねラベル」と、人生設計とは切り離して考えて頂いて、好きなことをしている私をどうか放っておいてくれないだろうか。

そして、世の中の高学歴に縛られている高学歴は、一度私を見て、少しでも好きなことに踏み出す勇気を出してくれたらとても嬉しいなと思う。

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