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置かれた場所で咲くことにした。

「NOW」最初のインタビューは、どうしてもこの人に語ってほしかった。ALS歴6年になる経験豊富なベテラン患者であり、わたしの信頼する友人、akikoさんです。

わたしと彼女は、今、障害や難病と闘う人、そのご家族が気軽に集える場をつくり、コミュニケーションをサポートする活動を始めています。
彼女と知り合ってからこの1年、二人三脚で新しいことに挑戦し、前を向いて歩んできました。それができたのは、彼女の気遣いと天才的なポジティブ思考のお陰です。
そんな、彼女の声をたくさんの人に伝えたい。きっと、勇気と元気が湧いてきて、笑顔になれると思います。

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Photo by:©️Hajime Watanabe/
©
一般社団法人日本ALS協会

Interview

何があっても生きていく。
あきらめないと決めた日。

「わたしがALSと診断されたのは34歳の時。娘がまだ1歳でした。体に違和感を感じ始めたのが8年くらい前だから、確かにALSのベテランですね(笑)。
この告知から半年たった頃、今は5歳になっている息子がお腹にいることがわかって…。正直、戸惑いました。
でも、せっかく授かった子供を病気のためにあきらめるなんてできなかった。今思うと、妊娠がわかったときから、気持ちは決まってたんだと思います。
この子が生まれてきてくれて、わたしは生きていく決心がつきました。だから、今も毎日、生きることに一生懸命です!」

akikoさんは出産や子育て、病気について、自身のブログにその時々の素直な気持ちを綴っている。とくに、彼女の強さ、やさしさの源になっている出産の話は必読!読んだら心が元気になること間違いなし!
ブログ:『置かれた場所で咲くことにした』
https://ameblo.jp/als-survivor/entry-12410740278.html

YouTube:『My Little Angels』
https://www.youtube.com/watch?v=A87VCmuoL1g

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毎日の生活はakiko流、
アイデアと愛情でいっぱい!

「ALSは進行する病気です。わたしもだんだん体が思うように動かなくなってきて、抱き上げたり、一緒に遊んだり、よそのお母さんが普通にできることがわたしにはやってあげられない…。それは本当に辛くて、悲しくなります。
でも、幸せかどうかは、人と比べるものではなくて、わたしの心が決めること。毎日、落ち込んで過ごすか、笑って過ごすかも自分次第。そう気づいた時に、“笑って過ごす“ことを心の軸にして、気持ちを切り替えるようにしました。
自分ができないことはサポートしてもらったり、装具や器具で補っていけばいいいし、その分、子供たちの話をたくさん聞いて、一緒に笑ったり、お説教したり(笑)。他と違ってもいいじゃない、わたしはわたしなりに精いっぱいできることをやって、お母さんであることに自信をもてるようにしたいって思ってるんです」

料理ができなくなってからは、1週間分のメニューを作って材料を用意し、ヘルパーさんのサポートを受けながら食事を用意している。家計をやりくりし、家族の健康を考え、記念日には子供たちの好きな食べ物とケーキがテーブルに並ぶ。
akikoさんちの食卓は、毎日、母親の愛情でいっぱいだ。やんちゃ盛りの子供たちはいつも賑やかで、このかけがえのない家族の時間をakikoさんがどれだけ大切に守っているかが、子供たちの笑い声から伝わってくる。

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世界中の人が幸せになりますように。

「わたしは、今、たくさんの人にサポートしてもらって、わたしなりに楽しく生活することができています。看護師さん、主治医の先生、ヘルパーさん、友達…感謝の気持ちでいっぱいです。
そして、一人でめいいっぱいがんばってくれているわたしの旦那さん。ちょっと、照れるけどね。『ありがとう』って言っても言っても言い足りないほど思ってる。本当に、ありがとう。
わたしはこんなに感謝する人がたくさんいて、幸せだと思います。いつか、みんなに恩返しをしたい。だから病気になんて負けられないって思ってる!」

akikoさんに「今、願いはある?」と聞いたら、大真面目な顔で、
「世界中の人が幸せになること」と返ってきた。
さっきまで、手の届く範囲で満足って話していたのに、世界という途方もない広さに飛んでいってる~…ってツッコムと、
「だって、みんなが幸せになるほうがいいに決まってるからね。わたしにできることで役に立つことがないかな~と考えて、今、臨床心理士の資格取得をめざして勉強中。通信教育で地味にがんばってます(笑)。病気や障害で苦しんでいる人が少しでも楽になるように力になりたい。支えている家族や、親が病気の子供の心のケアも必要だと思っているから」
身をもって経験した人が発する言葉には、ズシリと重みがあるものだ。
世界中の人が幸せになるように。
今、わたしも、その想いを共有したくなっている。

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伝えたいこと。気づいてほしい想い。

「わたしは今、車いすの生活です。
マイペースであまり細かなことを気にしないわたしですが、それでも障害があることで辛かったり、憤りを感じることはけっこうあります。ひとつは、環境のこと。
わたしは娘の小学校の行事に参加するのが一苦労です。小学校にエレベーターがないので無理を言うつもりはないけれど、学校での娘の様子を見たいというのが本音。でも、たくさんの人の手を借りることになるので、いつも申し訳なくて気が引けてしまっています。
街に出てもまだまだ不便が多いと感じるし、障害がある人が単独で外に出ていけるようにもっと環境が整ってほしい。
サポートはとってもありがたい、
それでもできるかぎり、自分のことは自分でやりたい。
それが、障害のある人の心の声だと思います。

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もうひとつ、わたしが伝えたいことは、障害者だったり、寝たきりだったり、体にはハンディーがあっても、心は普通に健康な人と変わらないということです。だから、動けなくても細かな気遣いを忘れずに接してあげてほしい。
介護しやすいというのも大切だけど、服装や髪型とか、とくに女性はずっとおしゃれしたいと思うものなんです。
わたしだって、キレイなママって言われたらすごくうれしい!そういう気持ちを、介護や看護する人に知ってもらいたいと思っています。」

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希望は捨てません。OriHimeで挑戦していきます!

「昨年の10月から、わたしは分身ロボット「OriHime」のパイロットとしていろんなことに挑戦しています。例えば、都心のカフェでオリヒメロボットを遠隔操作し、久しぶりに働きました!いろいろな人が応援してくれたのも嬉しかったし、とてもいい刺激になりました。
わたしは、いつか必ずALSの治療法が見つかると信じてます。だから、それまではあきらめません。
体が不自由になったら、オリヒメに自分の代わりになってもらってしっかり働きます(笑)! オリヒメで臨床心理士としてカウンセリングして、たくさんの人を元気にしたい…。いろいろと可能性が広がってきて、わくわくします。
障害や病気と闘う人が普通に社会の中の一員として、働いたり、活躍したり、そんな世の中が近いような気がして、がんばろうー!!って思わずにはいられないですよね」

注:分身ロボット「OriHime」
㈱オリィ研究所が開発。身体に障害があるなど、外出困難者の遠隔就労の実現、病気で学校に通えない児童・学生の遠隔教育ツールとして注目の分身ロボット。PCやタブレット、スマートフォンによる手軽な操作が可能。
㈱オリィ研究所 https://orylab.com/

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