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仲間をつくり、ワガママを主張して、笑って生き抜こう。

なんて穏やかな笑顔なんだろう。
どうしてこんなに優しく、心から楽しそうに、
微笑むことができるのだろう…。

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Interview

高野元(はじめ)さん、ALSと診断されて6年が過ぎるそうです。
病気を発症される前の高野さんはWEB関連の技術開発者で、海外での勤務、会社経営等々、時代の波に乗った輝かしいご経歴の持ち主。ALSの診断後も日本ALS協会神奈川支部の運営や「川崎つながろ会」を作って患者会を企画したり、講演活動も精力的に行っています。

「なんでも聞いてください。」

高野さんのお言葉に甘えて、初対面にも拘わらずにいろいろお話しさせていただきました。
「病気になったのははずかしいことじゃない」
「友達になるのに病気は関係ない」
「かわいそう、は自分らしく生きるための支援になっていない」
等々。
高野さんのブレない考えにハッとさせられることばかり。
今回も、たくさんの方に大切な思いが届きますように。


一番、伝えたいこと。
「体が不自由でも社会参加はできる!」

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「現在、いろいろな活動をしていますが、中でも講演には力を注いでいます。それはALSについて、もっと多くのことを知ってもらいたいから。
今の状態では悲しいイメージばかりが広がっている気がします。それではみんな怖がってしまい、逃げちゃいますよね。ALSがちゃんと理解されていない。
知らないことによる恐れが、私たちの社会参加を阻んでいると感じます。
だから、私の生活を紹介し、介助が必要なこと以外は何ら変わらないということを伝えているんです。ALSや障がい者のことをもっと世の中に知ってもらうことで、社会参加の可能性を広げたいんです」

「適切な支援とテクノロジーの活用で、社会参加は可能になる。」
高野さんはご自身の体験をもとに、そのことを広める活動を行なっています。
「ALSだからといって、あきらめることはない」
力が湧いてくるような言葉の数々。
話を伺っていくうちに、モヤがかかったように曖昧だった大切なことが、はっきりと見えてきた気がしました。
「社会の難病者に対する認識を変えていきたい」
わたしにも同じ思いがあります。
迷ったり戸惑ったりしながらも、向かう方向だけは間違っていない!
そう思いながらも…気持ちは上がったり、下がったり、高野さんのように余裕がないなぁ。
どうしたらできるのでしょう、心の余裕…きっとまだまだ修行が足りないんですね(涙)。


自分に影響を与えてくれた患者仲間、友人、
そして妻に感謝

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※『みんなで創る、神経難病患者と一緒に鎌倉に行こうプロジェクト2019』

「告知を受けて半年ほどは、かなり落ち込んでいました。病気のことが分からずに先の展望が見えなかったので。そこから気持ちを上げていくためには、やはり“人“の存在が大きかった。
ALSの啓蒙のために活動されている患者の方々とお会いして、自分もこうやって生きていきたいと思うようになりました。
たくさんの支援者との出会いも支えになっています。それに、最近ではオリィ研究所のオリヒメパイロットに挑戦し、代表の吉藤健太郎さんにテクノロジーの活用についてインスパイアされています!」

高野さんはご自身を「誠実で、上機嫌、挑戦を恐れない」と自己分析。
上機嫌とは?
「機嫌よく生きてるってことです」
なるほど!たしかに、好奇心旺盛な挑戦者ですね。それに、なんだか毎日楽しそう(笑)
たくさんの人との繋がりが、上機嫌な今の生活を支えているんですね。

それでは、今一番、感謝を伝えたい人は?

「妻ですね。妻は明るくて、前向きな人。今、自分がりたいことがやれていて、支援者との関係が良好なのは、妻のおかげです。」
気持ちいいくらいストレートな答えが返ってきました。
高野さんのブログに「銀婚式を迎えました」というタイトルの記事があり、二人で共に過ごした日々が綴られています。
奥様はALSを患う前からずっと高野さんの一番の理解者であり、最強の支援者。常に寄り添い一緒に笑っている写真を見ると、今、高野さんが満たされている理由がわかる気がします。
◎高野さんのブログ「gentak.info ALS患者高野元の日常と思考と回想」http://blog.gentak.info/

境のない社会への道をつくるために、
笑って生き抜く!

うんちまんず03 (1)

※「常識や限界から解放される」ために、うんちマンイベントにも挑戦!

高野さん、ALSになって自分は変わったと思います?
「多分変わっていないと思います。変わったところがあるとすれば、自分のことを発信するようになったことぐらい。」

わたしも同じです。
ALSになったからといって、自分自身は変わりようがない。体が不自由になり、生活が変わっても、わたしはこれまでのわたしのままでいるのに、社会と境ができてしまったことを感じずにはいられない。
高野さんはブログで「障がい者になったからといって、かわいそうだと思わないでほしい。高野に新しい個性が発現したと捉えて、今までどおり対等に接してほしい。」と書かれています。
そして、「境界のない社会になることを願っている」と話されます。
それは、わたしをはじめ、多くの難病者・障がいのある方々の心からの願い。まさに、声に出して伝えたいこと。
胸が熱くなりました。

わたしが高野さんの第一印象で感じた、穏やかな笑顔の謎(?)は、少し解けてきたように思えます。
高野さんは、エンジニアというスキルをいかして、気管切開後もご自身が講演するためのプレゼンテーション・システム(HeartyPresenter)を開発し、それを誰もが使えるようにオープンにし、無償提供しています。
仲間と共に楽しみ、そして挑戦し、ALSでも変わらずにありのままの自分でいる。それが人の役にたったり、人を楽しませたりすることにつながっていくんですね。
人のためにできることがある。
それはすごく、幸せなことなのだと思います。
まずは、この幸せを作るために必要な“ワガママ”を見つけるところからスタート。それからどんどん声に出し、主張して、幸せの輪が広がっていったら満たされた笑顔になれるのかな。

今日も、明日も、一日一日が大切です。
「笑って生き抜く」。
高野マインドを心の教科書にして、わたしもワガママを言いながら、楽しく生き抜くことに挑戦していきます!!

◎HeartyPresenter
重度障害者のためのプレゼンテーション・システム。パワーポイントの操作と連動して、音声合成で発話します。
http://beta.heartypresenter.com/


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