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愛の香り~I Feel You Linger In The Airドラマと原作小説の気ままな感想 第1話 

どうも、ドラマを観たら必ず原作小説が読みたくなるnopopoです。

大好きなタイドラマ「愛の香り~I Feel You Linger In The Air」がこの春から日本のサブスクで見放題配信開始!
おめでとうございます!

昨年末に「愛の香り~I Feel You Linger In The Air」を観て好きになりすぎておかしくなりそうだった私は、ドラマを何周もし、すぐに英語版原作を読み、やっぱりタイ語で読みたいとタイ語版原作も少しずつ読み始めました。
感想を誰かと共有したかったけれど見ている人も少なく、原作まで読んでいる人はもっと少ないので躊躇していましたが、このタイミングで書いてみることにしました。

前回は布教記事だったのでネタバレなしにしましたが、今回はこの大好きなドラマについて大いにネタバレありで書こうと思います。

ドラマネタバレだけでなく、原作小説のネタバレも大いに含みます。
ドラマ未視聴の方だけでなく小説未読の方も自己責任でお読みください。
※途中タイ語や英語がでてきます。辞書を元に調べていますが、タイ語学習初心者の翻訳だという点をご理解ください。
※タイ語が読めない方が多いと思うので、カタカナで読み方を書いていますが、タイ語には日本語にはない音があるため、その通りではありません。ご了承ください。

今回は第1話について。
あれ?布教記事で1話のネタバレあったよ?と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、あんなものは私の中でネタバレに入りません。
1話だけでだいぶ語れますので、どうぞお付き合いくださいませ。

まずはドラマの1話の内容から。
ストーリーを追いながら感想や解説を挟んでいこうと思います。

第1話

一話は1時間11分あります。
長いと思ったあなた、大丈夫です。
観始めたらドラマの世界に惹きこまれて一気に最後まで観れてしまいますよ。

ジョムの夢と現実が上手くかけ合わされた冒頭シーン

冒頭のシーンはジョムが夜中に一人で屋敷を訪れ、そこで見知らぬ男性と自分が一緒にいるのを発見するという衝撃シーン。
「ポージョム!」
という男性の声で目が覚め、これが夢だったと分かります。
自分が覚えのないことを見知らぬ人としているのを夢で見るって怖いですよね・・・
1話の最初は照明も暗くハラハラシーンだらけ、BGMも効果音もサスペンスホラー調なので、ドキドキハラハラ・・・心臓に悪いです💦

夜のお屋敷。人気が無くて怖い・・・
このタイプライターをじっと見つめていました。何かあるのでしょうか・・・
自分が知らない男性と一緒に寝ているのを見つける

夢から覚めた後がこのドラマの上手い演出。
セリフも説明もなく、ひたすらジョムの部屋に置いてあるものが映し出されます。
置いてあるものは、
・建物の断面図の図面
・本棚に並ぶタイトルは「デザイン+カルチャー」「内装図面の書き方」
・壁の付箋「階段のコーナーガードを広げる」「ベランダ側の木を増やす」
そして、タブレットにペンで夢で見た屋敷の内装を左手でスケッチするジョムの姿。
これを観ただけで、ジョムは左利きで建築家なんだと分かります。
説明せずに映像で視聴者に全てを分からせる素晴らしい演出です!

小説には、はっきりジョムは若き建築家だと記載がありました。
ここまでの詳しい部屋の様子の描写はないので、この辺りは制作陣がしっかり人物設定したんだろうなあ・・・と思います。
冒頭の夢のシーンは小説の最初には出てきません。
夢に見るという設定自体がドラマの改変なのかな、と思っています。
この改変、すごく良いです!

ここまで観たところでオープニングが始まります。


オープニング

オープニングの曲は少し懐かしい感じのインストルメンタル曲です。
主要登場人物の顔写真と花の絵が順番に出てきます。
その花が気になったので、花言葉を調べてみました。

ジョム、ヤイ、カムセン、ウアンプン・・・花の絵:ラントム(プルメリア)
                    花言葉:気品
           フォンゲーウ・・・花の絵:薔薇
                    花言葉:美
            ジェームス・・・花の絵:ハイビスカス
                    花言葉:新しい恋
             ロバート・・・花の絵:ハエトリソウ
                    花言葉:魔性の愛、嘘
           ムーイ、ミン・・・花の絵:蓮
                    花言葉:清らかな心

意味があるのかどうかは分かりません。
でも、ちょっと関係あるような気もします。
ロバートだけ食虫植物・・・
なぜかは後々分かると思いますが、この花の絵を見ただけでいい人か悪い人か分かりますね。


現代のジョムと屋敷の改装工事

現代の舞台はチェンマイ、仏歴2566年(西暦2023年)。

ジョムが車を運転している間にたくさんの風景が見えます。

CENTRAL AIRPORT PLAZA・・チェンマイ空港の大型ショッピングセンター
KAD MANEE MARKET・・・チェンマイの夜市
川・・・地理的にピン川?
ตลาดประตูเชียงใหม(タロートプラトゥチェンマイ)・・チェンマイ門市場)
寺院(どこか分からなかった・・・)
と続き、改装工事中のお屋敷につきます。

ということで、映像を観ただけで分かる人には舞台がチェンマイだと分かります。
映像にたくさん情報が詰まっているのがこのドラマです!

さて、お屋敷は改装工事中。
ジョムはその責任者なのかな?
現場を見て回っていると、家族写真を見つけます。
そこには夫婦と息子が三人で並んで写っています。
ジョムは何かを感じて息子の顔に触れようとするんですが、携帯が鳴り、現実に引き戻されます。
ああ・・・なんてタイミング・・・

電話はボスから
「パラーティップ家の図面をなぜ変えた?」
「お客様の氏名でなければこんなに大きな仕事は任せない」
ボスの台詞から、ジョムが勝手に改装工事の図面を変えて、今回の仕事はパラーティップ家からジョムに指名が入ったという事が分かります。

小説では、この仕事のところはもう少し詳しく書かれています。
施主である女主人が、ジョムが大学時代チェンマイでインターンをしていた時に一緒に仕事をした建築家と受けた雑誌のインタビューを見て依頼をしてきたという事です。
ジョムは大学を卒業してバンコクに住んでいるので、チェンマイは遠くて簡単には引き受けなかったけれど、サネット(ジョムの上司)に2.5倍の昇給や家賃時補助などを持ち出され、承諾したようでした。
若い独身の建築家にとってこれは夢のように魅力的な仕事だと思います。
この仕事はジョムにとって、すごく大きなプロジェクトなんですね。


お屋敷で見つけた大きな鍵付きの箱

タンさんがジョムを呼びに来ます。
※小説ではタンさんは下請け業者の大工頭で北部の方言を話すようです。
2階で大きな鍵の付いた箱が見つかり、それをどうするかみんなで考えることに。
ジョムが施主である奥様から預かったたくさんの鍵のなかから一つ選んで開けてみると見事鍵が開きました!
ジョムは普通にしてますが、タンさんは「この箱の鍵をご存じで?」と驚きます。
確かに、一発で当てられるのはすごいですよね!

箱を見つけて建築現場の人たちと話すシーン。これは原作小説の始まりと同じです。
でも、小説でこの鍵のシーンは
”I tried each of them until I found the right one"
「正しいものが見つかるまで、それぞれ試しました」とあるので、鍵のエピソードはドラマオリジナルですね。

さて、箱の中に入っていたものは絵だけ
家、豚、半裸で横になっている男、ひげの長い男性・・・
その絵を見て、一般的な古い絵と違うと言い切れたのは、デザインを勉強したジョムだからかなと思います。
この家の持ち主は鍵をかけるほどその絵を大事にしていた。その理由は?
箱は物置部屋に移動されるようです。

小説では、大きな箱は2つ出てきます。
中に入っているのは額装された絵と鍵のかかった小さな木箱。
箱の中にはスケッチが何枚か入っていて、大きな家、小さな家、風景などこの家を色々な角度から見た絵、昔のチェンマイ駅などが書かれていました。
チェンマイ駅は第二次世界大戦で爆撃されてその後復元されたとのことで、その絵は古い駅が描かれていたので、第二次世界大戦以前の絵だとジョムが推測しています。
鍵のかかった小箱はどの鍵でも開けられず、そのまま戻されます。
そして、その大きな箱は小説では寝室に運ばれて行きます。
絵や箱は違いますが、これらが最初に見つかるストーリーの組み立てはドラマも小説も同じです。
原作の話の流れが本当に面白く、それをうまく映像化しています!


過去と現在のクロスオーバー

夜、ジョムがお屋敷で撮った写真を見ていると何かを見つけた様子。
それが何なのか気になって拡大する・・・
見えたものはなんだか心霊写真のようです。
また映像も音楽もサスペンスホラー調で、怖い・・・

恐る恐る自分のベッドの方へ行くと、雷で一瞬誰かの後ろ姿が見えます
服装からして少し前の時代の人のようです。
(最後まで観たことがあれば、後ろ姿だけで誰なのか分かると思います)

そして、急な大雨・・・

翌日、妹のソムジードと電話するジョム。
そこでジョムは、屋敷の改修を初めてから男の人の夢を見るようになった、という話をします。
1話の最初に観たシーンですね。
妹はそれよりも何か話したそうですが、途中でタンさんから電話がかかってきて中断されてしまいます。
何を言いたかったのか気になる!

タンさんから電話でジョムはお屋敷に駆け付けます。
今度は昨夜の暴風雨で木が折れて屋根に穴が開き、ひどい雨漏りで屋敷中水浸し💦
悲観するジョムにタンさんが訪ねます。
「昨晩は来てませんよね?・・・あなたの声を聞いた気がして」
昨夜のジョムはずっと家にいたのであり得ません・・・

小説での過去とのクロスオーバーは、外を歩いているときに「ポージョム」という声が聞こえて誰かに見られている感じがした、とだけあります。
そしてジョムは幽霊かと思い怖がっているので、この1話のサスペンスホラー調の演出は合っているのかもしれません。


恋人との別れ

嵐の夜に電話をかけていた相手P'Ohm(P'オーム)がジョムの恋人のようです。
連絡がとれなかったけれど、やっと会えることになり、ジョムはウキウキして家に帰ります。
回想シーンによるとオームは2年前に留学してその帰りをジョムが待っていた様子。
この回想シーンも映像の組み合わせが良くて、仕事から帰ってきた現代のジョムがドアを開けると2年前のオームと付き合って幸せだった明るい回想シーン。
そして、再度ドアを開けるとそれを全く違う暗い部屋に浮かない表情をしたオームが立っているという図。
ここを見ただけで、この後の展開が辛いという事は誰にでも分かりますよね・・・

ここで別れを切り出すよりも先に
「俺は結婚する」
というオーム。
オームが留学して寂しいときに彼女と出会い、昔から知人のように感じていつの間にか恋人になって結婚することになったという事です。
「きっと出会えるよ、俺よりいい人に」
と言って出ていくオームをジョムは追いかけてすがり付きます。

オームを引き止めるジョム。

しかし、オームに「冷静になれ」と突き飛ばされてしまいます。

泣いて懇願するジョム

そして、その場に表れて少し膨らんだお腹をさするオームの彼女カイムック
※小説にははっきりカイムックが妊娠していると書いてあります。

カイムック

なぜ事前に言わずに帰ってきてからジョムに伝えたのか・・・
小説でオームは、ジョムのことが大事だったから電話では別れたくなかった、と言っていました。
その理由分からなくもないけど、やっぱり知らせるのが遅すぎない?

オームの態度に、まどろっこしい言い方ではなく、はっきり別れるっていいなさいよ!と思ったのは私だけでしょうか?
ジョムは2年間恋人が返ってくるのを楽しみに待っていたらこんなことになって冷静になれるわけないのに、オームはいたって冷静。
そして、カイムックは妊娠しているので、それが理由で結婚するのかな?
そしたら、その結婚に大手を振って反対派しづらい。
なんだかこの一件、オームが悪いはずなのに、ジョムが悪いみたいになっていて、可哀想でした。
そして、ここのNonkulくんの演技に迫力があって、ひどく苦しんで悲しんでいるジョムの気持ちが見ているこちらにも伝わってきて、観続けるのが本当に苦しかったです。

でも、このシーンはとても重要。
だって、この別れが無かったら、きっとこの後の話には続かないから・・・

そして、悲しみに暮れたジョムは、部屋にあったオームとの思い出の物を壊し、クラブで酔いつぶれ、悪い男の手に落ちてしまいます。
良からぬことをされそうになった時に、ジョムが男の車で吐いてしまい、それに激昂した男にけられてしまいます。
踏んだり蹴ったりとは、まさにこの状況のジョムにピッタリな言葉です。

車に連れ込んで良からぬことをたくらむ悪い男・・・

この悪い男役の方、「HIDDEN AGENDA」でもストーカー役だったCong Duongくん。
立て続けに嫌な男役が続いていますが、本当に嫌な男役が上手いです。
表情の作り方なのかな?
イケメンなのに、ドラマの役では、こいつ殴ってやりたい、と思わせてくれます(笑)
小説には出てこない、ドラマオリジナルキャラです。

脱線しましたが、話を戻します。
酔っぱらいすぎた上に体は痛いし悲しみに暮れて正気を保てないジョムが車を運転したら、事故を起こす以外考えられないですよね。
はい、事故を起こします
タイドラマって飲酒運転で事故を起こすパターン、他でも観たことあるんですが、タイではよくあることなんでしょうか?
日本だと飲酒運転で事故起こしたら、仕事失うレベルだと思うんですが。


水の中での不思議な出会い

車から投げ出されたジョムは川に落ち、そこで死を覚悟します。
そうしたら、ひげの男が現れ、いきなりジョムにキス?!
ジョムを水面に連れて行ってくれるが、ジョムが水面に顔を出したときには跡形もなく消えていました。

この人誰?ってなりましたよね。
ドラマの最後まで観たら何かわかるのか?とも思いますよね?
残念ですが、この髭の男についてはドラマを最後まで観ただけではよく分かりません。
原作小説を読めば全て分かるので、制作側は全てわかった上でこのシーンを入れたのだと思います。
インタビュー動画で、アユタヤ時代の話はイースターエッグ的にドラマに出てくると言っていました。

この動画の8分47秒あたりから3つの時代について、9分12秒からは小説と脚本の相違についてプロデューサーと監督がそれぞれ話しています。


この髭の男はアユタヤ時代のヤイなのです。
ドラマではアユタヤ時代はこんな感じで小出しに少しずつ謎を伴いながら出てきます。
これが入ることで、アユタヤも何か関係してるんだな?ということが分かる上手い演出だな、と思いました。
アユタヤ時代の話については、原作小説でもドラマの話の後に出てくるので、ドラマ全話の感想を書いた後でまとめて書こうと思います。
※後11話もあるのに、いつになるんだか・・・アユタヤのこと早く知りたい!というご要望あれば、ドラマ感想より先にアユタヤネタバレ書きますので、コメントください

水の中のシーンは、小説では一番最初に書いてあります。
ヤイは声だけで出てきません。
小説の最初はワームホールの話から始まります。
その続きで事故で水の中に入ってしまったジョムの耳に「ポージョム」という声が2回聴こえてきます。

ミンとの出会い

ジョムが川から顔を出したら、街にいたはずなのに、周りは緑ばかり。
もうここで、何かがおかしいと分かりますね。
岸まで泳いで疲れて寝てしまったジョムを通りがかったミンが助けます
これって、普通に考えたら怖いですよね・・・
見知らぬ人が寝ていて、しかも見たこともない服。
そして、話しかけたら使う言葉も違うし、いきなり吐いて服を汚される💦
そんなひどい奴を家まで連れ帰り介抱して服まで貸してあげたミンはいい人すぎます。
ここで、私は人としてミンに惚れました。

ミンの家。左から、ミンの母、ジョム、ミン。

民の家や母親の服を見て、時代が違うのがはっきり分かります。
チェンマイの昔の人の衣装はすごく布が少ない!
日本に住んでいるから、母親の衣装を見て、寒くないのかな?これで夜独り歩きしたら危ないな、と心配になりました。
ジョムも何か違和感を感じている様子ですが、信じられない様子で、早く元の自分の家に戻ろうと必死です。
ジョムは現代人なので、困った時はすぐに携帯に頼ります。
でも、自分の携帯が見つからないのでミンに借りようとしたら以下のおかしなやり取りになってしまいます。

ジョム「携帯を貸してもらえますか?」
ミン 「手を貸せってこと?」

この意味、タイ語が分かる人には分かるのですが、知らないと?ですよね。
タイ語で携帯電話はท์มือถือ(ムートゥー)
ท์มือ(ムー)は手、ถือ(トゥー)は手で持つという意味です。
携帯電話が無かった時代の人がこの単語を聞いたら「手」で何かしてほしいという事しか分からないので、「手を貸せってこと?」というミンの答えになるのだと思います。

ジョムとミン。ここに倒れていたジョムをミンが見つけた。

ミンとの出会いがジョムがタイムスリップした時代でも幸せに暮らせた一つの要因だと思っています。
初めて会ったジョムを信じ、助け、力になってくれる。
これはこの後もずっと変わりません。この友情、いいなあ。


タイムスリップ先は1927年

ジョムを家に帰すためにミンは警察に連れて行こうとします。
移動手段は舟。
道路のように川を舟が行きかう様子は、その時代の生活はこうだったのかな、と想像を広げさせてくれます。
舟を降りて警察に行く途中に市場を通りかかるんですが、そこでジョムは明らかに場所の様子がおかしいことに気が付きます。
そして、そこにいた人が読んでいた新聞に書いてあった日付は、
”仏歴2470年(西暦1927年)10月7日”
後でミンに聞くと、チェンマイに領主がいると分かり、これはやはり昔にタイムスリップしたのだとジョムも納得するしかなくなった様子です。

ジョムはこの新聞を見てタイムスリップに気が付きました。

現代が西暦2023年なので、約100年前にタイムスリップしたことになりますね。

小説でもタイムスリップ先は同じ年です。
でも、ミンが見つけてくれるのではなく、ジョムが自分から助けを求めます。
そこでミンと出会います。


クンヤイとの出会い

結局警察にはいかず家に戻ろうとする二人が舟に乗っていると、どこからともなくラントム(プルメリア)の花が飛んできます
その花が落ちた場所が、ジョムの乗っている舟の上とジャスミンの花がたくさん入っている皿の上

ジャスミンとラントムの花

船の上の花はジョムが、皿の上の花はクンヤイが手に取り、その花を顔に近づけてみようとするとその先にいるお互いの姿が目に入ります

クンヤイ
ジョム

その二人の表情から、驚きだけではない複雑な感情が読み取れます。
どう思ったんでしょう・・・
流れる曲はASIA7「จอมขวัญ(ジョムクワン)」のインストバージョン
ドラマを観ていくと分かるんですが、この曲が流れるときは大体幸せなシーンです。
インストで歌詞が流れないという演出は、あえてまだ二人の関係を示唆させないためかな、と思っています。
※クンヤイは名前はヤイなんですが、ドラマの中で敬意をこめてクンヤイと呼ばれているので、私もクンヤイと書きます。

このシーン美しすぎて、ここだけ切り取って永遠に見続けたいと思うくらい大好きなシーンです。
小説でもこのシーンはとても美しく、丁寧に文章で紡がれています。
でも、小説だとこのシーンが出てくるのはチャプター3。もう少しこの時代での話が進んでからなので、ここからは小説とドラマの時間軸は違ってきます。

ジョムとクンヤイはプルメリア越しに見つめ合っていたのに、ミンがヤモリを見つけて騒いだお陰で舟が転覆。
川に落ちてしまったジョムを見て思わず飛び込み助けるクンヤイ。
水の中で再度同じ顔の男に助けられ、口づけしてきた髭の男とオーバーラップします。
この水に落ちて助けるシーンは小説にはありません。
でも、小説では、見つめ合っているときにジョムの鼓動が速くなり、クンヤイの瞳に宿る何かをジョムは感じます。
まさに運命の出会いですね!

そして、エンディング曲が流れてエンドロールが流れます。
エンディング曲はCOCKTAIL「ลั่นทม(ラントム)」のインストバージョン
このドラマのOSTはどの曲もドラマのストーリーの内容とリンクしているので、1話ではあえてその内容が分からないようにしているのかな、と思いました。
このドラマ、音楽の使い方もちゃんと考えてうまい使い方してるんです。


原作小説からの追記

このドラマには原作小説があります。
現在、タイ語版と英語版が出ています。(それ以外の言語は分かりません)
日本語訳が出ていないのでなんとか翻訳して読むしかないんですが、Google翻訳がしやすいのは断然英語です。
タイ語は変な日本語になることが多いです。
でも、少しでもタイ語が読める人はタイ語の文章を読むと、実際のニュアンスが感じ取れて良きだと思います。
※私が読んだものは英語版(kindle)とタイ語版(紙版)です。

読んでみて思ったのは、時間の流れや登場人物が違うけれど、世界観やジョムとヤイの二人の関係に関するエピソードは同じという事。
なので、原作に忠実なドラマだと思います。
だからこうやってドラマと小説を絡めて世界観を読み解きたいなあと思った次第です。


出版社の前書き

実は小説のタイ語版と英語版には一つだけ違いがあります。
タイ語版には出版社の「คํานํา」があります。
意味は「introductin(導入)」という意味のようです。日本語にすると、「前書き」とか「はじめに」みたいな感じでしょうか。
英語版ではそこがカットされています。出版社の関係?
これは何なんだろう?と気になって、私の持つ数少ないタイ語の本(ほぼBLです)を観てみると、同じeverY出版の本には「คํานํา」がありました。
他の本も、作者の前書きや紹介文があり、本編が始まる前に何か書いてあることが多く、タイでは後書きではなく前書きがあるのが主流なんでしょうか?
※この作品には作者の後書きもあります。

さて、どんなことが書いてあるのかというと、最初の文章はこんな感じ。

'หอมกลิ่นความรัก' เป็นนิยายชื่อหวานที่บอกเล่าเรื่องราวของ 'จอม'สถาปนิกหนุ่มที่ถูกความรักเล่นงานจนหัวใจบอบซ้ำไม่มีชิ้นดี

'หอมกลิ่นความรัก'より
訳:「愛の香り」は恋に何度も心を傷つけられた若き建築家「ジョム」の物語を描いた甘い小説です。

そうして簡単な話の概要が続き、最後はこう締めくくられています。

ใบนั้นไปพร้อมกับจอมล่องผ่านรูหนอนแห่งจักรวาลด้วยการนำทางของนักเขียนมากฝีมืออย่าง VIOLET RAIN กันนะคะ

'หอมกลิ่นความรัก'より
訳:VIOLET RAINのような非常に熟練した作家の導きで、ジョムと一緒に宇宙のワームホールを旅してくださいね。

これを読んでから小説を読み始めるので、最初からすごくワクワクしました。


ラントム(プルメリア)の花

ラントムとはプルメリアの花のことです。
このドラマでラントムの花はすごく重要です。
ドラマの中でも花が強調されるシーンが多いし、小説にも花の香りがたくさん描写で出てきます。

例えば、事故に遭ったジョムが水の中で溺れるシーン。
ドラマではヤイが出てきましたが、小説ではラントムの花の香りが漂ってきます。
そして、そこで懐かしい声が聴こえてきます。
これがプロローグなので、ラントムの花の香りは何か特別な意味があるんだろうな、と分かります。

そして、改修工事中のお屋敷の裏庭にはラントムの木がいっぱいあると描かれています。
それを見たジョムは不思議に思います。
今でこそタイでも良く見かけるようになったプルメリアですが、昔はその「ラントム」という言葉は「ลั่นทม」と書き、音がタイ語で悲しみ、苦しみを意味する「ระทม(ラトム)」と似ていることから、不吉な花とされ、寺院などに植えられていたようです。
その後「ลีลาวดี(リーラワッディ)」と改名され、その後は急速に人気になったとのこと。
でもこのお屋敷は100年以上前に建てられたものなので、そこにずっと育てられていたことを考えると、持ち主が進歩的だったのか?悲嘆に暮れていたのか?とジョムは想像していました。
さて、その答えはこのドラマを最後まで観れば分かるので、お楽しみにしておいてください。

気になって調べてみたら、
プルメリアの花言葉・・・気品、陽だまり、情熱、内気な乙女、恵まれた人
ラントムの花言葉 ・・・悲しみを残す
同じ花でも、呼び方で花言葉が違うようです。
日本ではプルメリア一択なので、ラントムという呼び方はタイだけですが。



ということで、1話の感想はここまでです。
すごく長くなってしまいました・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

動画と画像はDee Hup House公式YouTubeよりお借りしました。



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