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聴竹居@大山崎町

友人に誘われて京都の大山崎町にある聴竹居に行ってきました。
その友人が言うのは面白いだろうという信頼から、何も知らずに「行く行く~」と言っていたのですが、予想をはるかに超えて良かったです。
もし建築に興味のある人がいたら、是非とも行って欲しいくらい、非常に興味深い建築物でした。

そもそも聴竹居というのは、建築家の藤井厚二(1888-1938)が建てた自宅で、なんと住居建築の研究のために自宅を5軒も建て、その5軒目がこの聴竹居なのです。
実際に住んでみて快適さを追求していったというのだから、すごい熱心さ。
元々大山崎に広大な土地を持っていたらしく、第3軒目、第4軒目もあり、更にはプールやテニスコートもありと、どんだけお金持ち!?と思っていたら、ご実家が広島の豪商らしく、家長であったお兄さんが出資してくれたらしい。なるほど…

聴竹居も、こうした潤沢な資金を元につくられたのがよく分かるくらい、また藤井氏の美意識がひしひしと伝わってくるくらいの、細部までこだわりぬいた作りになっていました。

日本の住宅は、夏を快適に過ごすことをまず第一に考える必要があるということで、いたるところに風を通す仕掛けがありました。
風通しをよくするために仕切りを極力減らし、柱もなくし、もちろん欄間もあり、びっくりなことに壁は通気性のよい和紙。
仕切りや柱をなくしているので、部屋の隅に補強がされているのですが、それが作り付けの棚や飾り棚、花台という形になっているのが、見えてくるこだわりの1つ。
また土管を使って、空気を外の斜面の下から床下へと通しているのもすごい工夫です。なんでも土の中は一定の温度に保たれているので、夏はひんやりしており、空気をその中を通すことで冷やしているのだとか。

そうした工夫もすごいですが、やはり意匠も本当にすばらしい!
和洋の統合が随所にみられるのですが、洋の部分はチャールズ・レニー・マッキントッシュのテイストが入っているので、違和感なく1つの世界が出来が上がっていました。
直線、曲線のハーモニーというよりも、四角、丸、三角といった図形の組み合わせのデザインが和の美意識に合っているんだなと気付かされました。

聴竹居の魅力は語り尽くせないのですが、こうしたことを説明してくれているのが近くに住む地元の方。
聴竹居自体は竹中工務店の持主なのですが、保全活動や解説などは地元の方から構成されている一般社団法人聴竹居倶楽部とのことでした。
そもそもこの近所に住まわれている方の多くは、藤井氏が亡くなった後、藤井氏の奥さんが提示する条件を元に土地を購入した方々の子孫。
この地元の人を入れた文化財保全活動というのが、非常にうまくいっている例のように見えました。
それくらい解説してくださった方が、聴竹居を愛し、誇りに思っていることがよく分かったからです。
やはり建物は、人に愛されてこそ存続するんだなぁと感じました。


こちらの聴竹居を見学するには事前予約が必要となっています。
ネットで予約ができます↓

写真撮影も、予約後に送られてくる案内メールにある撮影許可願い及び誓約書をプリントアウトして記入して持っていけば可能でした。
ただ、ネットには載せないようにとあったので、こちらの記事にはあげていません。
また、解説してくださっている時は熱心に聞いているので、終わった後の5分-10分くらいしか撮影はできませんでした。
なので、本当に自分の記録用の写真となりました。

今回、茶室なしの見学だったのですが、どうやら茶室も普通の茶室とは一味も二味も違う、非常に変わった茶室らしいです。
また違う季節に、今度は茶室付きで見学に行きたいと思いました。
何度来ても感激しそうな聴竹居です。

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