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5月11、12日の双葉、大熊、富岡取材を終えて-2 『六国で5人と出会う』

 5月11日の六国歩きでは、チャリンコ3人と出会った。一番最初、Tシャツとサンダルでママチャリに乗ったおじさんに追い越されたときは、そのスタイルがあまりに衝撃的で、声をあげて笑ってしまった。

 「なぁにやってんだよ!」

年間20mSvを遥かに上回る汚染がある帰還困難区域を、
Tシャツとサンダルで普通に走り抜けるおじさん。

 その後、長者原に入ってすぐの六国脇の家に一時帰宅してた人とばったり。

 「お兄さん、どこから来たの?」

 「埼玉です。解体ですか?」

 「いや、解体はしねえ。何だ、わざわざ写真撮りに来たんか」

 「はい、もう32回目で…」

 「何だ、32回も来てんのか。じゃあベテランだな。ほら、撮ってけよ!」

 その人が指差した先には、1Fの排気塔が見えた。

長者原交差点に立つ警備員。この場所は徹底的に除染され1.0μSv/h以下にまで空間線量は下がっているが、放射性物質が舞うためきちんと被曝防護しながら働いている。

 その直後に、外国人が正面から歩いて来た。明らかにテンパってる。挨拶を交わしたあと、その彼は「相双エコカンパニー」の処理場の方へ歩いて行ってしまった。途中で警備員に止められただろうなあ。

歩道の狭さにも驚いたに違いない。
この場所が面的に4.0μSv/h近くあり、スポットとしては7.0μSv/h近くある汚染地域だという認識は、彼にはないだろう。
中央台交差点。除染が進み少し下がったが、それも5.5μSv/hが3.2μSv/hに下がったに過ぎない。年間約28mSvだ。おそらく彼はそんなことは知らない。

 これまで、双葉や大熊の町なかを歩いていても5人もの人と会うことはなかった。みんな車だった。六国をチャリや歩きで縦断するのが流行ってるのだろうか?

 マスクをしてたのは住民の方と僕だけ、線量計を持ってたのは僕だけでした。もやもやする…何なのこれ。

 5月11日は、富岡以北6時間滞在で積算4.86μSvだった。1時間あたりにすると0.810μSv/h。やっぱり六国は高い。

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