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Webディレクターの仕事って何?を考える/ディレクター談義#11

2021年11月27日(土)に開催したディレクター談義 vol.11「Webディレクターの仕事って何?を考える」をテーマに、名村さん(@yakumo)と町田(@netacho)でお話しました。

「ディレクターの仕事ってなんだっけ?」の問い

ヒアリングやクライアントとの折衝、企画書や提案書作成、制作スタッフへの指示出し、スケジュール・予算管理、ワイヤーフレーム作成、アートディレクションやシステムのデバッグなどなど「ディレクターがやるべきこと」は100%の答えや正解はないため「幅広い知識が求められる」とよく言われているかと思います。

「幅広い知識」って具体的に何?

幅広い知識と曖昧にして絶望感に浸るのか俺やってる感出すのかはさておき、もうちょっと具体的にしてみようと思って「Webディレクター 仕事内容」で検索していくつかの記事を見ながら、スキルや知識的なものとしてまとめている2つの記事を図にしてみました。

【参考記事その1】Webディレクターとは? Webディレクターの仕事内容と年収|インターネット・アカデミー
【参考記事その2】Webディレクターに必要な16のスキル&知識!キャリアアップのために身に付けるべきものは?|WEB STAFF

「Webディレクター」というのは、Webサイトの運営・制作の現場において指揮・監督を行う責任者という役割から、その責務を全うするための業務と知識が求められる。それらの知識を書き出していくと、おおむね「必要なもの?全部じゃね‥?」という話。とはいえ、これを全て100%やりきるのは、不可能ではないだろうけど、まぁまぁ長い旅路になりそうです。

「Webディレクターの業務」を抽出し、全行程で共通すること

「Webディレクターの業務」としてよく出てきそうなワイヤーフレーム作成や情報・コンテンツ設計、先程の図にも出てきた制作指揮・進行管理、予算管理、タスク管理などなど。
一つ一つ重要ではあるけど、全領域で恒久的に必要とされるものもあれば、ファイルリスト作成のように局所的に使うスキルもあったり。

けど、ディレクター談義で話したいのはそういう局所的なものじゃなくて、これらの作業を抽象化し抽出して、全行程で共通することってなんだろう?という問い。

ディレクターにはいろんな知識が必要で、監督して、責任を持ち‥というのはわかった。じゃぁ、ディレクターがその存在価値を発揮することってなんだろうか?「あなた(ディレクター)がいてくれてよかった」と言われるには?と考えた時に浮かんだのが、今回サブテーマとして掲げた
ふわっとした「で、結局なにすんの?」を具体的にすることでした。
企画提案書も、中間成果物ドキュメントも、進行管理したり予算まとめたり、いろんな状況下でディレクターがやってることってコレじゃない?と。

Web制作のワークフロー

けど、この話をいきなり前面に持ってきて「ふわっとした事ってどうやってパリっとさせてます?」なんてテーマ設定をしても、聞いてる方は「何の話やねん?」とよくわからない事になるので、あらためて「Web制作の全フェーズ」をざっくり書き出してみました。
で、それは0→1の設計フェーズ、1→10の構築フェーズ、10→100の運用フェーズと3つの領域に分けられるなと。

「ディレクターはどの領域にどのように関わるのか?」と現実に照らし合わせる。
会社(あるいは個人)によって人数や得意領域の事もあるでしょうが「私は主に0→1領域で、3〜4以降の実制作は外部と協力しながらです」といった場合もあれば「継続的かつ安定的な運用なので10→100を得意としています」と、関わる範囲は様々かと思います。

全行程で発生する「ふわっとしたこと」とは?

いよいよ、サブテーマである「ふわっとしたこと」の登場です。
クライアントからの質問や相談やヒアリングの時だけでなく、制作途中でも担当スタッフが「えーと‥つまりどういうこと?」といった状況に陥り、判断に迷ったりするシーンは発生するかと思います。

「ふわっとしたこと」を構造化し、なぜそうなるのか?の理由を明確にする

じゃぁこれらの「ふわっとしたこと」は何故起こるのか?
「ふわっとしたこと」はどういった構造をしてるのか?を考えてみました。

  • 主語が明確でない:何の話してるのかわからない

  • 目的が明確でない:手段が目的化してる時に起こりがち。「何でなん?」みたいな話。

  • 言葉の定義が曖昧:言ってる内容は分かるけど意味がわからないとか、自分と相手で言葉の定義にずれがあるときに起こる。

書き出してみると超絶当たり前な感じもするけど、言語化することで自分の中でも「あー。だからか」と妙な腹落ちの瞬間がありました。
仕事は一人ではできないので、誰しもが日々、そういう事が起こらないよう気をつけながらコミュニケーションを取ったりしているかと思いますが、それでもやっぱりズレというのは生じるもの。だってにんげんだもの。

Webディレクターの存在価値は「明確にする」
で、その方法は?

ここで改めて「Webディレクターの存在価値」を出してみます。コレ。

しかし、いきなり「明確にすることが存在価値だ!」なんて言われても、まぁなんとなくわかるんだけどよくわからないかと思います。
なので、手前のいろんなめんどくさい回り道をしていたわけですけども。

では、「ふわっとしたことを明確にする」ってどうやって?
「ふわっとしたこと」を別の言葉に置き換えると「抽象的」とも言えます。つまり「抽象」な状態を「具体」にするための方法は何か?を書き出してみたのが下記。

これらをどう鍛えていくのか?という話は本読んだりブログ見たり実践したりしながら頑張っていただくとして、文章に関しては名村さんのセミナー「誰がどう見てもそうとしか受け取れない文章術」を受けてください。
待ちきれない人は、以下の公開版スライドをご覧ください。
※20222月19日(土)に開催予定とのこと

たとえばこんなふわっとした相談が来た時、どう答えますか?

ようやく本題。
いつものお題カードを用意し、名村さんと町田でわいわいと「どう答えるか?」のお話をしていきました。

お題カードのひとつ、「人を採用したいからホームページがほしい」というふわっとした相談にどう答えるか?を図にしてみました。
「何がどうなってるか?」と、「周りはどうなってるか?」をかけ合わせて見える「現在」と、達成したい「理想」。その2つを結ぶ策。
企画の場合、こんな具合に明確にしていきます。

ディレクター談義vol.11 当日のアーカイブ音声

当日のアーカイブは下記より。Anchor経由でApplePodcastSpotify等で配信しています。(視聴の半分くらいはApplePodcast)
ぜひチャンネル登録お願いします。

当日のスライド。ぜひ音声とセットでご覧ください

感想:日本の国語教育に足りないと感じたもの

今回、名村さんとお話しながら「あ!なるほど」と感じたのは、日本では「一を聞いて十を知る」「阿吽の呼吸」「以心伝心」といったハイコンテキストなコミュニケーション(言わなくてもわかるよね?)を良しとする文化があります。

それ自体が悪い事とはいいませんが、そういうコミュニケーションに頼ってしまうと、WebやITなど「明確さ」を求められる仕事では認識や範囲の食い違いを生み、プロジェクトのあちこちでボヤ騒ぎが起こってしまう。

なぜそういう事が起こりがちなんだろう?と話をしていくと、実は日本の国語教育は「意図を汲み取る/相手の気持ちを慮(おもんぱか)る学習」を中心にしているので、「なぜAさんが伝えたことが、Bさんに適切に伝わらなかったのでしょう?」といった、適切に伝える事やコミュニケーション術のための国語教育が不足しているのでは?という発見がありました。

次回のディレクター談義では、このあたりの言葉についての話をしてみようか、とふんわり考えていますので、お楽しみに。(気分で変わるかも知れませんが)

ディレクター談義って?

東京のWeb制作とシステム開発の(株)サービシンク 代表 名村さん(@yakumo)と、愛媛のWeb制作とシステム開発の(株)アイムービック ディレクター 町田(@netacho)の主に2人で隔月実施しているディレクターの雑談イベントです。
「いますぐ役に立つディレクションのハウツー」よりも、答えのない問いに対してあーでもこーでもとお話する中で、自分自身の考えを改めて整理したり、ご参加(後日のアーカイブ)いただいた方へ、何かしら考えるヒントになるような機会になれば幸いです。

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