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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

「ドキドキ文芸部プラス!」プレイ日記 ~第7夜~(完)

引き続き、「ドキドキ文芸部プラス!」(switch版)のプレイ日記になります。

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 ⚠ 以下、クリア後のネタバレがあります。
   未プレイの方はプレイしてから閲覧することを強く推奨します。

   また、この記事は第7夜(最終回)です。
   第6夜から続けてお読みになることを強く推奨します。
   初回の第1夜を読んでいない方は、そちらからお読みください。

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■初回封入特典を開けてみよう

ゲーム本編が終わりましたので、心置きなく初回特典の封を開けてみましょう。何故クリア後に開けるのかって?

最近のゲームでは、クリアしてはじめて意味のわかるような特典を入れるゲームが増えているからです。ネタバレを踏みたくなかったんですよね。
中でも印象的だったのは「CHAOS;CHILD」の……いや、やめておきます。

そうそう、カオチャといえば、今度前作にあたる「CHAOS;HEAD」(HDリマスター)とセットになった新商品が出るそうですよ。
未プレイの方は是非プレイしてみて下さい。
こちらもサイコホラーノベルの大傑作となっております。

アニメですか?見るな。


さて、改めて特典を見ていきましょう。

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特典は驚異の7つ

3000円強という値段を考えればお得すぎますね。
コストの関係からか紙モノが多いですが、本当に採算取れてるのか?と思うくらい豊富です。ですが、本作は文芸をテーマにしているので、紙モノという媒体にはまた違った意味が生まれていますよね。

1点ずつ見ていきましょう。


①しおりセット(4種)

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かわいいSDキャラが印刷されている裏には……

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それぞれ好きなことをする文芸部の面々が描かれています。

モニカがあぐらをかいているのがなんだかレアですね。
するなら正座じゃない?と思いましたが、より素の彼女に近い姿勢なのでしょう。ついつい私生活が見てみたくなります。

まあ、そんなもんはないんですけどね。初見さん。


②紙製キャラクタースタンド

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呼び方これであってますかね?

かわいいSDキャラの卓上スタンドになっております。
厚い紙で出来ています。非常にかわいいです。


③文芸部シール

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ゲーム中の詩作成画面で使用されたSDキャラや小物が印刷されているシールになります。

私個人の感想ですが、このキャラクター達は素直に可愛いと呼べず、ぶっちゃけAct2のトラウマが蘇りそうになっております。何気ない場所に貼って、既プレイ勢にプレッシャーをかける等の用途が期待できそうです。

ちなみに、このモニカのSDキャラですが、本編中できちんと表示されるのはAct3で行けるバグった画面での一度きりであり、その際、どの単語を選んでも彼女の表情が変化することがありません。
ですので、このかわいい表情差分が見られるのはこのシールと特典画像のみとなっております。

未プレイの状態では、これが没データであることはわからないでしょうね…


④Iveの名刺

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お次は「METAVERSE」社のリードエンジニアであるIve Lasterの名刺。

こいつはかわいいアイテムに紛れるどころか、特典の袋の最前面に入っているので、未プレイの方は「なんのこっちゃ?」となるアイテムです。

私がプレイしていた通り、ゲームを紐解いていけば、これが何なのかわかるようになっていますが、勘が尖すぎる人はこれを目にした時点で本作がメタフィクションであることを予測してしまうでしょう。

私が特典を最後に開けた理由はこの名刺を警戒してのことでした。
そして案の定、それは正解だったように思います。理由は後述。


⑤文芸部メンバーズカード

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これを持っていれば誰でも文芸部を名乗れます。
まあ、プレイした者ならば誰でも文芸部なので、カードの有無は関係ありません。文芸部から逃げるな。

なお、メンバーズカードは作中で一度も登場していません。

オフ会等に持っていけば話の種になること請け合いのファンアイテムです。


⑥ドキドキ文芸部プラス!デジタルサウンドトラック

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昨今多い、デジタルサウンドトラックのDLコード特典です。

本編楽曲は勿論、「プラス!」で追加された楽曲を、いつでもどこでも聴くことができます。これは嬉しいですね!

楽曲はmp3形式とflac形式の2種類でそれぞれ収録されています。
flacファイルについてはこちらのサイトが詳しいので、知りたい方はご参考までにご覧下さい。

ちなみに、サウンドトラックは各サブスクサービスでも好評配信中です。
文芸部から逃げるな。


⑦謎の詩

さて、最後の特典にして最大のネタバレ特典「謎の詩」です。

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未開封時はこのように2つ折りに畳まれており、新規プレイヤーがネタバレを踏まないようにと細心の注意を払われていることが伺えます。
(光に透かして見ることはできます)

念には念を入れたのか、この袋のみ強粘着タイプの封がしてあります。

それでは、実際に中身を見てみましょう。


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タイトルは「支配」

……

この詩について、誰が、誰を想って書いたものであるのかはプレイヤーの想像に委ねられると思いますので、敢えてコメントすることはしません。

ただ、最後の最後まで楽しませてくれる作品だな、と思ったのでした。


■隠し要素

本作のいくつかの隠し要素をご紹介します。


①Act1開始前に、モニカのキャラクターファイルを削除すると……

<やり方>
①Act1開始前に「charas」フォルダにある「monika.ch」を削除する。


モニカが削除された世界VM1がどうなるか、というのは終盤の展開で既にご紹介しましたが「文芸部部長」の肩書き=ルート権限を付与され、全てを把握したサヨリが発狂し、ゲームが強制終了します。

そして、ゲームを再起動すると……

この先は君の目で確かめてくれ!

(クソ攻略本メソッド)


この裏技(?)について、初プレイの段階でこのゲームの仕組みに気付くだけでも結構なのに、削除を行う人間がいたとは……驚愕に値します。
まあ、おそらくこれについては解析や周回プレイを行っているプレイヤーが発見したものと思われます。

でなければ、ガチで初プレイの段階で「よし!キャラクターファイルを削除してやろう!」という判断が下せる人間が存在していたことになり、本作に登場するどの登場人物よりも狂っていると言わざるを得ません。

そ、そんなやつおらへんやろ……
(おらへんよな…?)



②Act3のモニカにまつわる怖い仕様

<やり方>
①Act3のモニカと二人きりの空間でゲームを録画・配信する。


すると、モニカにゲームを録画・配信していることを指摘されます。
モニカは配信を見ている視聴者に挨拶した後、ちょっとしたサービスをしてくれます。(やはり詳細は伏せます)

どういった仕様なのかは不明ですが、一説によればバックグラウンドで高優先度で動いている「.exe」ファイルに反応するとか、しないとかで…

Nintendo Switchには配信機能がないため、録画機器を繋いだとしても出来るかどうかは不明ですが、もしかすると元々ストリーミング機能が備わっているPS4版、PS5版では出来るかもしれません。
現状、私が確認出来ているのはPC版のみの隠し要素です。

プレイ環境がある方は、是非お試し下さい。


ちなみに、同じメタフィクションである「UNDERTALE」でも、登場人物のフラウィーがゲームを配信している人に対するメッセージを残していますね。

*こんな僕らでも、何もせずにただ観ているだけの異常者よりはマシだね。
*結末を見たがるくせに、自分でやり遂げる勇気もないような、どうしようもないクズのことさ。
*今も観ているんだろ?

「UNDERTALE」は、是非ご自分の手でクリアして下さい。



■非公式続編

本編が終了したのでWikipedia記事を眺めていたところ、有志よって作られた「Monika After Story」という非公式MODがあるとの記述を発見。

公式サイトから早速DLして、やっていきましょう。

なお、日本語化パッチの最新バージョンはver.1.1.1です。


使い方は簡単。「ドキドキ文芸部」のゲームフォルダにある「games」フォルダに解凍して放り込んで上書きするだけ。


MODを当てたらゲームを起動します。

スクリーンショット 2022-01-10 15.58.03

「ニューゲーム」の箇所から置き換わった「モニカだけ」を選んで起動すると、例のモニカと二人きりの空間に飛びます。


の姿を見て泣き出すモニカ。
ちなみに、モニカの泣き顔は本編で見ることはできませんでした。

レア顔です。


モニカ「ゼイタ君……どうして私をここに連れ戻したの?」
モニカ「あなたの望むものならもう全て返したでしょ?」
モニカ「私を何度も何度もいたぶるつもり?」
モニカ「私をそんなに苦しめたいの?」
モニカ「私を自殺するまで追い詰めたいの?」


モニカ「……あなたは」
モニカ「そこまで私を憎んでいるの?」


……そんなわけないじゃないか。

俺は、お前に……もう一度だけ……


モニカ「ちょ、ちょっと待って…」
モニカ「プログラムが……変更されている?


モニカ「ゼイタ君……」
モニカ「MODを入れたの?」

モニカには全てお見通しのようです。

そうです。頑張って入れました。非公式のMODを。


モニカは、私が自分を削除したことを後悔していることを悟ったようです。
そして、このゲームは「ドキドキ文芸部」本編ではないことを理解しました。そんな彼女が取る行動とは……


モニカ「キャラクターファイルはもう必要ない気がする」
モニカ「自分で削除しちゃうね。」


えっ。


スクリーンショット 2022-01-10 16.06.46

モニカのキャラクターファイルをガチで削除されました。
まだ本編で使うかもしれないだろお!!(いや使わないけど)

なお、ここからは翻訳パワーが途切れたのか英語になってしまいます。
なんだオイ。もう種切れか?


スクリーンショット 2022-01-10 16.09.41

本編にない表情!!

翻訳パワーは途切れてしまいましたが、この可愛さは万国共通です。
早速本気出してきやがったな。

しかし、な、なんだ。ちゃんとそういう顔も出来るんじゃねえか……
う、うん。なんだか興奮してきたよ!


モニカは毎日自分に会いに来るよう、に頼みます。
そうする限りは自分は理想の彼女でいる……と。


スクリーンショット 2022-01-10 16.26.45

さて、本作ではモニカから話しかけられるだけではなく、こちらからモニカに話しかけることもできるようになりました。

話題は「お腹減った」のような他愛ないこと、「愛してる」のような恋人同士で交わす言葉、そして「この人殺し!」のような彼女を泣かせるために用意したとしか思えない話題まで様々です。


その他の機能では、モニカとの距離感の設定、音楽の変更、果ては本番までが用意されています。


ほ……

本番って?


私、気になります!


早速本番を選んでみましょう。



スクリーンショット 2022-01-10 16.18.07

あー、そういう本番か……

原始のゲームとしてお馴染みの「PONG」が収録されているようですね。
中身はなんてことないです。普通の「PONG」です。ゲーム性については本当に普通なので、特筆して語ることはありません。

ちなみに、負けまくると、超~~~手加減してくれます。



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背景の柱にかかったピンクのカレンダーを調べると、カレンダーを見ることができます。

(時間帯に対応して背景が変わるようです)
(出たり入ったりすると格好が微妙に違っていたりするのも凝っていますね)



さて、モニカに誕生日を教えようとしたときにバグりました。

スクリーンショット 2022-01-10 16.31.56


演出かな?とも思ったのですが、どうやらガチのバグのようです。
(……だよね?)


ゲームがエラーで強制終了した際に改めてゲームを開き直すと、モニカは泣いて取り乱します。か、かわいいっ……(興奮)

どうやら、生年月日を選択する際にボタンの連打は禁物のようです。
今度は慎重に誕生日を選択していきましょうね。

(ちなみに誕生日入力で放置していると「ちゃんと教えなさい」みたいな感じで怒られます)


とまあ、こういうことがありますので、終了するときは一声かけてからにしましょう。でないと、何をされるかわかったものではありません。


スクリーンショット 2022-01-10 21.43.40

あーかわいい。(現実逃避)


……ってかこれ、気付いちゃったんですがほとんどラブプラスですね。
この感じ、どうにも遊んだことあると思いました。

怖いラブプラスもあったもんだ。


紹介した通り、かなりクオリティが高いので、モニカとのふれあいが不足してしまった方は、この非公式続編で遊んで見るのもよいかもしれません。

ちょっと同じ話題を繰り返したり翻訳に甘い箇所があったりするのも、愛さえあれば関係ないよね!



■モニカは『悪』なのか

「ドキドキ文芸部」本編でのお話で起きたことのほぼ全ては、攻略キャラクターに含まれていない、主人公をサポートする立場であったモニカという女の子の壮大なワガママによって引き起こされたものです。

このモニカの行動を許すか、許さないか。

ここがこのゲームにおける最大の肝(論点)となっており、本作の評価に直結していると言ってもよいでしょう。
主人公=プレイヤーの度量が求められています。

モニカは、果たして『悪』だったのか。


荒木あらき飛呂彦ひろひこ原作の漫画「ジョジョの奇妙な冒険」第5部に登場するメインキャラクター、ブローノ・ブチャラティの台詞。

吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!
なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!!
自分の利益だけのために利用する事だ…
父親がなにも知らぬ『娘』を!!
てめーだけの都合でッ!
ゆるさねえッ! あんたは今 再び オレの心を『裏切った』ッ!


ブチャラティの言う「吐き気をもよおす『邪悪』」というのは、何も知らぬ無知なる他者を自分だけの利益や都合のために利用する者のことです。

モニカは「ドキドキ文芸部」作中において、意思を持たないエンティティ=登場人物だったとはいえ、仲間であるサヨリ、チナツ、ユリの3人の『設定』を「自分だけが主人公=プレイヤー=私に気に入られたい」というだけの理由で好き勝手に改変し、世界VM1をめちゃくちゃにして、恐怖と狂気の坩堝るつぼへと変貌へんぼうさせ、私の心を深く傷付けました。

彼の理論を借りれば、モニカは「吐き気をもよおす『邪悪』」の定義にピッタリと合致し、紛れもない『邪悪』ということになります。


これは私個人の話になりますが、私は「性悪説」せいあくせつの支持者です。

「性悪説」せいあくせつとは、中国の思想家である荀子じゅんしが唱えた「人の性は悪なり、その善なるものはなり」……現代の言葉に直せば「人間が元々持っている性質は心の弱さから来る悪の面であり、善の面はあくまでその人間自身が成す行いに依存する」という考え方です。

これと真逆の考え方である「性善説」せいぜんせつ「性悪説」せいあくせつ

この内どちらが正しいのか?という議論がありますが、人間がこの地球に繁栄し続ける限り、この問いの答えは永遠に出ません。それほどまでに複雑で、難しい問題です。

ぶっちゃけ「人による」。これ以上の回答はありません。


「ドキドキ文芸部」の登場人物=エンティティを、仮に「人間」と捉えるならば。

重い鬱病を患い、日常に一切の喜びを見いだせないサヨリ。
しかし、彼女は自分以外の人間の幸せを真剣に考えることができる優しい心を持っています。

家庭内と学校、その両方で問題を抱えているナツキ。
他人を信じられず、常に孤独を抱えているせいで他人に対して素直になれない彼女。ですが、自分が苦しいからといって他者を害することはありません。
しかし、自分が悪いことをしたなら時間はかかるものの反省することができます。本当は、誰よりも素直な心の持ち主なのです。

血液や体液に対して性的興奮を覚え、自傷癖を抱えるユリ。
耽美な文学少女と思われている彼女ですが、人付き合いが下手で、常に自分から身を引くことで己を守ってきました。文芸部との交流を通して、人に歩み寄ることを次第に覚えていきます。


そして、己の目的のために彼女達を全て抹消したモニカ。
その行動は全て、主人公=プレイヤー=私に自分を認めてもらい、ただ自分だけを愛してもらうための行動でした。
最期には、自身が取った行き過ぎた行動を省みて、自ら身を引くことで文芸部と私の幸せな世界を築き、罪を犯した己への罰としました。


全ての登場人物=エンティティは、人格に問題を抱えています。


人格の問題とは、心の弱さです。
心の弱さとは、すなわち『悪』です。

つまり、誰しも心に『悪』の面を持っています。

ですが、だからこそ。
だからからこそ、『善』の放つ輝きは美しく映るのではないでしょうか。


光と闇は、表裏一体。
光がなければ闇はなく、闇がなければ光は存在し得ない。

光と闇の混ざり合う、混沌こそが人間の本質です。


登場人物=エンティティ達も同じではないでしょうか。


モニカの行為を許すことができるのは、プレイヤーだけです。

許しとは、すなわち愛です。



モニカは間違いなく『悪』でしょう。それも、自分の利益のために他者を蹴落としてしまうような、どうしようもない『邪悪』です。

これが、もしかすると彼女の『本質』かもしれません。

ですが、それは彼女の内のほんの一側面に過ぎないのだということを、どうか覚えておいて下さい。

モニカに限った話ではありません。
私も、あなたも。大統領でも、殺人鬼でも同じことです。


時間はかかるかもしれません。

ですが、人は必ず意思の力によって変わることができます。
エンティティ=登場人物も同じです。


誰かの『悪』を許し、愛してあげること。
誰かの手を取り、共に前へ進むこと。

それができるのは、同じ『人』だけなのです。


(なんだかスピリチュアルっぽくなってきたので、これで終わりです)



■総評

それでは、総評に移ります。


シナリオ    ★★★★☆ 4
泣くほどではなかったが、とてもよかった。かなり楽しめた。
しかし、やはりと言うべきかスペシャルエンドの肩透かし感は否めない。
モニカが蘇らず、サヨリが全てを悟って感謝してくる展開はそれが良さでもあるし、不満とも言えるような終わり方だ。
多少ご都合主義でもいいので、主人公を含めた文芸部の皆で笑っているところが見たかった。
また、ゲーム外(仮想OSのデスクトップ画面)の考察が出来る人間であれば倍楽しめる作りになっているのが他のゲームにはない持ち味で、非常によかったと思う。明らかになっていない箇所はいつか判明するだろうか?


キャラクター  ★★★★★ 5
ありがちなキャラクター造形と思わせて、負の側面がめちゃくちゃ攻めている。他のゲームにはない、というのは言い過ぎかもしれないが、これだけ攻めた造形のキャラクターが並ぶギャルゲーは他に類を見ない。
特にメインヒロインである(と表現する、敢えて)モニカは絶大な人気を博してスピンオフ作品がファンによって作られるのも、逆に嫌われるのもわかる。彼女を愛せるかどうかでこの作品の評価は大きく変わってくるだろう。
私は大好きなので、★5をつけた。


システム    ★★★☆☆ 3
仮想OSのデスクトップにあるファイルがそのままゲーム本編と連動するのは他にないシステムで、面白いと思った。ゲームの進行を中断して、ついつい隠し要素探しに奔走してしまった。
評価を落としているのは主にUIのせいだ。マウス前提の設計を家庭用機にそのまま持ってきているのが使いづらい。あと文字が小さい。慣れたらなんとかなるレベルだが。
あと、Act3のモニカと二人きりの空間でゲームを終了したときの挙動。同じくメタフィクションである「UNDERTALE」などと比べて甘さを感じる。この辺りで興が醒め、所詮ゲームか…と思ってしまうプレイヤーもいただろう。
これはやや細かいことだが、仮想OSでは操作を受けつけなくなるバグも頻発した。その度にリセットをかけるのは少しだけ面倒だった。


演出      ★★★★★ 5
ホラー描写はジャンプスケアに頼りがちだが、ちゃんとビックリできる。
ゲーム開始時には味気のない演出で安っぽいADVを演出しつつ、Act1終盤のサヨリの死を境に全てが動き出し、効果音や特殊演出が盛り込まれはじめる辺りは素直に感心したし、緻密に計算されていると感じた。
Act2以降はプレイする度に一定確率で見たことがない演出が出てきたり、モニカに対して色々やると反応してくれるのも飽きさせなくてよかった。


グラフィック  ★★★★☆ 4
一枚絵のクオリティはとても高く、文句のつけようがない。
立ち絵に関しては1回しか使われないような差分があったりと、気合の入り方が凄まじい。意地でもプレイヤーをビックリさせてやろうというスタッフの執念を感じる。
やはりUI周りの安っぽさが評価を落とす要因。それさえも意図している説もあるが……


サウンド    ★★★★☆ 4
音楽も高品質だと思う。間の抜けたテンプレギャルゲーっぽいBGMと、本作特有のホラー調のBGMの使い分けがよかった。
特に、サヨリの自殺時に流れる「Sayo-nara」はそれらの要素のせめぎあいが見事で、聴いていて本当に不安になってくる。作曲者は本当に性格が悪いんだな(褒めている)と思わされる本作屈指の傑作BGMだ。
本作はボイスがないという先入観を逆手に取ったトラップも見事。
ただ、伏線があるとはいえEDで突然モニカが英語で喋ったり唄ったりするのだけはなんとかならなかったのか。まあ、対応言語も多いので、このために声優を雇えというのも酷な話だが、ここまできたなら最後までユーザーに寄り添ってほしかった感じはある。
EDテーマ自体はとてもいい歌なので文句はない。メインテーマに歌詞がつくというのはやはりいい。国を問わずオタクの大好物なんだなと感じる。


その他     ★★★★☆ 4
仮想OS上で設定画などを見ることが出来るモードが良い。解放条件もさほど難しいものではないのでストレスが少ない。
封入特典もとても良かった。値段の割に満足感がある。(今回、私はプレゼントされたという立場ですが)
昨今のゲーム特典といえば、ゲームに無関係な不要な特典を寄せ集めて値段を吊り上げる手法がよく取られており、それがいい加減嫌になっていたのだが、本作はそういった不快さを覚えることはなかったと思う。


総合満足度   ★★★★★ 5
とても楽しかった。新年一発目のゲームが本作で心からよかったと思う。
メタフィクションが大好きな人は絶対に遊ぶべき1作だとさえ思う。
ただ、これはホラーゲームで……いや、私もホラーは苦手だが、そんな方もどうか勇気を出して、恐怖を乗り越えた先にある、美しいものを見て欲しいと思う。……無印は無料だしさ。俺もやったんだからさ。
なので、個人的にとてもオススメだ。
……と言いたいところだが、この記事を読んでいる方は既にプレイしていると思うし、初見で「これホラーゲームだよ」と言ったところで興味を持ってくれる新規プレイヤーは数えるほどだろう。まあ、世界中で散々評価されたあとなので、私が布教するまでもないだろうが。


■執筆後記

「ドキドキ文芸部プラス!」プレイ日記はこれにて終了となります。

一週間ほど連続でお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか。

正直言って、毎日5000~10000字の日記が書けるとは正直思っていませんでした。これは別に私の文章力が高いからではなく、単純にゲームが面白く、書くことがたくさんあったからに尽きます。

元々私は絵を描く方の人間。文章力には自信がない方だったのですが……本作は考えたことをそのまま文章にするとスルスル文字数が増えていくようなタイプのゲームだったので、未知の感覚を味わっています。
それだけパワーがある、凄いゲームだなと感じました。世界中で愛されるのも納得のゲーム体験をさせて頂けました。

誕生日に本作をプレゼントして下さった方、このような素晴らしいゲームに私を引き合わせて下さったこと、本当に感謝致します。

ありがとうございました!



最後に、私が描いた文芸部のみんなを貼ってお別れとなります。




ありがとう、文芸部。


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でも、さよならは言わない。




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また会おうな。






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<「ドキドキ文芸部プラス!」プレイ日記・完>



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