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始発待ちアンダーグラウンド・ムラタさんに教わったこと

12月13日の日曜日、大内ライダーさんにお誘いいただいて、大内さんが運営に関わっている神奈川・馬車道のBar黒月での「黒月特撮アカデミア 弐」というイベントに遊びに行きました。

これは特撮ドラマが好きな回せ!グルーヴ開発部・環杏さん、XOXO EXTREME・一色萌さん、始末待ちアンダーグラウンド ムラタ・ヒナギクさんというアイドルちゃん3人がその思いの丈をぶちまけるというイベント。2回目を数える今回のお題は特撮ソングについて……だったんですけど、ムラタさんのプレゼンに蒙を啓かされました。

特撮ソングの特徴を歌詞・タイトル・アレンジ・楽器使いから分析するというものだったのですが、まず忍者モチーフのスーパー戦隊ドラマ『忍風戦隊ハリケンジャー』のオープニングテーマのタイトルは「ハリケンジャー参上!」。そして琴や笛など和モノの楽器をフィーチャーしたアレンジになっている。あわせて歌詞も写真で彼女が掲げているとおり、『〜ハリケンジャー』のアウトラインを紹介するものになっている。

言われるまで気付かなかったんだけど、確かにこれって特撮ソング特有の特徴なんですよね。ドラマのテーマソングがそうではないのはもちろんのこと、きょうびアニメソングも「アンパンマンのマーチ」のような作りにはなっていない。『鬼滅の刃』のオープニングテーマは「紅蓮華」であって「鬼滅の刃」ではないし、LiSAさんのリリックは『鬼滅〜』の内容にまったくかすってないとは言わないまでも、モロにそれを紹介するものではないし、サウンドに大正テイストもまったくない。基本的に「アニメを紹介する歌であること」と「ミュージシャンの作家性・音楽性」がフィフティフィフティの関係で作られています。これはアニメの出演声優が個人名義で歌うものであっても同様のこと。

それゆえに裏をかいて……というか「アニメソングとはどういう音楽なのか?」をあらためて問い直すべく『シドニアの騎士』というアニメに「シドニア」というテーマソングを当てるangelaや、アニメ『ブラック・ブレット』のオープニングに「Black Bullet」を提供するfripSideのような存在もいたりします。

ところが特撮ソングは裏をかくまでもない。基本的にどこまでいってもそれは作品に資するものであって、作家やプレイヤーの存在はすごく匿名的。藤林聖子、及川眠子、渡辺宙明、田中公平、池毅などなど、作詞・作曲にはまあビッグネームが名を連ねているのに。

アニメソングとはなにか? タイアップとはなにか? を考えざるをえない仕事をしているおじさんとしては、この指摘はすごく刺激的でした。

もちろんAAAの仮面ライダーソングのような例外については注意を払わなければならないのですが、それでもムラタさんはこの論の裏をしっかりとった上で、どっかの媒体に売ればいいと思います。