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星の香りを味わって

山を登る。
登って登って急カーブをグルンと回って、さらに登る。
車が揺れるたび、ズキンと波打つ血液たち。

空気がどんどん澄んでいって、車から降りた頃にはもう私がいつも吸ってる空気とはだいぶ違っていた。
なんだかまろやかで甘い感じ。
ケーキ屋さんに並んでいてもおかしくないくらい。
¥280 八女のくうき
みたいな。
目の窪みに溜まった黒い鉛が、少し軽くなるような。

そう、私は八女の星野村に来ていた。
美しい棚田と茶畑を誇る星野村の風景は、緑が多くて目に優しく、美しい。

そして星野村は、日本でも有数のお茶の名産地。
私は今日ここに、お茶を飲みに来た。

「星野製茶園」
ここが、今日の目的地。
入り口を入ってすぐ、ほんのちょっぴりお茶っ葉の匂いが鼻をつく。
「すぐ、お茶をお持ちいたします。おかけになってお待ちください」
お姉さんが物腰丁寧に接客してくれるまま、席で待っていると、あったかいお茶が運ばれてくる。
「星野かおりでございます」
今年の新茶の星野かおり。
まろやかな口触りと名に恥じない香り高さに心が癒される。
お茶請けの抹茶のお菓子もサクサクしていて美味しかった。
お茶尽くし。
体が温まっていく。

お茶を飲み終わったら、少しだけ店内を散策する。
可愛いお茶飲み用具に、心惹かれるパッケージの数々。
そして、ずっと探していたお茶のお菓子を偶然見つけた。
これは思わぬラッキー。
すぐカゴへ。
そしてほうじ茶と青い烏龍茶、そしてお裾分け用の新茶「星野かおり」をレジに持って行く。
レジ裏にはたくさんのお茶っ葉が管理されていて、なんだかカマ爺のあのお部屋みたい。
心がワクワクする。

楽しい時間が終わりを告げて、車に戻る。

おや、いつの間にか、頭痛も飛んでいったみたいだ。

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