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心が折れていた時期【再録】

こんにちは、ナゲです。

こちらはリメイク記事となります。
「元の記事も読みたい!」という方は以下のリンクからご覧ください。

以下に書き直していきます。



自己紹介・導入

『ナゲ』というプレイヤー名で活動している格ゲーマーです。
JMS Impact Gamingというプロゲーミングチームに所属しています。
ギルティギアシリーズを20年ほど続けていまして、ファウストという推しキャラをずっと使用しています。

ピンクカラーのファウストを愛用しています。(画像はこやさんのフリー素材より抜粋)


最初は地元のゲームセンターで遊んでいただけなんですが、気づけば全国大会に出場したりラスベガスのEVOへ行ったり、プロゲーミングチームに所属したり…などなど。20年間の中で、色々なイベントや出会いを経て、色々な経験をしました。

そんな僕が一番大事にしているモットーは『楽しく遊び続ける』です。

13年ほど前、バキバキに心が折れている時期がありました。
2010年6月頃から2011年9月頃までという1年と少しの期間、自分の実力に萎えながら大変つまらなさそうにゲームを続けていました。

僕のことを最近知ってくださった方から「そんな時期あったんですか?」と言われることもありますが、それはもうバキバキのバキで、かなり愚痴をこぼすことが多く、当時は周りの友人へ本当に迷惑をかけてしまったなと思います。mixiの限定公開記事で愚痴を書きまくっていました。

今のモットーを掲げている経緯が今回の内容です。
継続するためだけでなくて、上達を目指す上でも、この考え方で良かったなと思っています。

今回の記事は以下の構成で進めます。

・心が折れた経緯
・心が折れてどうなったか
・心が折れた原因
・どう立ち直ったのか
・今はどうなのか

■心が折れた経緯

当時、闘劇10というイベントに参加しており、『闘劇優勝』を目指してギルティギアイグゼクスアクセントコア(通称AC)をしていました。
「闘劇」は予選突破が必要な全国大会です。各地域のゲームセンターで店舗予選・エリア予選(ここで勝つと闘劇出場権をゲット)を行い、東京で夏に闘劇本戦…という進み方をします。

僕はエリア予選を突破し、闘劇本戦の出場が確定している状態でした。

本戦出場は決まったものの、僕より強いプレイヤーは非常に多く、勝率も全く安定していませんでした。今でも忘れないのですが、あまりプレイヤーとしては知られておらず、ネット掲示板で「ナゲって誰?」「いつも有名プレイヤーの近くにいるやつ」というやり取りを見かけるぐらいでした。

「こんな実力だと全国大会優勝なんて出来ないし、チームメイト(※)に追いつけない」とかなり焦っていました。
※…「ミツルギ」「イナ」というプレイヤーとチームを組んでいました。特にミツルギさんは当時から抜けて強く、"ミツルギさんのチーム"と言われないようにしたいとも思っていました。ミツルギさん…イナさん…俺まだファウスト続けてるよ……。


普段通っていたゲームセンター(高田馬場ミカド)の定例大会で納得のいく結果が出せない、野試合でも勝ちたいプレイヤーに勝てない、他プレイヤーのサブキャラに負けてしまう、自分が何故負けている理由もわからない、という積み重ねにより、結果として「心が折れる」という状態になりました。

■心が折れてどうなったか

影響があったのは以下の4点かなと。

・ゲームが全く楽しくない。
・勝っても自信に繋がらない。負けだけが印象に残る。
・勝った理由、負けた理由が思いつけない。
・友人からのアドバイスを聞き入れられない。

・ゲームが全く楽しくない。

目的が「全国大会で優勝」だけになってしまい、ゲームを楽しめない状態が続きました。
全然楽しくないから遊びたくないけど、闘劇本戦がすぐそこまで迫っているし、チームメイトのためにも頑張りたい、というジレンマを持ってゲームセンターに通っていました(当時、家庭用ゲームのネット対戦は無いと思ってください)。

闘劇10は準決勝で敗退したのですが、当時は負けた悔しさよりも「あぁ…もう無理に続けなくて良いんだ…」という安堵の気持ちが先に来ました

・勝っても自信に繋がらない。負けだけが印象に残る。

勝っても「運が良かっただけ」と思い込み、負けたら「やっぱり自分が弱いんだ」という考えになっていました。
今思うとこれは「心が折れたままとする理由づけだったな」と思います。悪い所だけ見て「やっぱりダメなんだ」と思いたがってました。

・勝った理由、負けた理由が思いつけない。

・友人からのアドバイスを聞き入れられない。

特にまずかったのはこの2点で、完全に思考が止まっちゃってたんですね。
勝っても「何でこの選択肢が通ったかわからない」という状態になりました。

惰性で対戦して、自分に自信が持てない、勝ち・負けの理由を考えられない、しかも楽しんでいない…という文字に書き起こすだけでも「1週間くらい沖縄旅行に行って綺麗な海でも見てきたら?」と思わずにはいられないくらい負の連鎖が続いていました。折れる→少し復活→折れる…のループでした。富田流の煉獄

その状態で大会系のイベントには定期的に参加していたので、イベントで結果を出せず、折れた状態を引きずる…というのが1年ほど続きました。
数日開催のイベントで全敗し、数か月ほど使用キャラクターを変更する(AC時代:ファウスト→テスタメント)ということもありました。


■心が折れた原因その1

達成できない目標を設定していたと思います。

当時の僕は「誰にも負けず、全員にほぼ10割近く勝てるようにして、全国大会の優勝を目指す。」を目標にしていました。
理想を掲げるのはいいのですが、強い相手が僕の行動を見て選択肢を変えてくる中で、そんな目標は達成できませんでした。

今の自分の実力をきちんと把握して、どうやったら結果を出せるか、結果を出すためにはどんな過程が必要か、自分が出来るようにしたい事の中で何を優先すべきなのか、という考えも一切なく、ただ「勝率を上げたい」という達成の仕方がわからない漠然とした目標だけを設定していました。

目標の立て方があまりうまくなかった気がします。今思い返せばきちんと勝ってる試合もあったはずなんですが、無理な目標により「自分が勝っている場面もある」という状況を受け入れられていなかったです。

あと、格ゲーで上達を目指す上で躓きやすいポイントとして「リスクを恐れすぎるあまり、リターンが取れなくなりジリ貧な展開ばかりになる」があると思ってまして、まさにこれでした。
ここにハマると「個々の動きはそこまで悪くないから、負けた理由も思いつきにくい」とかにも繋がります。余談ですが…。

■心が折れた原因その2

改善しても勝てないかもしれない、という恐怖で思考を停止させていました。

「全然勝てない。負けた理由を自分以外にしたくない。でも成長して勝てるかわからない。いつ成長できるかもわからない。勝てないかもしれない。だったら答えを出さないで、自分の弱さがわからない・才能も無いから改善が出来ないってことにして、立ち止まっているほうが楽なんじゃないか。」と心のどこかで思っていました。

自覚は無いですが、上の考えがあったからこそ勝った理由・負けた理由を思いつけなかったし、他のプレイヤーからの意見も聞けなかったのかなと。
アドバイスを貰っているのに、ちゃんと聞き入れられてなかったなーと。

今だと「改善してダメならまた何回も挑戦すればいい」と思えますが、オフライン主流だった当時、大規模大会の頻度はあまり多くなく、目の前の闘劇を逃すと1年先になる(しかもまた種目タイトルに選ばれるかわからない)、という時間制限を強く意識してたんだろうな、とも思います。

■どう立ち直ったのか。

視野の狭さを気づけるきっかけがありました。

何度か配信で話したこともありますが、関西遠征中にゲームセンターでRFさんの対戦を見たのがきっかけでした。
後ろで観ながら「自分はこの選択肢を全くしてなかったな。実践してみたらどうなるかな…」と思い、後日試してみたら、すぐ勝率へ反映はしなかったものの、試合の内容が明らかに変わっていきました。

これを機に、なんというか、どの選択肢を取っていいか悩んだとき、とにかく「自分が信じた選択肢」を素早く出せるようになりました。
考えて考えて、その結果出した選択肢でその場面で負けてしまっても「仕方がないから次の場面で挽回しよう」と思えるようにもなりました。

細かい展開の負けを引きずるのは、試合そのものの流れを悪くすることもあります。
負けちゃった理由は試合の後で考えて、とにかく試合中はトータルで自分が勝てるようにするって意識を強く持つようになりました。

あと「間違ってたとしても、僕が通ると思った行動をとにかく自信をもって盛り込んでみよう」と。
元々「安定した勝率をキープしたい」という考えはあったので、本筋はそこまでズラさず、自分の中で安全な選択肢を多めに選択しつつも、勝負所をキチンと自分の中で整理して、リスクを負って仕掛ける場面も作る…ということができるようになっていきました。

視野の狭さに気づいて「こんな簡単に試合の内容を変えられるのか。もっと色々試してみよう」という気持ちになり、またゲームが楽しくなりました。
それまで「何をしていいかわからない」と思っていたのが、嘘のように「次はこれを試してみよう」とドンドン浮かぶようになっていきました。

ACのあと、ACPR、Xrd Sign、Rev2とシリーズは遷移し、じわじわと勝率は上がりました。キャラクターの性能が変わった(強くなった)というのもありますが、自分自身が強くなった実感もありました。

そしてGGSTリリース当初、諸所の事情により、正直ガクンと勝率は下がったものの、これまでの取り組み方はそこまで間違ってないと自信があったので、そのまま遊んでいました。
2023年現在は、何度かの調整を経て、大会で上位へ行く機会も増えてきました。

■今はどうなのか。

今でも負けが込んで、気持ちが沈んだりすることはあります。
ただ、それは長くても数日単位で、多少なり「次はこうしてみよう」という気持ちをもって今後の対戦に臨めるようになりました。

あと、折れたり萎えたりして考えることを止めるのはもったいないなと。
自分はどうせまた「強くなりてぇ…」と思うことが目に見えてるので、悔しい気持ちだけは残して、それ以上の感情は無視して「じゃあ強くなるためにはどうしたらいいのか」をすぐ切り替えて考えるようにしました。負の気持ちをなるべく一過性とするにしています。

冷静じゃないときは一旦時間を空けて、落ち着いてから考えるようにしています。漫画を読んだり音楽を聴いたり動画を適当に見たり…とか。

あとは「自分は好きでそのゲームを遊んでいる」「勝敗ではなく、課題を達成できたかどうかで成功体験を得る」ってのを意識しています。


・「自分は好きでそのゲームを遊んでいる」という意識。

これを常に意識するって実はすごく難しいと思うんですよね。
わざわざ意識することも無いですし。
ただ、真剣に取り組もうとするあまり、気持ちに余裕が無くなってしまうことが結構あります。

僕は"好きだから"今の自分が出来ない選択肢を取り入れようとしてますし、
僕は"好きだから"大会で結果を出したい(=勝ちたい)と思っているんですね。

好きじゃなかったら、ここまで同じシリーズのゲームを続けてないですし、その前提がブレたら取り組んでることもブレちゃうなと。

あと好きじゃなくなったらやめていいんです。やめたって誰にも迷惑はかかりません。
やめるつもりが無くても、この気持ちはすごく大事だなと思います。
別に嫌なことから逃げていいんです。趣味なんだから。
面白いもので、「いつでも俺はやめれるんだが?」って気持ちで遊ぶと、意外と続いたりもするんですよね。経験談です。

・「勝敗ではなく、課題の達成で成功体験を得る」

状況別に「これはこういう選択肢を取り入れてみよう」って意識を持って、勝ち負けではなく実際にその選択肢を取り入れられたかどうか、を確認するようにしました。
「絶対に勝つ!」という無理な目標設定を改善できました。

今だとスッと浮かぶんですが、失敗を繰り返さずに成功させるなんて基本は無理なんです。目の前の勝敗を気にせず、いま失敗しても、今後もっと楽になる選択肢だから取り込んでいこう、とかが必要でした。

このあたりの話題は、「自分が負けた理由を考えるときに意識していること」という過去記事がありますので、また書き直そうと思います。


さいごに

折れたり、萎えたり、苛立ったり…思うように進まないことは、いまだにメチャクチャあります。
でもそういう気持ちが出るくらい真剣になれる環境に居られるってこと自体がありがたいですし、周りに迷惑かけないように自己解決しながら楽しく遊べるようになってきました気がします。
どうしてもキツかったら仲の良い友人達に聞いてもらいます。

最近は「自分の実力を過大評価・過小評価せずに理解して、試合の中で一部でも成長を実感する」ってのを大事にしています。
引き続き楽しくゲームしていきたいと思います。


【書き直しを完走した感想】

めっちゃ良い記事書くじゃんね……。
(平成に書いた自分の記事を掘り起こして令和に自画自賛する人)

改めてここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事を書いたのは2015年8月17日で、たしかEVO2015のあとだと思います。月曜から夜更かしで自分の顔がドアップ放映されてリアル友人・知人に全バレしたり、ヲシゲさんがガッツポーズしたことで僕のEVO準優勝が皆さんの記憶から消えている年ですね。

ブログを投稿した当時は5年前の話だったんですが、気づけば13年ぐらい前の話になっていました。
書いてから8年経った今でも、取り組み方のベースはほぼ変わってませんし、自分にとってはこの遊び方で良かったな、とも思えています。

ゲームセンターから家庭用のネット対戦がメインになりつつある時代で、強い人と気軽に交流・対戦できるようになった分、似たような思いをされるプレイヤーも増えていくんじゃないかなと思いました。

一回心が折れると、完治するのに相当時間がかかります。折れないようにするのが一番ですが、折れたら回復するのに務めましょう。怪我をしたら休む、です。

この記事から派生して、更に色々な記事を投稿していました。そちらもドンドン書き直していこうと思います。
また引き続き、お付き合いいただけると何よりです。

それでは。

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