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雪国放浪記2023早春編その4~雪の東八甲田ルート~

雪国放浪記の第3日目=最終日は、かつて冬季のみJRの(観光)路線バスが迂回していた「東八甲田ルート」をレンタカーで辿ります。「雪分」たっぷりですが「鉄分(=鉄道成分)」はほとんどありません。あしからず…m(_ _)m ちなみにトップ画像は、2010年に冬季も東八甲田ルートにて路線バスが運行されていた頃に乗車した時のものです。

東八甲田ルートとは

ルート概要

 青森の市街地から八甲田を越えて十和田湖を目指す場合、冬季以外の通常ルートは国道103号線を辿る。すなわち、八甲田山主峰の西側を回り込み、酸ヶ湯温泉から八甲田山主峰の南側の傘松峠を越えて猿倉温泉から蔦温泉を経て奥入瀬渓谷を目指すルートになる。八甲田十和田ゴールドラインとの愛称もついている。
 このうち、傘松峠前後の酸ヶ湯ゲート~谷地ゲート間が冬季閉鎖となる。この期間は、八甲田山主峰の北側から青森県道40号線にて田代牧場を抜け、八甲田山主峰の東側へ七戸から登ってくる国道394号線へ合流、猿倉温泉の東側で傘松峠を下って来た国道103号線に合流するルートを通行することになる。これが通称「東八甲田ルート」である。

2022~2023年冬季の八甲田・十和田界隈の交通規制図。赤太線が冬季閉鎖区間。
八甲田山を北側から東側へ回り込むのが「東八甲田ルート」です。
原図は「青森みち情報」(http://www.koutsu-aomori.com/)より。

 というか、冬季は、青森市街を抜け国道103号線から青森県道40号線に入るると、奥入瀬渓谷の温泉街まで、通行できる道が他にない一本道となる。国道394号線を七戸から登ってくる区間や青森県道40号線を青森市街から登ってくる区間や十和田市街へ抜ける区間も冬季閉鎖である。
 冬季以外のメインルートとなる国道103号線は、冬季でも八甲田ロープウェイ山麓駅付近を経て酸ヶ湯温泉までは通行できる。が、冬季はここで行き止まりとなる。国道394号線を黒石方面に降ることはできる模様である。
 ただし、東八甲田ルートを含めた八甲田山周辺の冬季も通行可能な道も、冬季は夜間通行止めとなる。

定期バス路線

 JRバス東北による「十和田北線」として、青森駅~十和田湖間にて、ほぼ国道103号線を辿る経路で路線バスが運行されている。国鉄バス時代どころか、第二次世界大戦前の鉄道省営バスの時代から運転されている、非常に歴史のある路線である。
 冬季は青森駅~酸ヶ湯温泉間での折り返し運転が基本であるが、JRになって以降の2000年~2014年までの間、冬季も東八甲田ルートにて十和田湖まで運転していた。
 実は2010年に筆者は東八甲田ルートを走るこの路線に乗っている。現代では、冬季は酸ヶ湯から先に行かなくなってしまったので、レンタカーを借りてここを走破しようという目論見である。ちなみに「境界を越えるバス」シリーズマガジンのトップ画像に使っているバスの画像は、この時のものだったりする。なお、当時の東北新幹線は八戸までであった。

八甲田山を越えて十和田湖へ(往路)

 この日借りたレンタカーは、JRグループ直営の「駅レンタカー」である。JR東日本パスを持っていると、割引料金で利用できる。新青森駅にも営業所があり、宿も新青森駅直近であるので、利用しない手はない。ちなみにレンタカーの予約は、昨晩、オンラインで行っている。
 車種は「カローラ・ヤリス」のクラス。たしか、軽自動車ではない範囲で一番小さいサイズである。この季節にこのエリアにて駅レンタカーで借りると、スタッドレスタイヤは標準装備になっている。詳細は確認しなかったが、車室内から見た感じでは、四輪駆動モデルであったっぽい。もっとも、最近の車は、運転感覚では違いがほとんどないように調整されているためか、良く解らなかった。

宿の窓から見た新青森駅。画面奥が東京方面。
「駅レンタカー」は画像右端の高架下にあります。

 出発後は、駅周辺の交通量が少ない道をぐるりと回って、自分のための「習熟運転」を行う。いったん車を止めて、ナビゲーションシステムにて、目的地を十和田湖に設定。案内に従って走り出すが、この先、ルートが指定されている青森市街地方向は、渋滞が発生している模様。平日の朝通勤時間帯?なので、当然といえば当然である。
 で、広域地図によれば、青森市街地の南側を抜ける国道7号バイパスがあることは分かっていたので、律儀にナビゲーションに従う必要はなく、えいやっ、とあたりをつけて、南方向に進路を変える。2、3回ナビゲーションシステムは元に戻るような指示をだしてくるが、それを無視して南方向に進路を取り続けると、やがて、国道7号バイパス経由のルートを案内してくるようになる。今回は、更に南側に進路を取り続け、青森市街地南端を東西に走る県道44号線を経由する案内ルートを出すことに成功した、、、頃には、この道に出ていたのであるが。
 というわけで、この道から右折して更に国道103号線に入ると、ほどなく青森市の郊外の道から八甲田の山道には連続的に移行している。どこかで意識を切り替えておかないと危険かもしれない(??)。山道に入ってひとしきり走ると、夏季ルートである国道103号線八甲田十和田ゴールドラインと、冬季ルートである東八甲田ルートの分岐点に至る。左折すれば、この先は奥入瀬渓流温泉付近まで、冬季はエスケープルートなしの1本道になる。
 以下、東八甲田ルート周辺の画像を、キャプションのみでお楽しみいただきたい。

路肩に多量の雪が積もっているとテンションが上がります。
ただし、走行する部分の除雪は、完全に行われていました。
この先で、東八甲田ルートが左に分岐します。
その先は奥入瀬渓谷入口まで、冬季はエスケープルートなしの一本道です。
東八甲田ルート走行中(このタイミングでは停車中)。
この日は気温が高いためか、小雨でした。
県道40号線の青森市街地方向は、冬季閉鎖でこのような有様。
夏季は観光スポットとなる「銅像茶屋」も、この季節はこのありさま…
この界隈が「八甲田雪中行軍遭難事件」の現場界隈になります。
八甲田東ルートの主要中間地点「田代十字路」。
冬季は手前から来て右に抜けるしかありません。

 結局、往路は、奥入瀬渓谷を経て十和田湖まで、一気に走ることになったため、途中の画像があまり撮れていないのは、ご容赦を。

十和田湖

 2010年冬に東八甲田ルートを通るバスに乗った時には、奥入瀬渓流温泉(当時は十和田湖温泉郷という名前であった)にて下車、日帰り温泉に浸かったあとは、バスダイヤの関係で、当時はまだ残っていた十和田観光電鉄の十和田市駅へ抜けているため、十和田湖には立ち寄っていない
 ちなみに、十和田湖温泉郷が奥入瀬渓流温泉に名前を変えたのは2020年のことである。以前は、十和田湖からはやや離れているものの最寄りの温泉であるためにこの名前であったのだが、2002年に十和田湖畔温泉が文字通り十和田湖の湖畔に開湯し、ここと区別するため、改名した。
 かくして、十和田湖といえど、どのあたりが中心地なのかは良く解っていなかったが、とりあえずはバスの終点である「十和田湖駅」を目指す。「駅」とはいうものの鉄道が来ているわけではない。国鉄バス→JRバスグループの拠点となるバス停のうち、かつては国鉄の(鉄道)駅と同じ扱いであったものは、「駅」と呼ばれている。この当時の国鉄バスの路線は鉄道線と(ほぼ)同じ扱いであったため、国鉄の鉄道線への直通切符も買えた。ちなみに、十和田湖駅がある界隈は、休屋(やすみや)という地名になっている。
 この界隈まで来たとき、以前から名前ぐらいはきいたことがある程度の観光スポット(??)、「乙女の像」への案内板をみつけたので、十和田湖に張り出した半島を一番近い駐車場まで乗り入れてみる。

十和田湖。遊覧船の発着港を南側から眺めてます。
十和田湖の中心部方向。
乙女の像と解説の石碑。

 時間が中途半端だったせいか、それとも平日だったためか、湖の界隈の食堂はまだ開いているんだか閉まってるんだか良く解らない状態であった。食事は最悪新青森駅に戻ってからでもよいかな?と判断し、暫し散策した後、帰路につく。

十和田湖北岸の「子ノ口」付近。
移っている車は、この日、お世話になってるレンタカー(車種は忘れました^^;)
夏場は観光拠点の1つになりますが、この時期は付近の店も全部閉まっていました。

奥入瀬渓流温泉

 小雨模様の天気であったこともあり、早々に十和田湖畔から撤収したが、時間に余裕はあったので、奥入瀬渓流温泉まで戻って来たところで、もし、簡単に日帰り入浴に対応している温泉宿が見つかったら、浸かって行くことにする。一旦、国道102号線を十和田市方向に抜け、鋭角に左折。温泉郷の中を抜ける旧道に入ろうとした。
 入ろうとしたところで、ランチと日帰り入浴のセットになってるホテルの看板をみつけ、そこが奥入瀬渓谷温泉の中でも一番十和田市街寄りの外れにあったため、そのまま、そのホテルを目指す。

奥入瀬渓流温泉の外れにある「森のホテル」。

 平日の真昼間であったためか、食堂も湯船も、ほぼ貸し切り状態。ランチメニューはコース物を数種類の中から選べるようになっていたので、地元である三沢産の豚肉を使ったポークステーキのセットをオーダーした。

前菜のサラダと飲み物(りんごジュース)。
メインディッシュ。たしか三沢産の豚肉使用。
結構、食べ応えがありました。
もちろん、デザート(今回はチーズケーキ)付。

奥入瀬から八甲田山を越えて青森へ(復路)

 入浴も含めて1時間ちょっとの滞在の後、再度、青森市街までほぼ一本道となる山道へと車を進める。
 国道103号線から東八甲田ルートへの分岐付近にて、3台ほどの軽自動車が連なって先行しているのを発見。そのうち1台はほどなく道を譲ってくれ、次の1台は近隣の温泉?方面に分岐する道を逸れていったが、残りの1台(多分、軽トラック!?)には、ものの見事にぶっちぎられた。地元民、侮りがたし。

田代十字路。青森県道40号線経由十和田市方面。
閉鎖されていなくても、行ける気がしません。
同じく田代十字路。閉鎖されているのは国道394号線七戸方面。
冬季も通れる道を走り継ぐには、ここで国道394号線から県道40号線に行くしかないです。

 途中、霧も出てきて、思うようにペースが上げられなかったものの、東八甲田ルートを抜けた段階で時間にかなり余裕があったため、八甲田ロープウェイにて山上に登ってみることを考える

八甲田ロープウェイ。冬季はスキー客も運びますが、一般観光客も乗れます。

 が、ロープウェイの山麓駅まで行ってみても、なんやか活気がない。はて?、と思い、車を降りて乗り場の方へ向かってみると、悪天候?のため本日運休の旨、掲示があった。残念。
 国道103号線の酸ヶ湯側の冬季閉鎖地点まで行こうとも考えたが、流石に長距離運転で疲れが出てきたため、余裕を残して青森市街へ降ることにする。ちなみに、2010年冬の時は、酸ヶ湯温泉までは路線バスが乗り入れていて、ここで少々休憩していたような記憶がある。

新青森駅にて

 15時前には新青森駅に戻って来て車を返却。東京へ戻る新幹線までまだ小一時間余裕があったので、駅なか(改札の外)で大間のマグロ丼を扱ってる店を発見。2度目の昼食?おやつ?にする。

新青森駅にて。大間のマグロ三色丼。
さっきのランチがディナーだったはずが、このおやつ?もディナー級です…^^;

 あとは、大宮まで、あらかじめ指定席をとっておいた「はやぶさ」号で戻るだけである。指定席は昨晩に盛岡駅で予約したのだが、通路側の席ですら空いている席が少なくなっている状態であった。

新青森駅新幹線ホーム。本日初の鉄道乗車です。

本日の行程

レンタカー:新青森駅 9:00頃→11:00頃 十和田湖 11:30頃→12:00頃 奥入瀬渓流温泉 13:00頃→15:00頃 新青森駅 総走行距離150km程度?
新青森15:52→はやぶさ34号→大宮

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