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狩野モデルにおける品質管理ついて

はじめに

QAエンジニアのつーつーです!
今回は私がこの考え方、すごい好きだなーと思う「狩野モデル」について語りたいと思いますー

なお、個人的な主観なども含まれていることをご了承ください🙏

狩野モデルとは

狩野モデル(かのうもでる)は顧客満足度に影響を与える製品やサービスの品質要素を分類し、それぞれの特徴を記述したモデルです。東京理科大学教授であった「狩野 紀昭」氏によって提唱された。マーケティングや品質管理の分野に対して多大な影響を与えたモデルであり、世界的には「Kano Model」として知られている。

改めて調べて、ほ~。ずいぶん昔から脈々と受け継がれている素晴らしい手法なんだな~と、先人の凄さに思わずお辞儀したくなるw

本題に戻って。。

顧客が製品やサービスに対して要求する品質について、5つの品質要素に分類されています。

図1 狩野モデル(つーつー作成)

当たり前品質

充足されていても当たり前と受け取られるが、不充足であれば不満を引き起こす品質要素。自動車で例えるなら、「エンジンがかかる」という品質がこれに該当する。エンジンがかかるのは当たり前と受け止められるため、これができなければ不満を引き起こす。

一元的品質

充足されていれば満足を引き起こし、不充足であれば不満を引き起こす品質要素。自動車で例えるなら「燃費が良い」という品質がこれに該当する。燃費が良ければ満足を引き起こし、燃費が悪ければ不満を引き起こす。

魅力的品質

充足されていれば満足を引き起こすが、不充足であっても仕方ないと受け取られる品質要素。自動車で例えるなら「後部座席にモニターが搭載されているなど」オプション的な要素の品質がこれに該当する。オプションなので、あれば嬉しいという要素のため、なければ仕方ないと受け取られる。

無関心品質

充足されていても不充足であっても満足度には影響を与えない品質要素。例えば、顧客利用が極端に低い機能などは作り手の熱い思いがあっても、受け取る側(顧客)にとっては何ら影響が無い。(悲しい。。。)

逆品質

充足されていれば不満を引き起こし、不充足であれば満足を引き起こす品質要素。(満足度を上げるためにあれもこれも追加した末路。。。良かれと思って色々詰め込むことが仇となるケース)

そして5つの品質を取り組む優先順位として下記のように定められております。
①当たり前品質
②一元的品質
③魅力的品質
④無関心品質
⑤逆品質

狩野モデルを活用していく上での注意点

さて、この素晴らしい考え方を活用していくうえでの大事にしていきたいポイントなどを整理してみました。4stepを抑えてもらえればと。
ちなみに書いていることは至極当たり前で理解されている方は非常に多いと思います。ですが、当たり前をしっかりと遂行していくことが品質向上への第一歩だと考えています。要は基本を疎かにして応用に走ってはだめですよねと。

1st:現状把握

対象とサービスやプロダクトが現状どこに位置するのか?
ここがとっても大事。イメージとしては下図のどの領域に位置するのか?を考えてみてください。

図2 領域プロット(つーつー作成)

まずは定性的な要素で判断をするほうがいいと考えています。これは作り手の気持ちに寄り添う必要があるためです。エンジニアとして作っているものの弱点を理解していても愛着があるとポジティブな評価が多くでます。NextActionとして改善活動を繋げていくうえでエンジニアの協力は必須です。

そして、定量的な要素でも判断をすること。ここでは現状把握できてる情報をベースにスコアリングを行っていく。例えば下記のような情報を用いてみてください。あくまで一例です。

【満足度合い】
 ・CS調査結果(アンケートなど)
 ・実際の顧客の声(アフターケアとしてコンタクトを取った際などに)
 ・競合他社ツールとの比較サイト情報など(意外と辛辣なコメントを各ユーザーもいるので、参考になることもある。)
【充足度合い】
 ・製品として主目的が達成できる状態か?
 ・機能の利用頻度(極端に低い機能はないか?)

2nd:アプローチ戦略・分析

図2で表現した領域に現在値をプロットして、戦略を策定していく。

図2 領域プロット(つーつー作成) 再掲載

①顧客満足度:50%未満、充足度:50%未満
 発展途上の状態。顧客から求められている機能がどのようなものかを明確にして積み上げていくフェーズ。満足度の向上が見込める可能性の高い機能から戦略的に作っていく。(顧客に価値提供ができる機能)

②顧客満足度:50%以上、充足度:50%未満
 ファンが一定数生まれたことで、要望が増えてくるフェーズ。利用ユーザーも増えてくることから、既存ユーザーの声を聴きながらも機能を作っていく。品質担保における型(標準観点やサービスにおける品質定義など)を作り上げていく必要があります。機能が増えてより複雑になる前にウィークポイントを洗い出しやすい状態にしておくことで、後々デグレなどが起きにくくなるので、未来を見据えて先行投資が大事です。

③顧客満足度:50%未満、充足度:50%以上
 顧客からのフィードバックをベースに機能の過不足を再整理していくことを推奨します。作り手側として「きっとこういう使い方をするだろう。」が見当はずれ、もしくは顧客に理解してもらえていない可能性が高い状態です。顧客の声は宝の宝庫です!!!!!
「こういう機能でよかったんだ!」とか「確かにそういう機能あったら便利ですよね!」など気づかせてくれるケースは多分にあると思います!

④顧客満足度:50%以上、充足度:50%以上
 この領域では改善活動もさることながら、カイゼン活動がとても大事になってきます。うまくいっているときは誰しもがこのまま、この調子でやっていけば大丈夫!と安心しきってしまいます。・・・はい。
こいつが悪魔と呼ばれる、現状維持バイアスですね。笑

ですが、世の中は待ってくれません。。。。
日々、新しい製品が世の中に出てきます。つまり満足度や充足度は時間と共に低下してしまう。ということを理解してなければいけません。
何度でも言います。大事になるのがカイゼン活動です!
すでに良い状態をより良くするため、70点で合格だけど80点・90点などを目指すために何をすればいいのか?を文化として根付かせていく必要があります。

3rd:モニタリングコントロール

狩野モデルに限らず、世の中には非常に素晴らしいフレームワークが沢山あります。やったらやりっぱなしや気づいたら消滅する。など同じ過ち(課題)を繰り返してしまうのはなぜなのか?きっとこうだろう!とか決めつけてたり、前例がないからと我流を取り込んでいたりしませんか?
そこで大事にしてほしい言葉はこちらです。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」
ドイツのオットー・フォン・ビスマルクの格言です。頭で理解できていても行動に移せるかどうかは別の話ですよね。なので、私はこの言葉と同時に自分に言い聞かせているフレーズがあります。
「世界的に有名な学者や世の中に大きな貢献をしてきた人たちと同じレベルで考えた上で導き出したのか?」と。答えは簡単です!

NOぉぉぉぉぉぉぉ!笑

・・少々脱線しましたが、色々なものをつまみ食いするのは否定しません。ですが、やると決めたことをしっかりと遂行し続けることにも意味があります。(これがまた大変なんですけどね。

モニタリングを行っていく際に必ず押さえてほしいポイントは「定量的」に評価できる尺度仮置き(暫定)でも良いので定めることです。
定性的な要素も大事ですが、モニタリングを行っていくうえではわかりやすく、明確な変化を視覚的にも認知する必要があります。そうすることで得られる効果は大きく2つ。

・成長実感を味わえる
 これは、シンプルに誰が見てもわかりやすい評価をすることができるため、うまくいっていれば素直に嬉しいですし、そうでなければ凹みますw

・改善/カイゼン活動に繋げやすくなる
 定性的な要素だけだと「なんとなく良くなったとか悪くなったと根拠をベースにしなければいけませんが、定量的な情報も組み合わせることでなぜ数値が上がったのか?下がったのか?を組織で認知することができるのです。
 人間不思議なもので、明確な目標があるとどうすれば良いかを考える思考が明確になりやすいのです。

これらの情報も踏まえて最後のステップです。

4th:ブラッシュアップ

これは個人的には、ふりかえりと読み替えてもいいと思っています。
見るべきポイントは3点です。
・現在値はどこに位置しているか?
・アプローチ戦略はこのままでいいか?
・モニタリングにおける閾値はこのままでいいか?

また、進捗状況に応じて、開催頻度のチューニングが必要です。
「週次、隔週、月次、四半期」など変化が小さく(ある種安定している状態)になってきたら、間隔をあけることをオススメします。
図2の領域ごとに区切るでもいいですが、ここも見直すうえでの暫定ルールを必ず設けておいてください。仮置きでも決めておかないと、忙しいから、人がいないからなど何かと理由をつけて、自然消滅しやすくなります。気持ちはめちゃくちゃわかりますが、せっかく形になっていても不本意な形でやめてしまうのは非常にもったいないです。。。

お気づきかと思いますが、最後のステップにも書いてあるようにPDCAサイクルをグルグルと回し続けるということになります。

最後に

少し抽象度の高い内容ではありましたが、狩野モデルとはなにか?それを取り入れていくうえで必要な考え方(注意点)などについてまとめてみました。

個人的にはこの考え方をほかの手法などにも応用できるため、ぜひ活用してもらえれば幸いです🙏

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