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【トンデモ歯゛スターズ】マスクで口の中がボロボロに?

新型コロナウイルスの影響から、日常的にマスクの着用が必要となってきている環境の中、一部の歯科関係者から「マスクをすると虫歯や歯周病が悪化する」との報道やSNS上での発信が散見されています。エビデンスに基づく見解ではこの情報はどのように判断できるのでしょうか?

本記事では「マスクで口の中がボロボロに?」について検証します。

執筆:気まぐれ歯科情報ななめ読み
チェック:2名以上のトンデモ歯゛スターズメンバー
(見出し画像:akina先生@nakixa)

トンデモ歯゛スターズ的結論

マスクの長時間着用により、口腔乾燥等が引き起こされることにより虫歯や歯周病が増加するという仮説はあるが、実際にこれを証明した研究は現時点で存在しない。

参考としたエビデンス

Health Feedback(医療情報を世界規模の科学者のネットワークで検証しているサイト)

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内容の抜粋(DeepLで翻訳)

主張
マスクは汚れているので、細菌の過剰繁殖や皮膚の感染症、そして "マスクマウス(一日中マスクをしていることで起こる新しい病名)"の原因になります。
詳細
誤り:COVID-19の原因となるウイルスの拡散を抑制するためにフェイスマスクを使用しても、健康上のリスクや皮膚感染はありません長時間マスクを着用している医療従事者は、皮膚や口腔の感染症の発生率が高くなることはありません
支持されない:フェイスマスクの着用は、いわゆる「マスク・マウス」のような歯科的問題とは関連していません。この用語は、科学出版物や医療関係者の間では使われていません

トンデモ歯゛スターズ的見解

新型コロナウイルスの影響により新しい生活様式が求められている中、マスクの着用もすっかり定着してきました。このような中、一部の歯科関係者から「マスクをすると虫歯や歯周病のリスクが高まる」との情報発信がされ、NHKでも日本歯科医師会からのコメントが報道されました。

また、海外でも”Mask Mouth”という名称で、カナダ歯科医師会や世界規模で口腔ケア製品を販売しているコルゲートが同様の発信を行っています。しかしながら、現時点(2021/7/9)で実際に”Mask Mouth”が生じていることを証明した論文は1本も存在しません

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同様にマスクの着用により虫歯、歯周病が増加したという論文も現在までに1本も存在しません

また、歯科医療従事者はコロナ禍以前から日常的にマスクを着用しています。
しかしながら、「歯科関係者がマスクの着用により虫歯や歯周病が増加した」という報告も私が知る限り存在しません。(歯科関係者は口への意識が高いという可能性もありますが)

恋愛経験0のオタクが

「俺、乃木坂46のメンバー全員落とせるわ」

って言ってるくらいの仮説という事です。よく分かりませんけど。

我が国では2020年に某企業がインターネット調査を行い、

約四割がマスク着用で口呼吸になっていると感じていた

という結果を引用し、

「マスク下 口呼吸ご用心 唾液減り乾燥 雑菌繁殖の原因に」

との記事が公開されています。


ただし、このアンケートはあくまで自己申告

「マスク着用時に、非着用時よりもご自身が口呼吸になっていると感じますか。」

という質問に対する回答であり、実際にマスク着用前後で口呼吸が増加しているかを判断することはできません


また、このアンケートでは

「マスクを習慣的に着用するようになってからの体の不調・変化について、
それぞれあてはまるかどうかをお答えください。」

との質問も行われていますが、虫歯・歯周病にかかったと回答した者はわずが8.6%です。

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しかも、これは本当にマスクで虫歯や歯周病になったのかという詳しい解析は全く行われていません。

ここまでをまとめると

「マスクにより虫歯や歯周病が増える」というのは、現時点でただの仮説

ということになります。

ただ、残念なことにこのような仮説の情報が独り歩きし、マスク着用反対派に利用される可能性が危惧されます。


海外で”Mask mouth”が取り上げられている上記のカナダ歯科医師会、コルゲートでは、共に「マスクは必要」という発信も行っています。しかし、日本での発信では「マスクで虫歯や歯周病が増える」という仮説の点が強調され、むしろマスクが有害かのような発信方法となっている点が大変懸念されます。

したがって、「マスクの着用の誤ったリスク」に惑わされることなくたんたんと感染予防対策を行いながら、虫歯や歯周病を防ぐための口腔ケアを行っていただければと思います。



トンデモ歯゛スターズの活動は、基本的に全てボランティアで行っております。本活動を持続可能なシステムにしていきたいと考えておりますので、是非ご支援いただけると幸いです。