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キングのキャラスト6話を語らせておくれ
キングのキャラストーリーといえば、トレーナーとの激アツ契約シーンの4話や夏合宿でのポンコツかわいいところが見られる7話がよく話題に上がるかと思います。しかし私が今回注目したいのは6話の「一流の服」です。ここで描写されるキングの幼さや母との関係性がとてもとても好きなのでそれを語らせてください。
まず冒頭で怒ってるのはなぜ?
キングとトレーナーはとある休日に出かけ、朝の9時に待ち合わせをしていました。しかし時間ぴったりに到着したトレーナーに対してキングはご立腹。
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ひどい。この時点で契約してからどれくらいの時間が経過しているのかは不明ですが、これを読み解くほどの理解力がまだトレーナーに備わっていなかったのでしょうか。それにしたってこれはあんまりです。
この理不尽さに私は違和感を覚えました。普段からわがままでトレーナーを振り回しがちなキングですが、わかりやすい照れ隠しなど以外にこのような怒り方をすることはほぼありません。
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さて、ここでふたりが訪れている場所について考えてみましょう。この日の目当ては一流ブランドが集まる最新勝負服のファッションショー、キングの母もデザイナーとして関わっているそうです。しかも9時に集合した時点で長蛇の列ができています。そしてキングは恐らく母の作品を一番の目的に来たのでしょう。
もしかしてキングはこのファッションショーが楽しみすぎて、うっかり8時に到着してしまったのではないでしょうか?もちろんトレーナーはまだ来ない、ここから1時間待とうか…と思いきや、目の前の列はどんどん混雑してきます。
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9時に並び始めたらもう間に合わないかもしれないし、先に並んでおこうかしら?でもそしたらトレーナーと並べない、後から合流するにしても割り込みなんて三流のやることだわ!トレーナーが来たら並べる、トレーナーが来たら…っていうか遅いわね!もっと早く来なさいよ!入れなかったらどうしよう、やっぱり私だけでも先に…ああもう列がこんなに…!
こんな感じで我慢の限界まできたところで…
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…ということだったのだと想像できます。
余談ですが、この後に母の知人から声をかけられた際に社交辞令を突っぱねるキングが好きです。
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もう少し大人になれば受け流すことも出来るのでしょうが、つい怒ってしまうあたりに中等部らしい幼さが出ていて可愛らしいなと思います。困らせてごめんね関係者のおじさん。
キングから母への感情について
キャラストーリーでも育成シナリオでも「母に認められたい」という気持ちが一貫して描かれているキング。部外者からすれば「彼女の才能を否定し努力を認めない母親」にしか見えない相手にキングが固執するのは何故なのでしょうか?
それは彼女自身が母の愛情を確かに感じ取っているからだと考えます。
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キングのレースへの気持ちを真っ向から拒絶するような「貴方に才能はない」「他の道を選んだほうが幸せになれる」という言葉をかけてくる母。これは裏を返せば「才能を活かした場所で幸せになってほしい」と娘の未来を案じているということでもあります。突き放すような言動の数々からは「たとえ自分が憎まれ役を買ってでも娘にレースを諦めさせたい」という思惑も感じられるのです。
史実を見ても、GIをいくつも制覇した両親に比べて競走馬キングヘイローの成績は華々しいとは言えませんから、確かに母からすれば才能のない娘に見えてしまっても仕方がないのかもしれません。
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しかしキングは成績を評価されるよりも、ただ「頑張ってるわね」「応援してる」と言ってほしいのです。でもそれを直接伝えられない、きっと伝わらない。そんなキングが取れる手段は「成績を残して母に認めさせる」というただ一つしかありませんでした。
ここでキャラスト6話に話を戻しましょう。
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母がこのショーに関わっていること、デザイナーとしては一流でも手先が不器用だから自分に服なんて作ってくれなかったことをキングはぽつぽつと語ります。
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そして誕生日の話。料理が不得意であろう母がケーキを作ってくれたのをキングはしっかり見ています(母自身は隠せているつもりなのでしょうが)。キングの思いはきっと「失敗作でもいいから手作りのケーキを一緒に食べて、それが美味しくなくても笑って楽しい思い出にしたかった」というものなのでしょう。母は確かにキングを愛しているのでしょうが、失敗を取り繕おうとする性格も災いして娘のことをしっかりと見ることはできていないのだと思います。結果的にキングは「その愛情をどうしてまっすぐ伝えてくれないのか」と母との接し方に迷うことになってしまいました。
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前述した「たとえ自分が憎まれ役を買ってでも」という考えからの行動は、キングからすれば的外れもいいところなのです。幸せを願ってくれるなら、心配してくれるなら、それをただ伝えてくれるだけで十分なのに。
キングの面倒見の良さや周りをよく見ている性質は、母を反面教師にして育ったものだとも考えられます。
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ファッションショーの前後の反応を見れば、キングがどれだけ母のことを想っているかがよくわかります。彼女にとって確かな憧れであり、目標であり、大切な人なのです。
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さすがデザイナーと言うべきか母の話題は衣装別台詞で多く見られ、似合うと言われた色を今でも選び続けていることからも母への好意が読み取れます。しかしここで出てくる話題は「昔」や「幼い頃」のものばかり。それでもキングはその言葉を大事に抱えて成長してきたのです。母が不器用ながらに伝えてくれた愛情を信じて、いつかまた親子として対話できる日がくると信じて。
親子のリスタート
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お互いを想っているはずの親子の仲がこじれているのは、やはり相手への心配や意地がすれ違っているのが原因でしょう。クラシック級でそれに限界を感じ始めていたキングに対して、トレーナーは「母親を振り向かせるのをやめる」という提案をします。キングが母への執着を断ち切ることで、親子関係を一度リセットすることが必要だったのです。
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キングにとってトレーナーとは自分の信念を理解し寄り添ってくれる相棒。母とは真逆なものの、心の奥底で母に求めていたことを実現してくれる人とも言えるでしょう。そんな存在があったからこそ、キングは自分のために走るという道を選ぶことができたのかもしれません。
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そして母にとっては娘の選んだトレーナーであり、同じ保護者の視点を持って娘を導こうとする存在です。育成シナリオの特殊イベントでは、キングに対しては素直に言えないことも自分と同じ立場であるトレーナーには伝えられることがわかります。娘と一度離れたことで、また新しい関係を作り上げようと母も努力しているのでしょう。
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トレーナーが称する通り不器用な似た者親子ですが、これだけのことがあってもお互いを想い続けているふたりであれば、いつかまた向き合うことができるのかもしれません。
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その一助にトレーナーがなれるのなら、それはとても幸せなことだと思うのです。
いつかキングに、母の作ったケーキを食べる日が来ることを祈ります。
お誕生日おめでとう!!