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〈みずほ〉のUX/UIを支える新生デザインチームがめざす場所

2022年に大幅リニューアルを行った、スマートフォンで銀行取引ができる「みずほダイレクトアプリ」。特に力を入れたのはUX/UIの改善です。そこで今回、みずほダイレクトアプリのリニューアルを担当する上山さん、金さん、佐竹さんの3名にリニューアルの裏話や、〈みずほ〉のデザインチームについて話を聞きました。

<Profile>
上山 尭久(ウエヤマ タカヒサ)
みずほ銀行 決済ビジネス推進部 デジタルチャネルチーム
2011年入社。名古屋での法人営業、通信キャリア企業への出向を経て、2015年から現在までみずほダイレクトアプリの商品企画に従事。

金 熙正(キム ヒジョン)
みずほ銀行 デジタルマーケティング部 マーケティングプラットフォームチーム
IT企業で14年間UIデザインを担当した後、デザイン会社で金融機関や不動産に関するアプリ・ウェブのUIデザインを担当。その後、IT企業で自社サイトのリニューアルや自社アプリに関わるUIデザインを担当し、2022年3月みずほ銀行へ中途入社。みずほダイレクトアプリを中心にUX/UIデザインに従事している。
 
佐竹 正之(サタケ マサユキ)
みずほ銀行 デジタルマーケティング部 マーケティングプラットフォームチーム
2008年入社。法人営業を経て、2017年からフィンテック関連の事業開発及びUX/UIデザインに従事。2021年デジタルマーケティング部に異動。UX/UIチームを立ち上げ、Design OpsおよびUX/UIデザインに従事している。

UX/UI改善に重点をおいた結果、アプリの利用者数増加!グッドデザイン賞も受賞!

──2022年にみずほダイレクトアプリのリニューアルを実施した経緯を教えてください。

上山 みずほダイレクトアプリは、2014年にリリースされたスマートフォンアプリです。銀行のスマートフォンアプリとしては早いタイミングでリリースをしたサービスでしたが、徐々にご利用のお客さまから「使いづらい」「分かりづらい」といった声をいただくようになっていました。
 
その原因は、これまでUX/UI面での大きなアップデートを行ってきておらず、お客さまや社会のデジタル化に伴うニーズの変化についていけていなかったことにあります。加えて、今ほど〈みずほ〉内にUX/UIの考え方が浸透しておらず、デザインの優先度が上がっていないことも1つの要因でした。
 
そこで、2020年からみずほダイレクトアプリの抜本的な大規模リニューアルプロジェクトを始動しました。当初はまだインハウスデザイナーがいなかったので、まずはアプリの企画開発メンバーと、システムベンダーさん、デザイン会社さんの3社で議論を交わし、お客さまがこのアプリに求めているものを整理することから始めました。
 
整理にあたっては、プロジェクトメンバーが一堂に会し、ペルソナの定義からユーザージャーニーマップの作成、それを踏まえたアプリ提供機能のアイディエーションやユーザーヒアリングによるコンセプトテスト等を実施しました。
 
併せて、みずほダイレクトアプリの理念や画面デザインに関するルールを定めた「デザインシステム」を作成し、改めてみずほダイレクトアプリがめざすべきUX/UIデザインの土台を形作っていきました。

リニューアル当時について語る上山さん

佐竹 リニューアル前は、機能の追加や改善のたびに、少しずつフォントや文字サイズのルールがずれていったり、使われる色が増えていったりと、同じアプリの中でも統一感が損なわれることがあったと聞いています。その結果として、ユーザビリティが低下してしまっていました。
 
そのため、このタイミングでデザインシステムを定められたことは大きかったですね。とは言え、当時のデザインシステムも完璧ではありません。日々更新しながら運用することで、今後さらにアプリが進化していっても、使いやすく統一感のあるアプリをめざしています。

上山 概念やルールメイクといった大枠の整備に加え、どんな機能を追加していくかと言う取捨選択にも悩みながら取り組みました。銀行には、一般的に想像される入出金や振込の他にも、投資信託、カードローン等、非常に多くのサービスや商品があります。これらをどの順番でリニューアルしていくべきか、実際にお客さまからいただいたご意見を参考に話し合いを重ね、優先順位を決めていきました。

──リニューアルの結果、どのような変化がありましたか。

上山 今回、3段階に分けてリニューアルを実施しました。2022年1月に行った第1段階のリニューアルでは残高照会や入出金明細照会、メニュー一覧の画面等、日常的な銀行取引の基盤となる部分を改善し、その結果アプリの利用者数やストア評価は飛躍的に伸びました。
 
第2段階で振込のアプリ内完結機能(以前は一部ウェブサイトへの遷移が必要でした)や、入出金明細画面上での時点残高表示機能のリリースを終えた2023年2月時点ではそこからさらに伸びており、成果を上げています。
 
そして、リニューアルの結果として、グッドデザイン賞を受賞できたことも嬉しかったですね。現在リニューアルは第3段階に入っていて、お客さまから使い続けたいと思っていただけるサービスづくりをこれからも続けていきたいと思います。

グッドデザイン賞を受賞したみずほダイレクトアプリ

リニューアルにかかる取り組みを通して、UX/UIを軸としたサービス設計の重要性がこれまで以上に社内で認知されました。その結果、一つのサービスに留まらず〈みずほ〉全体としてUX/UI改善に本腰を入れるべく、2021年にUX/UIデザインチームが立ち上がりました。現在はプロパー社員の育成に加え、デザイナーのキャリア採用活動も積極的に行い、〈みずほ〉にUX/UIの考え方を広めていこうと日々活動しています。
 
 私は第1段階のリニューアルを終えた頃に入社しました。リニューアル前よりもUIが洗練され、デザインシステムが定められたことで全体の統一感も出たと思います。とはいえ、ユーザビリティやアクセシビリティの観点等まだまだ改善できるポイントがあるので、積極的に働きかけていきたいと思っています。

UX/UIデザインチームの取り組みについては、みずほフィナンシャルグループ「MIZUHO DX」特設サイトでもご紹介しておりますのでよろしければご覧ください。

誰もが使いやすいアプリを実現するため、常にお客さま視点を意識

──銀行のアプリは、ユーザーの年齢層が非常に幅広いのが特徴です。誰もが使いやすいアプリにするために、どんなことを意識していますか。

佐竹 銀行の商品・サービスの中には、投資商品等お客さまによっては難しいと感じられるサービスがあります。作り手としては、正確にご理解いただこうとするあまり、説明が多くなりがちで、油断すると文字ばかりの見づらく使いづらい画面になってしまいます。そのため、メリハリを徹底して文字量を調整し、直感的に理解、操作いただけるように工夫しています。

──リニューアルを進める中で大変だったことがあれば教えてください。

 私は入社したばかりの頃、銀行の商品やシステムについて理解が追い付いていない中、みずほダイレクトアプリの画面仕様書を分析していました。自分だけで解決できないところは他のメンバーに聞くことで次第に解決していきましたが、始めはわからないことばかりで大変でしたね。
 
佐竹 金さんには苦労をかけましたが、この動きは非常にありがたかったですね。みずほ銀行に長くいる私たちは、自社のシステムやサービスをある程度分かっているので、「これがどうしてできないか」を自然と理解してしまいます。
 
しかし、入社されたばかりの金さんはそうした暗黙の前提がないので、お客さまと同じ視点で「なんでこうなっているんですか?」と突っ込んでくれる。私たちが当たり前だと思っていた壁を壊して、「なるほど、この観点があるんだ」と新たな気づきを与えてくれました。

リニューアルのおもしろさや大変さを語る佐竹さん

──現在新たな機能追加のプロジェクトが進んでいるとのことですが、やりがいを感じる点を教えてください。

金 今までは社内にデザインの専門家がおらず、サービスやデザインのイメージをエクセル等に書き出しテキストでシステムベンダーさんに伝えていたため、企画開発担当の社員間で具体的なイメージの共有が十分でなかったり、社員とベンダーさん間で要件の伝達に齟齬が生まれてしまったりした結果、いざ開発を進めてみると実現したかったUXやUIと違うものになってしまっていた、と言うことがあったようです。
 
しかしデザイナーが、企画開発担当の社員から要件を聞き、Figma(デザインツール)でユーザータスクフローや画面UIを作成、必要に応じて社員とシステムベンダーさんとのハブになってやりとりすることで、認識のズレを早めに刈り取ることができるようになりました。
 
社内の企画開発担当者やシステムベンダーさんから「プロジェクトメンバーみんながサービスに関する共通認識を持てるようになり、論点が明確になったし、手戻りが減って楽になった」と言われたのは、とても嬉しかったですね。
 
また画面UIを考える際は、単に個別機能のデザインを検討するのではなく、みずほダイレクトアプリ全体の、ひいては〈みずほ〉のサービス全体のUXと照らし合わせて検討をすすめる必要があります。意識すべき範囲が広いので、一筋縄ではいかないこともあり試行錯誤の連続ですが、逆にやりがいを感じています。
 
上山 支店やコンタクトセンター等、直接お客さまとの接点を担う人からも、「使いやすくなった」「取引が数タップで簡単にできるようになった」と言う声が聞こえるようになり、利用者の声を通して私たちが進めてきたことは間違ってなかったと実感できました。
 
またSNSで検索して、みずほダイレクトアプリをご利用のお客さまが「アプリが使いやすくなっている」と投稿しているのを見つけたときは、特にうれしいですね。

改善余地の大きい領域に1から挑戦できる――〈みずほ〉でデザイナーを担うおもしろさ

──〈みずほ〉でデザイナーとして働く魅力はどのようなところにあると思いますか。

佐竹 「お客さまにとっていいサービスを提供したいと言う想い」は社内の誰もが持っていたものの、特にデザインに関しては手探りの状態が続いていました。しかし最近ではデザイン経験者に入社いただいたり、プロジェクトが立ち上がる際には積極的にデザイナーへの相談が行われるようになったりと、デザインを重視する機運が高まっています。
 
UX/UIの改善は〈みずほ〉全体ではまだ始まったばかりで、現状改善の余地が大きいため、自分たちの手で目に見えて改善していけるやりがいは大きいと思います。
 
 私が〈みずほ〉に入社した理由の一つ、1つに、今まで色々なアプリやウェブページのUIデザインに携わってきた中で、金融機関に関わるものが一番楽しかったと言うことがあります。金融機関のサービスは、人の幸せや可能性を広げることができるので夢があります。
 
その一方で、厳格なセキュリティやコンプライアンス等を求められるため複雑・難解になりがちです。私は、複雑なものをいかにシンプルに正しく伝えられるかを追求する、責任のあるこの仕事に楽しさを感じています。
 
デザインチームは2021年に立ち上がったばかりの組織なので、誰もがゼロからのスタート。どんなに小さなことでもチームで議論を重ねられ、チーム外の人たちもデザインチームの意見を貪欲に受け入れてくれる、この環境は理想的ですね。

デザイナーとして〈みずほ〉で働く楽しさを語る金さん

佐竹 商品企画担当者も交えて、UX/UIを社内で検討する工程はこれまで社内手続きに存在していなかったので、実は開発工数としては増加してしまうことになります。
 
しかし、良いサービスづくりにはその手間を惜しんではいけないと思うのです。この重要性を理解してもらうために、社内でもSNS等を活用しながらUX/UIデザインの本質的な役割について認知を広げていきたいと思っています。
 
さらに、「社内兼業制度(所属部署とは別の部署の業務を兼務できる〈みずほ〉の制度)」で応募してくれたメンバーも迎え、UX/UIチームで一緒に仕事をしています。UX/UIに関するノウハウ共有や兼業を通して、UX/UIデザインの理解者が増えることに繋がれば良いと思っています。

──これから、〈みずほ〉のUX/UIデザインチームではどんな人と一緒に働きたいですか。

上山 アプリ開発において、システムや開発上の制約はどうしても付き物です。ただ、デザインにおいては一度開発の目線度外視で、「ユーザビリティの観点でこうあるべきだ」と考え、議論できる人が来てくださると、我々としても実現しがいがあるなと思います。
 
 立ち上がったばかりの組織と言う環境は、今は少し大変かもしれませんが、3年後や5年後を考えると本当に素敵なチームになれると思います。長い目で見て、一緒に成長できる方と働けたらいいですね。
 
佐竹 今のこの組織は、まだまだ発展途上であり、良く言えば「チャレンジング」、悪く言えば「カオス」です。だからこそできること、やりたいことはたくさんあるので、この状況を楽しみながら、どんどん自分たちで道を広げていける方と一緒に仕事をしたいなと思います。
 
「金融」と言う誰もが使うサービスをUX/UIデザインを通して変革していける、チャレンジングな環境を求めている方をお待ちしています。

デザイナーが日々議論を交わしているオフィス

採用ポジション
みずほ銀行_UI/UXデザイナー | 株式会社みずほフィナンシャルグループ (hrmos.co)

みずほ銀行_Webデザイナー | 株式会社みずほフィナンシャルグループ (hrmos.co)

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