見出し画像

私の異常な判断ーまたは私は如何にして柿の葉寿司を買うのをやめてわさび葉寿司を買うようになったか

梅雨が明けたと聞きました。
太陽は誰に遮られることもなく揚々と照っています。
そんな日にまち歩きなどするべきではありませんでした。
今日一日で全く5回もサウナに入ったような汗をかいて、水やら何やら飲みまくって、塩分チャージを噛んで、どうにか無事帰って参った次第です。
そんな状態でなぜついでに郡山も、と思ったのかは謎です。気づかない内に熱中症になって正常な判断が出来ていなかった可能性があります。終盤はほとんど義務感だけで右足とそれから左足を叱咤しながら小高い郡山城を踏破しました。

いまさらながら、真面目な話はFacebookに書きましたから、ここに書いているのはこぼれ話です。

さて柿の葉寿司を初めて食べたのは、祖父母と高野山、九度山に行った時でした。そういえば中学の英語の教科書にも載ってた気がしますから、知ったのはもうちょっと前だったと思います。
皆さんにそのような覚えがあるかどうか、教科書に載っている食べ物はやたら美味しそうに見えます。小中の授業中というのは常に暇ですから、尚更でしょう。
だから柿の葉寿司にちょっとした憧れがあって、九度山に連れていってもらった時についに食べさせてもらったのです。憧れと妄想でハードルも見上げる程だったのに、全く遜色なく美味しかったです。以後機会があれば食べていますが、やはり奈良で食べると格別な気がします。

ですから今日も実は柿の葉寿司を食べる気満々でした。では何故私はわさび葉寿司を食べたのか。偏に近鉄大和八木駅に御坐す赤エプロンのおばちゃんこそが発端です。
大和八木駅では東西の線と南北の線が交わるので、乗り間違えるとわけわからん所へ運ばれてしまいます。東西にしか電車が走っていない神戸で純朴に育った神戸っ子たる私にとっては、理解困難な形状です。それでNAVITIMEのアプリとにらめっこしていた私に声をかけてきたのが、何を隠そう赤エプロンのおばちゃんです。

赤エプロンのおばちゃんは、これまでの人生で何度となく作った笑顔によって形成されたシワに沿ってまた一つ笑顔を積み重ねながら「これ値下げするから買わへんかお兄ちゃん」とセールストークを始めました。これというのがつまりわさび葉寿司。しかし私の頭を占めているのはもう完全に柿の葉寿司。
なのでとりあえず、柿の葉寿司と何が違うのか聞いてみました。ところが要領を得ない。柿の葉寿司は葉っぱを食べないけどわさび葉寿司は食べる、とのこと。でも私が聞きたいのは食べ方じゃなくて、一体どちらを食べれば美味しいのか、というかあの柿の葉寿司よりもわさび葉寿司なる新参者が美味しいというのかどうかなのです。とはいえおばちゃんは教えてくれなくて、味についての一切の情報を持たないまま勝負せざるを得ない状況に追い込まれてしまいまったわけです。
ことここに至ってはただ己自身の直感だけが頼りになります。味についての不安はやはり一大要素です。でもたまに来たのだから地元の人のおすすめを食べてみようかと思わんでもなくて、もしかしたらわさび葉寿司が好きな食べ物ランキングを塗り替えるかも知れない。食わず嫌いでチャンスを不意にしてしまうのは寂しくて、たまにはチャレンジも必要で、普段から生活がパターン化しがちやし、とかなんとか考えてる内におばちゃんがお茶もつけてくれるって言ってるし、つまり結局のところ、こうして無事めでたくわさび葉寿司を買ったのです。
もしかして、この時すでに熱中症になっていて正常な判断が出来ていなかったかもしれません。

わさび葉寿司、そんなに美味しくなかったです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?