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記憶と記録

出展作品

 少し前の話になりますが、「みんなで叶える写真展」という写真展に参加させていただきました。
お台場が舞台のアニメ、「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」をテーマにしたファンによる写真展でした。

出展作品

 僕はお台場のヴィーナス・フォートの夜景写真を出展しました。
理由としてお誘いいただいた段階で、遠方在住の僕は写真展用に新規で撮影に行くことができない状況でした。この前提もあるのですが、今回の展示場所が区民センターであることから、虹ヶ咲のファン以外の人が見ることあるだろうと最初に考えました。そういう人が見ても単純に興味を持ってもらえる作品を展示したいと思いました。展示会のテーマからは少し逸れてしまうかもしれませんが、色々な参加者がいらっしゃる中で、僕みたいな変わり者がひとりくらい居ても受け入れてもらえるかな……? という思いでしたw (展示会のテーマになっている虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会も、一人ひとりのやりたいを叶えていく物語なのでそういう意味ではOK…?)

 いつも夜景を撮っていると、それが当たり前になってしまって意外に忘れがちですが、日付が変わろうかという深夜のヴィーナス・フォートの寝静まった姿を、普通の人は見ることはまず見ることが無いだろうなと。そして写真展が始まったときにはすでに営業を終えているため、「もう二度と見ることができない光景」でした。なので地元の人にとっては思い入れも強い光景なのではないかと思い、この作品を出展することにしたのです。

変わっていく風景


最後の最後に一度乗りたかったのですが、運悪く台風で乗れませんでした。

 作品が長く愛されていると、舞台となっている場所もアニメ放送当時から変わってしまう事が多いのは仕方がないことだと思います。ラブライブ!サンシャイン!!の舞台、沼津ですらいろいろな風景が消えては生まれ・入れ替わって来ています。6年の歳月が流れれば、少しずつ作品の中の風景から現実が一歩一歩時間を歩んでいく。ましてお台場は「確実な再開発が目前に迫った場所」であり、その口火がついに切られたタイミングでもあるのです。これから文字通り街全体が根底から変わってしまう、そんな時にアニメの舞台となったわけです。
 僕はこの写真展まで、自分はお台場という場所について特に思い入れは無いと思っていました。コミケの開催されるビッグサイトならまだしも、ヴィーナス・フォート周辺については、極稀に足を踏み入れるくらいの親しみしか持っていなかったのです。でもここ1~2年、朝まで夜景を撮り歩いたり、友人たちと写真を撮ったりしている内に、いつの間にかこの場所が好きになっていたのです。それを今回の写真展で気づくことができました。同時に閉業し取り壊されていく施設を見ると寂しさが湧いてきました。

記憶とともに記録すること

Zeppが取り壊されて一足先に主を失った看板

 写真はその場所と時間を永遠に記録する事ができるメディアです。
だからこそ失われていく場所を記録したい。お台場に関して僕にはもうあまりチャンスはないのですが、できる範囲でそうしていきたいと思っています。記録することで、その場所で有った出来事・出会った人・過ごした時間を記憶していきたいです。遠方在住の僕にとっても、お台場はいつのまにかかけがえのない場所になっていました。


謝辞

最後になりますが、今回このような素晴らしい展示会にお誘いいただきましたざっかりーさん、企画運営のまるまるサークルの皆さま、演奏会で素敵な音色を奏でてくださった虹色Quintet!の皆さま、貴重な経験をさせて頂き誠にありがとうございました。
そして展示会にて拙作を見てくださった皆さま、あまつさえ推しポストにご感想を送ってくださった方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
ありがとうございました!

名札


【写真】

メガウェブには個人的に色々と思い出がある
もう車が走ることはない試乗コース。現在は跡形もないはず。
記憶のセーブポイント
月下に佇む。この砦にもう灯が灯ることはない。
偶然女の子が写り込んだ。おかげで不思議な雰囲気ともの悲しさが表現できた。
失われた景色。
真夏の夜にそぞろ歩く。
明かりと明かり、そして明かり。
営業時間が終了し、静かに回転を止めた観覧車に月明かりが映える。

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