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 詩 現実による侵食




 詩 現実による侵食


何もしていない時間が怖い
何も進捗していない今が怖い
いつもやることが降りしきって
それを消化しようにも
うまく手が動かない 今が
怖いんだ
その恐怖は
かつてあった
未知への期待も 畏怖いふも 羨望も
溶け出して アスファルトのうえに
置いてきてしまうくらい
わたしの頭蓋に 隙間を開けている

楽園がみえない
あのとき抱いた
一生をすと決めた
はずの 楽園に
ピントが合わない
楽園の夢は
あらゆるタスクに
押し潰されて
たぶん 死んでしまった

と思えば
ときどき 寝起きの数十分
あるいは 就寝の一度にて
チャンネルが合って
頭が鮮明になって
ああ、そこにいたんだね、
って、冷たい息を吐く

その時間は
どんどん短くなっていく
あと何回
あと何回 あなたたちのこと
見ていられるだろう

床に爪を立て
二本の足をなんとか動かして
腕を伸ばす
少しでも
たった少しでも あなたたちのところに
行ける時間がほしくて






東方とうほうしんろく』に登場する女子高生『宇佐見うさみすみれ』を基にした詩