詩 深宇宙への逃避行
詩 深宇宙への逃避行
そこに存在するものよりも
ずっと親密そうに
鏡面の向こうをみつめる
鏡面を 強く睨めつける
もう水底には潜れない
私にとって
もはや水面は
あの世界との架け橋
清濁綯い交ぜの
悲喜が交差する
然りとも否とも云えない
桃源郷への
歪んだ理想への
入口
なんにもないところに
辿り着いてしまいたい
命も 生き汚さも
知らず 大事なものを傷つける
必死さも
いらない
そんな破壊に憤る自我も
厭で
だから それら全部
いなすように掻い潜って
なんにもないところに
到着したいの
明るい地上の水面に
輝くものは月一つ
それだけしか
ないところへ
ゆきたい
『東方儚月抄』に登場する月人『綿月豊姫』を基にした詩