みきちゃんの話

一時保護所にいた時の話をします

一時保護所では急にに新しい子が入所したり、今までいた子が退所したりいます

ある日、みきちゃんという女の子が来ました


「みきちゃん、自己紹介して」


「みきでちゅ、7歳でちゅ」


みきちゃんは7歳のすごく元気な女の子でした

自己紹介が終わって自由時間になって、みきちゃんと初めてはなしました
みきちゃんは顔に殴られたアザがありました
施設では自分がなぜここに来たのかとか、個人情報とかを話すのは禁止になっているのですが、みきちゃんは

「みきさー、毎日ママに叩かれて」
と話し始めてしまい、爆笑したのを覚えています
「みきちゃんしっ!!☝️☝️」
と職員に言われていました

個人情報などを話すのは禁止になっているのですが、職員が見ていない一瞬の間になぜここにきたのかとかみんなで話したりしていて、みんなの事情は何となく知っていました
私は自分の問題で施設に来たのですが、ほかのみんなは虐待とか、親と喧嘩したとか、私以外全員家庭の問題で一時保護所に来ていました

みきちゃんと私は次第に仲良くなりました
自由時間には鬼ごっこをしたりUNOをしたり縄跳びをしたり
絵本をふざけながら読んだらめちゃくちゃウケました

ある日、私が鼻をフガフガさせるのを見せたら
「はなかっぱ!!」
と言われ、その日からはなかっぱと呼ばれるようになりました
施設では必ず名前にちゃん付けで相手のことを呼ぶと決まっていたのですが、みきちゃんは私のことをはなかっぱと呼ぶのでよく怒られていました
みきちゃんがおもらしして夜中に目を覚ましたこともありました
靴を洗いに久しぶりに施設の外に出た時、ホースから出た水に虹がかかって、「虹ー!」とか、虫を見つけて、「虫ー!」とかみきちゃんは言っていました
だんだんみきちゃんが妹のような存在になり、すごく好きになりました

しかし、別れはやってきます…
みきちゃんの顔のアザが治ってきたころ、私は施設を退所することになりました
みきちゃん以外のみんなにはこっそり施設を退所することを伝えました
みきちゃんに言うとぽろっと職員に伝えたりしそうなので、退所するとは言いませんでした
でも私はみきちゃんと仲が良かったので、施設を退所する日にみきちゃんに聞きました

「みきちゃん、私がもしいなくなっても大丈夫?」

みきちゃんは
「みき、はなかっぱがいなくなっても他にみんなおるし、大丈夫やもん」
と言っていました

みきちゃんにめちゃくちゃ気に入られていたので、正直もっと悲しいとか言うかと思ったけど全然そんなことありませんでした

そして、みきちゃんやみんなの思い出を胸に、施設を退所しました


もう一年以上も前のことだと思うとすごく感慨深いなーと思います
みきちゃんがなんとか幸せに暮らしていることを願ってます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?