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ソロ合宿

先日、ソロ合宿を敢行した。とはいっても田舎の旅館に一泊しただけであるが。合宿の内容は主に読書、思考整理、勉強というところである。

ちょうど夏休みが余っていたし、仕事でのストレスから肌荒れがひどくなり、整骨院の先生からも副腎疲労と自立神経が乱れていると言われたばかりであったので、心身のリラックスも兼ねたものであった。


この合宿を思いついたのにはずっと心に残っていた記事があったからだ。それは浪人時代に読んだ雑誌PRESIDENTの一節である。

 参考になるのが、やはり読書家として知られるマイクロソフト創業者のビル・ゲイツだ。起業する際に、法律書、会計書など、ビジネスに関する本を片っ端から通読。後にレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿や、世界初の印刷物であるグーテンベルク聖書を所有したという、筋金入りの本好きである。「その読書法も独特で、『シンクウィーク(思考週間)』という習慣がある」と語るのは、著名人の行動習慣をまとめた著書がある理学療法士の濵栄一氏だ。
 「年に数回一週間の休みを取って、森の中の別荘にこもると、ゲイツは下界との接触を絶ち、ひたすら本と資料を読みます。文字情報だけに集中して、とにかくインプットする。『創造的アイデア、飛躍的な考えは情報の嵐に曝されているときにはけっして出ない』『(一時情報を)遮断すれば今まで得られた情報と、新しく入ってきた情報を統合して、物事の本質に迫れる』という研究報告があり、ゲイツは読書という手段を用いて、それを実践しているのでしょう。
 さすがに一般人が長期間一人きりになるのは難しい。でも休日、自分の部屋で誰とも会わず、数時間集中して本だけを読めば、今まで以上に深い思考ができるようになるはずです。 (PRESIDENT 2015.6.15号 73ページより)

このシンクウィークの話がずっと頭に残っていたので、それを一泊ではあるが実践してみようと思った。これで私もビル・ゲイツに一歩近づいただろう。


まず、田舎の宿をとった。小高い山の上にある宿泊施設で、近くにはコンビニもなく、景色は山が広がっているだけだ。集中力を高めるために、電子機器の電源を切った。スマホはもちろん電源オフ、備え付けのテレビも見ない。音楽も聴かない。完全な環境の中で行った。

結果的にはとても集中するよい時間を送ることができた。書き出すと長くなってしまうため、合宿の感想や分析、反省をなるべく箇条書きで書き出そうと思う。

①整理された空間

私の部屋はかなり散らかっている。色んな物があったり、本が山積みになっている。家でなかなか集中できないのは、周りの物が視界に入ってしまうからだと思う。本を読んでいる時に配線ケーブルや並ぶ本のタイトルが目に付くと、どうしても気になってしまう。

だが、旅館は備え付けの最低限の物しかない。部屋もテーブルもとても片付いてるので、雑念が生まれない。机もきれいで、開かれたノートや目の前の書籍に集中することができる。ピークに集中している時は、「活字が脳の視神経に張り付く」ような感覚が得られた。


②静けさ

田舎の旅館に泊まったため、夕方以降は特に静かであった。この静けさは集中するうえで重要だと感じた。都会ではガヤガヤしているし、家に誰かがいると声が聞こえたりする。また、いつもはなんとなく音楽を流すときが多かったが、静寂の方がはるかに集中できた。

カフェでも読書や作業は可能だが、ペチャクチャ会話している人もいるので、静寂には程遠い。また、図書館は静かではあるが、自分も極限まで静かにして、その環境の担い手になる必要がある。何か思いついた時に独り言を言ったり、声を出して伸びをするということができない。

そして何よりカフェも図書館も他人の目がある。儀礼的無関心を装ったり、他人の視線があったりするということはけっこう疲れる。

③電子機器

そもそもパソコンやiPadを家に置いていき、ネットの誘惑を減らした。特に集中力を妨げるスマホは持参はしたが、入浴の後から家に帰るまで電源を落とした。スマホの電源を落としたのはいつぶりだろうか。

電子機器が無いと、驚くほど集中できる。いつもは調べ物やなんとなく音楽を聴くためにスマホを触っていた。その時にLINEの通知が気になってしまったり、noteのスキが来ていないか、何かニュースは無いだろうかと、ムダなネットサーフィンをしてしまっていた。

また、BGMをYouTubeで流す際に、他の動画が気になってしまいYouTubeをダラダラと観てしまうことがあった。次々におすすめ動画が出てくるため、なかなか抜け出すのが難しい。

電子機器を持たない、電源を切るというアナログな手法こそが「デジタル・デトックス」にはとても有効だ。ただ、1つ失敗だったのは、iPodの電源を落とせなかったことだ。部屋に時計がなくやむを得ずiPodで時刻を確認していたからだ。


「社会人 勉強時間」と検索すると平均的な勉強時間は約6分という結果が表示された。「6分」は1日の中でトイレにいる時間よりも短いのではなかろうか。どんな社会人であれ、そこには必ず「学ぶべきモノ」があるはずで、業務上の知識やライフプランに関する知識、資格の勉強や、人としての教養など挙げればキリがない。

社会人が勉強しないというのは、環境も大きく影響しているだろう。特にスマホ社会・ネット社会の現代では、どこにいても、いつでも「つながり」から逃れられない。LINEのメッセージやアプリの通知は遠慮なくポップアップに表示される。電子機器は便利ではあるが、集中力を奪い、時間泥棒にもなりうる存在だ。

私もその一人である。勉強は好きだが、集中できているかと聞かれると微妙なところだ。そんな自分を変えたいという淡い希望もあったのだ。「勉強したい」「自分を見つめ直したい」という人はこのようにテーマを持った合宿を敢行することをおすすめする。

合宿は必ずしも勉強をしたり、読書に励んだりする必要はないと思う。自分の生活を見つめ直すということだけでも十分だ。何もせずに1日中瞑想をするなどというのも贅沢な過ごし方だと思う。「とりあえずやってみる」そういう姿勢が必要なのだと感じた。


アナタのシンクウィークは?


【参考】

PRESIDENT 2015年6月15日号 プレジデント社

頂けたサポートは書籍代にさせていただきます( ^^)