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【UFC StLouis】泥試合ダメだよKOじゃなきゃ【メイン以外の注目試合】『Lewis vs. Nascimento』※試合後追記しました。


大会色合い

さて開催地セントルイスと言えば、かつてPRIDEでも活躍した元幕内力士・戦闘竜(せんとりゅう)の四股名の由来とされる地名として頭にインプットされています。セントルイスに住んでいたから「せんとりゅう」とは安易なネーミングだなあと当時は思っていましたが、改めて振り返ってもそう思います。
商工業都市であり物価も低い方で留学生も多く日本人移住者も多い反面隣接するイーストセントルイスは犯罪都市でもあるという、個人的には全く馴染みも知識もない都市です。

メインイベントはKO数14歴代No.1デリック・ルイスといつの間にかランキング15位になっていたナシメントのヘビー級マッチ。
有観客ともあってキャラの立つ米国ファイターと実力派ファイターがラインナップされていて、ここ最近のファイトナイトでは特段楽しみにしておりました!!

次のナンバーシリーズは6月頭ですが、それまでの5月はRoad to UFCアジアシリーズ・シーズン3の一回戦も開催されるので観戦記で忙しくなりそうです。吹き飛ばせ、五月病!GW休みボケ!

注目試合

今週は注目試合がズラッと並んでいるのでメインイベント以外から
プレリム、メインカードそれぞれ2試合に絞ってピックアップ。
やっぱ有観客大会だと面白い選手が目白押しな辺りUFC APEXとの差別化がはっきりと分かりますね。そりゃそうか。

(フライ級:プレリム②) チャールズ・ジョンソン🇺🇸 vs ジェイク・ハドリー🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

注目はバランスファイターのジェイク・ハドリー。
27歳 10-2(UFC2-2) 3KO/5SUB


動きに芯のある選手で、ボディショットでKOもできる鋭い打撃で展開作ってスクランブルも強く柔術スキルもあるよといったトータルファイターで推している選手です。
全然は昨年8月のナッシュビル大会でコーディ・ダーデンとの激闘を繰り広げるものの一歩及ばず敗戦してしまいます。もう一つ成長すればランクに入れる実力があるのに!!と感じたところから再始動の試合。

対するは元LFAフライ級チャンプのチャールズ・ジョンソン。
33歳 14-6(UFC3-4) 6 KO/3SUB


レスリングに秀でた米国ファイターで、フルラウンド戦う試合も多くタフな選手です。
前戦はカザフスタンのアザト・マクスムと対戦。
序盤にパンチをもらってダウンするシーンもありましたが、中盤以降サウスポー構え左ストレートからのレベルチェンジでバックテイク、チョークをセットするシーンを作ってからは混ぜるMMAストライキングとTDDで徐々に盛り返し判定勝利を掴みました。

これまでの内容を見ると序盤にハドリーが打撃を効かせてフィニッシュ予想ですが、セントルイス出身のチャールズ・ジョンソンがホームアドバンテージを得るか。

(ライト級:プレリム⑥)チェイス・フーパー🇺🇸 vs ヴィチェスラフ・ボルシェフ🇷🇺

スクランブル、柔術スキルの目立つ回転体のチェイス・フーパー。
24歳 13-3(UFC 5-3) 4KO/6SUB

スティーブ・ガルシアにボコボコにされた2022年とは打って変わって2023年は2連勝。
前戦のジョーダン・レーヴィットとの試合では目まぐるしいグラウンドゲームの末RNCを極め見応えのある試合を展開。

対するはコサックダンサー、ボルシェフ。
32歳 7-3(UFC2-2) 6KO

実力者ナジム・サディコフとの注目マッチでは激闘の末ドロー裁定となりましたが個人的には選手として強く印象づけられた内容だったと思います。
ショートレンジのフック系パンチによる打撃が得意でKO率も高く、グラップラーのフーパーとは得意分野は真逆。

試合展開はシーソーゲームにはならず、どちらか一方の展開になって終わるような気もしますがボルシェフは今の所サブミッション負けは無しです。

(ヘビー級:メインカード①)ウォルド・コルテス・アコスタ🇩🇴 vs ロベリス・デスパイネ🇨🇺

毎度お馴染み、元野球男児のアコスタ。
32歳 11-1(UFC 4-1) 5KO/1SUB

オーバースローの軌道で放つパンチで現在2連勝中。パンチは上手いけどカーフはカットしないことが毎試合顕著に表れています。
前戦はベテランファイター、アンドレイ・アルロフスキーと対戦。
結果的には勝ったものの、内容は挑発ばかりの消極的な姿勢で良い選手と言えるには程遠い残念なものでした。

対するはとんでもないKOでヘビー級の新顔では最も話題になっているデスパイネ。
35歳 5-0(UFC 1-0) 5KO

ロンドンオリンピックのテコンドー銅メダリストで、デビューから5連勝5KO中。
しかもここ4戦の試合時間の合計が1分に満たないノータイムっぷり。

UFCデビュー戦ではジョシュ・パリジアンに蹴りを放って自らバランスを崩し尻餅をついたものの、起き上がって後退しながらパンチを放ってKOするという曲芸を見せました。いつしかのボブサップ並みの衝撃。

デビュー戦からショートタイムで勝ってきた選手はどこかで転かされて無力化されるのが世の常ですが、彼がテコンドーのバックボーンでどこまで魅せれるかは必見ですね。

(フェザー級:メインカード⑤)ホアキン・バックリー🇺🇸[#11] vs ヌルスルトン・ルジボエフ🇺🇿

蹴り足を掴まれての回転蹴りKOで一世を風靡した、というかしているバックリー。
30歳 18-6(UFC 8-4) 13KO

今回の開催地セントルイスは地元でもあるため、負けられない一戦になります。

前戦はウェルター級の強豪ランカー、ヴィセンテ・ルケに対して盤石な展開でアップセットを起こし、波に乗っている状況であります。
身長も172cm程度で、よくこの身長でミドル級で戦ってたなと思う体格です。バンタムでも180近い選手がいる時代。

この大きいとは言えない体格であるものの、小さい選手の宿命とも言える「中に入って自分から作る」をやってのけるメンタルとタフネスが特徴でもあります。

対するは、195cmの怪物ルジボエフ。
30歳 34-8(UFC 2-0) 12KO/20SUB

昨年7月にブルンノ・フェレイラを相手にUFCデビュー。1分ちょっとでKOすると前戦セドリケス・デュマスを相手に1R KOでMMA10連勝中。
ただ前戦はアイポークもあってデュマスには少し可哀想な展開でもありました。
蹴りに合わせた右ストレートのカウンターと右アッパーが得意。ハンドスピード良しといった印象です。

ミドル級でデビューしたもののウェルター級でも試合した事もあるようで、ミドル級だと減量に要する日数は1日、ウェルター級への減量もイージーだとも某記事で語っていました。
記事を読んでいると、チマエフがそうしたようにウェルター級でも戦うしミドル級でもオッケーという認識らしく、どっちに拘る感じもなさそうでした。震え上がるのではウェルター級陣。

サブミッションの数も多くここ数年の戦績ではキムラで極めている試合もいくつか。
バックリーはルケから奪い取った11位の座を、怪物を相手に死守出来るか。

その他気になる選手たち

・ウェルター級 ビリー・ゴフ🇺🇸
木下憂朔のボディを貫いたタフファイター。
・ライト級 テランス・マッキニー🇺🇸
1Rフィニッシュが多い秒殺ニキ。2連敗明けの2連勝中。
・フェザー級 ショーン・ウッドソン🇺🇸
188cmフェザー級の巨人。過去5戦4勝1分。セントルイス出身。
・ライト級 マテウシュ・レベツキ🇵🇱
身長170cm、ポーランドの弾丸グラップラー。3連勝中。
ライトヘビー級 カーロス・アルバーグ🇦🇺
イジー、ヴォルクと同門。UFCデビュー戦でエンジーチュクに打ち負けてから距離のリスク管理を徹底して現在5連勝中。

※※※試合後追記※※※


面白かった試合、見返したい試合


(フライ級:プレリム②) チャールズ・ジョンソン🇺🇸 vs ジェイク・ハドリー🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿

中央からプレッシャーをかけるハドリー。
ジョンソンは前手を触りながらサークリング。
喧嘩四つの中、なかなか入れないハドリーはタックルを混ぜながら仕掛けますがジョンソンは3Rの後半に入ってもテイクダウンディフェンス100%でハドリーの手札を潰し続けます。
2R終盤にジョンソンが右ストレートでダウンを奪い、ハドリーがボディストレート、みどると腹を効かせたようなシーンもありましたがジョンソンの対応力に及ばずホームゲームのジョンソンが勝利!!

期待通りの見応えのある試合でジョンソンがランカー戦へ大きく前進しました。

(ライト級:プレリム⑤) テランス・マッキニー🇺🇸 vs エステヴァン・リボビクス🇦🇷

直後からアグレッシブに手を出すマッキニー。
距離を取るリボビクスがサウスポーからスイッチしながらのコンビネーションで右ストレートから繋いだハイキックがマッキニーのアゴに直撃!!!

ケビンリーの有名なノックアウトシーンと重なる衝撃KOに会場は喝采!
マッキニーは立てず、リボビクスが持っていきました!!

(ライト級:プレリム⑥)チェイス・フーパー🇺🇸 vs ヴィチェスラフ・ボルシェフ🇷🇺

また少し体が大きくなったように感じるフーパー。
1R序盤に頭を腰ほど低く落とした渾身オーバーハンドでボルシェフからダウン!!!
グラップラーにとっては最高の形でトップポジションを取ったフーパー。
こうなればずっとフーパーのターンで1Rを4分以上トップコントロール。10-7でもおかしくないくらいのラウンドでした。
2Rも早々にバックブローからタックルに繋げてシングルレッグ!
ボルシェフの頭にコブが出来るほど削り続け、最後はダースチョークをセット。
ボルシェフがタップするように一度アクションするとレフェリーがストップ!

タップじゃないと抗議するボルシェフでしたが、あの動きはタップととられても仕方ないでしょうし、あの状況でしたので個人的にはモヤモヤは残らず。

まだ24歳のフーパー、まだまだこれからが楽しみな選手です。

(ライトヘビー級:メインカード③)アロンゾ・メニフィールド🇺🇸[#11] vs カーロス・アルバーグ🇦🇺

アメリカンフットボールのラインバッカー(アイシールド21でいう進清十郎)の経験を持つメニフィールドが開始早々、アルバーグとの距離を縮めようと右オーバーハンドからの突進!!
咄嗟に下がるアルバーグのリスク管理がひとつ優っていて、メニフィールドの突進しながらの左フックも届かず!

いなされてケージに突っ込んだメニフィールドがコケて四つん這いになると、パンチを的確に振り下ろし続けるアルバーグが最後は右アッパーで仕留めてレフェリーストップ!

10秒ほどの秒殺勝利でランカーを下しました。
これで6連勝!
大きく距離を取るアルバーグに対してのこのプランだったんでしょうが、無念メニフィールド。

(フェザー級:メインカード⑤)ホアキン・バックリー🇺🇸[#11] vs ヌルスルトン・ルジボエフ🇺🇿

ウッドソンのせいで見慣れてしまった身長差マッチ。
バックリーは中に入ってフック系のパンチを中心に組み立て、ルジボエフは得意の右カウンターを匂わせます。
効果的だったのはバックリーのタックルで、不利なスタンドの状況を打破しながら自分のコントロール時間を作って確実に試合を支配します。

3ラウンドの左フックでのダウンは見事でした!!
こんなに果敢に中に入って勝負してくるやつ、今までいなかったんじゃないでしょうかね。

苛立ちからか、互いにグラウンド状態での蹴り上げもやってしまい焦りを醸し出すルジボエフでしたが体格のアドバンテージも虚しく、ホームアドバンテージを得た勇猛なバックリーの勝利となりました!
ランキング死守!!!

大会総括<やっぱりド迫力ヘビー級>

レベルの高い接戦、秒殺もあって最後にルイスがルイスらしいKO劇を見せたことで起承転結巻き起こったセントルイス大会でした!

ジョンソンvsハドリーの現代らしい軽量級のハイレベルな試合とは裏腹に、デスパイネが怪物の幻想をまとったままグラップラーとは言えないノーランカー選手に倒かされて無力化されるという00年代のMMAに近しい試合を見せてくれて、いい意味で山あり谷ありのイベントで大いに楽しめました笑

ヘビー級はこうでなくちゃ!という試合を見せてくれたルイスですが、現在ヘビー級のベルトを保持する最恐JJは暫定王者アスピナルとは試合しなさそうなので現在UFCのヘビー級のベルトはビジネスライクに寄ってしまっている状況です。
いつか何も考えずに見られるヘビー級のど迫力タイトルマッチが観たいものです。