第四の覚書

第一の覚書で書いた翌日の朝。

Tさんの「とんでもないところに、来てしまったと思ってるでしょう」との声そのままに、ゲンナリしながら朝を迎えた。

食事はデイルームで一斉に食べる。一人になりたかったのだが、部屋で個食することも許されない。仕方なしにデイルームに向かうのだが、またこの時間も穏やかでない。

決まっているようで決まっていない席に座り、うつむきながら硬すぎるコッペパンに手を伸ばす。

瞬間、目の前を何かが動いた。びっくりした。さっきまで僕の左前にあったはずの牛乳が斜め前に座っていたOMさんに瞬時に「パクられた」のだ。

「ちょ、ちょっと・・・」

自分がどう反応したらいいのか分からない僕に、同質のAB(自称AB型の人)さんは察知してくれたのか、「あ!せんせー!せんせー!」とデイルームにいる介護士さんに声を上げた。

介護士さんは瞬時に察知。後で知るのだが、OMさんの盗癖は折り紙付きらしい。
「あ、お前―!人のもの盗ったらあかんやろ!」とOMさんの手元から牛乳を返された。

「もう僕、食事いりません」

それは心の声だった。Tさんの言葉の重さにずっしりと落ち込みながら、とても他人にとられた牛乳を飲むつもりにはなれなかった。

とはいえ、その日のそれからが分からなかったので、デイルームのお茶でコッペパンとおそらくサラダらしきものを流し込んだ。

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