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ニューヨークのヤンキースファン|私はオオタニのためにここにいる

忘れることのできないニューヨーク ヤンキース ファンがいる。
彼は大谷翔平のために、初めてヤンキー スタジアムへ試合観戦にやってきた。

「ベーブ ルースを知っているかい。
彼の存在はヤンキースだけでなく全てのファンを釘付けにしたんだ。
オオタニも同じ。本物のスーパースターなのさ」

得意げに話してくれた。

2021年の6月。
ニューヨークで行われるエンジェルスの数少ない公式戦の観戦のためヤンキー スタジアムへ出かける日がやってきた。我らの住まいはニューヨークだが、この日ばかりは大谷翔平サポーターとしての応援を許して欲しい。

Have a good one!
背番号17の赤いTシャツを着てお手製の応援ボードを抱えると、ニューヨークの街では少々引け目を感じたが、道すがらにこやかに声をかけられる。
大谷選手のすごさなのか、ニューヨーカーの懐の深さなのか、地下鉄でヤンキー スタジアムへ堂々と目指すことができた。

誇らしい背番号17

試合前の練習も見逃してはならない。スタジアムに入場し、3塁側へ向かう。ちょうどエンジェルスの選手がグラウンドのあちらこちらに散らばって調整をしているのが座席のずっと奥の通路からでもわかった。

ヤンキー スタジアムを正面からみる
エンジェルス vs ヤンキース
スターティング メンバー

さらに選手たちに近づこうと内野席のスタンドへ入ろうとした。そのときグラウンドをじっと見つめる2人に目が留まった。

年配の男性ともう一人はまだ十代に見える若者だ。ボードをグラウンドに向けて掲げている。通り過ぎようとした瞬間、ボードに書かれた赤い文字が目に入った。


IM 85 AND
IM HERE FOR OTANI
私は85歳
私はオオタニのためにここにいる


こちらもOHTANI17の赤Tシャツを着ていたからなのか男性は嬉しそうにお手製のボードを示しながら、矢継ぎ早に話し始めた。

「ヤンキースのファンなのだけれど、オオタニを観るためにやって来た。スタジアムに野球を観に来たのは初めてなんだ」

「ベーブ ルースは二刀流で最高にゲームを盛り上げてくれるプレーヤーだった。オオタニはまさに同じ存在なんだよ。本物のスーパースターだ」


大谷翔平の試合を孫と連れ立って観に来たのは紛れもなくニューヨーク ヤンキースのファンだった。大谷翔平はひとりの野球選手としてチームを超えてがっちりニューヨーカーのハートを掴んでいるのだ。

誇らしさとありがたさ。
我らはそのヤンキース ファンへまだ着ていなかったもう1枚の赤いTシャツを、同じ大谷翔平ファンの仲間として手渡した。

この日、大谷選手の二刀流は見られなかったが、2本のホームランがヤンキースタジアムで大きなアーチを描いた。

ひとつはエンジェルス ファンへ、
そしてもうひとつはヤンキース ファンへ。

ありがとう、大谷翔平選手。

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