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枯れ木に花を咲かせましょう

地元広報紙の編集長になった(させられた)ので、いままでやりたくて出来なかった記事を上げていこうと思った。

まず、自治会の月ごとの活動を、小さな枠でいいので報告していく。
そんな無味乾燥な内容、誰も読まないだろうとこれまで却下されてきたが、広報の役割の一つは記録である。

我が広報は242回(月1回発行だから20年以上)続いていて、バックナンバーもデータもちゃんと残っている。このまま続いていってさらに20年後の人たちが見る時に、当時の自治会でどういう動きがあったかという記録は必要である。

せっかく話題を地元に限定して記事にしているのに、自治会との接点がこれまで薄かった。テーマは完全に共通しているのに、おかしな話だ。
そこで昨年秋、「井戸端会議(当時は「寺子屋」と呼んでいた)」という場を設け、自治会長らも招いて話をする機会をつくった。話題はとうぜん自治会や地域が抱える課題にふれることになり、我々との接点はそれまでよりもはるかに増えていく。
自治会に活動報告を依頼すれば、役員が年度ごと変わろうと、共に考え行動できるのがメリットだ。

可能な限り、訃報ふほうも載せていきたい。
他所よそからの移住者であれば例外なく紹介しているが、誰々が亡くなったという情報にこれまで触れずにきた。その理由を編集の皆さんに訊いても、明確な返事はない。潜在的に「死」を忌み嫌う意識からなのかもしれない。

以前であれば、当事者からでなくても近所の人が自治会に情報を上げていた。それが今では病院で亡くなり、近親者が葬儀も簡素にほかで済ませてしまうと、地元は知らないままというケースが増えてきている。
気づけば管理されないまま朽ちていく、危険な空き家も出てきた。

まずは現状を把握し、打てる対策があれば実行すべきだろうと思う。格安で住める家があれば田舎に越したいという若い世代も、なくはないだろう。いずれホームページを立ち上げ、空き家情報を全国に発信する試みもしてみたいと思っている。しかしそれは、「いはら道の駅プロジェクト」の方のテーマになるか。

数は限られるものの、企業や老人施設、ちょっとした商店や個人事業主は存在している。
これまで特定の商売につながる記事は載せないとしていたが、せっかくおらが村で生計を立てている人たちがいるのに、勿体もったいない事だと思っていた。

今回手始めに、地元で電気工事を営んでいる方にあたりをつけ、ここに依頼したことのある人に打診してもらった。
すると返ってきたのは意外な答えで、記事にしていただかなくて結構だという。
地元だと余計なサービスまで要求されたうえ、それでも「高い」と文句を言われるのだそうだ。「他の人も、おんなじだと思うよ」、そう返されたらしい。

全員が全員、そんな無体な客ばかりではなかろうが、何かとやりにくい側面があるのは事実だろう。同じ地元民なんだから安くしとけよというれあいの感覚が、悪しき方向に作用するのかもしれない。田舎の悪い面を見たようで、ひとつ勉強になった。それでもほかをあたり、形にしていこうと考えている。

今回初めて、40枚収納できるクリアファイルを200世帯分仕入れ、広報紙がストックできるようにした上、配ることになった。
ペラ1枚だと、ポストに入った広報紙を見もせずゴミ箱行きという家庭も、少なからずあったと思われる。
ファイルに入れられた状態で届けば、おいそれと捨てるわけにはいかなくなるとの算段だ。

自分たちの住む地域に、関心を持ってもらう努力をする。皆がその気になれば、なんの特色も無いような田舎で、面白い試み(=遊び)も出来るのだ。
無関心こそ一番の敵であることは、昨今の選挙の投票率の低さからも顕著である。
「どうせ自分の一票なんて」とうそぶいている人ほど、候補者の公約になど目を通していないものだ。

一人関心をもつ人が増えれば、それだけ地域の未来も変わっていくはずだ。
まずは、始めてみよう。ダメでもともと、失うものは何もない。

イラスト hanami🛸|ω・)و


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