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青森への出張の話(23/10/31)

みなさんは、生活圏内に「ここだけは近づきたくない」「これだけはどうしてか見たくない」と感じてしまうようなものって、ございますか?
ないならないで、それは幸せなこと。
しかしもしあったなら、そしてそれが生活の支障につながってしまうのなら。
いち早く対処したほうがいいかもしれません。

この度の依頼人様は、まさにそのようなお悩みを抱えた御仁でした。今回はその方とのお話です。

窓の外の嫌な気配

今回のご依頼の内容は、端的に言ってしまえば、「夜に窓の外で嫌な感じがするから調べてほしい」というものでした。
そういった感覚に敏いと、どうしても霊的なものが気になってしまいがちになります。とはいえ、この手のお仕事をしているとこういった話には事欠かないので、「またそういう類だね、余裕余裕」と高をくくっておりました。
私はさっそくその嫌な感じの正体を調べてみることに。

はじめはいつも通り、オンラインセッションで十分だろうと考えて遠隔で霊視をさせていただきました。お写真をもらい、そこからいろいろと確認させてもらったのです。確認する場所は依頼人様のお部屋、その窓の外。二階に部屋があるので、その外に気配があるとすると、ふよふよと浮かぶ霊か何かか……、そう考えてじっくりと見させてもらいました。

直後でした。

何かとても巨大な存在が、依頼人様の部屋の窓に張り付いていたのが見えたのです。

巨大な影

全長にして三メートル以上、顔を窓に張り付けて、じっと部屋の中を覗き込む何者か。まるで巨人、しかし眺める以外に何もしてこない。のですが、悪い気配の元凶だというのは言うまでもなく。
どのような存在かはわかりませんが、下手に声をかけることも難しい、そういった未知なる存在だったのです。

いつもの除霊なら、普段書いている通り、🐺ちょちょいのちょい✨で済んでしまいますが、残念ながら今回はそうはいきませんでした。なにせ話しかけたはいいものの、何か危険な結果になってしまう可能性もありましたから。それにそんな巨大な存在であるなら、遠隔でどうにかできるのかも疑問です。
その日はとりあえず窓に結界を張らせてもらい、しばらくしのいでもらうことに。
しかしそのままずっと放置するわけにもいかないのも事実。何とかしてその巨大な影に対処すべく、私は現地へと赴くことになりました。

青森への出張

出張先、そこはなんと青森県! この名前だけで何か出そうな雰囲気はありますよね。

新幹線にゆられて三、四時間。現地で依頼人様と合流すると、近況報告もほどほどにさっそくおうちの方へ伺うことに。
正直なところ、この段階でだいぶ身構えていました。それこそ、呼吸も浅くなるほどに……。

しかし、昼間は現れないのか嫌な感じはしませんでした。
胸をなでおろしたのもつかのま、我々は夜まで待つことになりました。

そして夜になると、依頼人様の部屋がある二階、その窓に何やら嫌な感覚が漂い始めました。以前写真で見た、あの嫌な感覚と同じものです。
場所や性質によっては、夜になることで嫌な雰囲気がだ酔い始めることもあります。なのでここまでは予想通り。あとはどのように事を運ぶか……。

この時私は考えていました。もしかしたら、全面的な戦闘になる可能性がある、と。

緊張する自分をどうにか鼓舞しつつ、最悪を想定しながら、私は巨大なそれに話しかけました。

対話

「すみません、どうしてあなたはここにいるのですか? できれば別のところに行ってほしいのですが」

そもそも、その巨大な存在が人里にいること自体奇妙です(まあそんなこといったら、私が人とかかわるのも不思議ということになってしまいますが……)。とはいえ、返答は芳しくありませんでした。

「それはできない、俺はここにいなくてはならない」

とはいえ、その言葉はむしろありがたいものでもありました。話ができる、ということでもありましたから。
こういった相手の中には、全く話をしようとしない存在もいます。話ができたと思っても、単純に脅して来たりするおっかない連中もいたりします。しかしこの語調、雰囲気、しっかり話をしてくれそうな様子があって安心しました。
なので私は続けました。

「それはどうして? この家の住人は、あなたがいることで不便をしているように見えますが」

「それでもここにいなければならない。この家の中に、俺のなくしたものがあるからだ」

そう答えが返ってきました。
「え? どういうこと」とはじめ、その言葉の意味が分かりませんでした。だってそこは依頼人様のおうちのはずで、その方がなくしてしまうようなものはないと、そう思っていたからです。

しかしその話を依頼人様にすると、納得したご様子で語ってくれました。

「自分の向かいの部屋には、実は父の部屋がある。父は人が不要になったものをもらってきて、自分で使う癖がある。おそらくその時、何か持って帰ってしまったのだろう」

ああなるほど、この巨大な方は本当に自分のなくしたものを探していたんだなあ、とこの時合点がいきました。きっとなくしたものを偶然依頼人様のお父上が拾って持ち帰り、家に置いておいたのでしょう。
ただ、そこで疑問が残ります。どうしてお父上のお部屋を直接覗きにいかないのだろう、と。
続けて依頼人様は教えてくださいました。

「父の部屋は基本すだれが垂れていて、中が見えないようになっている。それが結界としての役割を果たしているのだろう」

なるほど、だから依頼人様の部屋を経由してしか、そのなくしたものを見ることができなかったのですね。
そしてもしそうなら、この巨大なお方はかなり紳士的な方に違いありません。だって、無理に押し入って自分でなくしたものを取り返そうだなんてしなかったのですから。

巨人の探し物

そうと決まれば話は早い、そう思って私は巨大な方の視線の先にあるものを探し、はじめました。その視線の先にあるものを探せばよいだけだったので、かなり簡単に見つけることができました。
具体的に何かはあまり書けませんが、我々はある物品を見つけました。とても強い力の籠った物品です。

それじゃあこれを返せばいいんだな、と思いつつもここで問題が生まれます。見つけたはいいものの、これを物理的に実体のない巨大な方へ返すわけにはいきません。
どうしたものか、と考えて、私はその巨大な方へ尋ねました。

「霊的な中身だけ返すのでもいいですか?」

それに、巨大な方はうなずきました。
なので少々強引ですが、私はその霊的な力だけ抜き取って、巨大な方にお返ししました。

「そうだよ、これだ」

と巨大な方は告げると、快く依頼人様の家から離れていってもらえました。実に平和的な解決ができたと思います。
一歩間違えれば一触即発でしたが、事なきを得て本当によかったです。

その後

依頼を終えてから依頼人様に、「その後の調子はどうですか?」と尋ねてみると、依頼人様からは「夜、変な感じがしなくなってうれしい!」とフィードバックをいただきました。
が、今回の問題は人が不要になったものを持ち帰ってしまうお父様の性、といったところ。お父様はそういったものにうといらしく、敏い依頼人様にはあまり気持ちのいいものではないのだとか。なので、もしかしたら今後似たようなことが起こってしまうかも、と悩んでもいましたが、それはまた別の機会に、とお話して、そのお仕事はとりあえず完結、となりました。

もしかしたら、皆さんの中にも生活している空間の中に、「ここだけは触りたくない」「入りたくない」という空間があるやもしれません。何もなければよいのですが、それが日常生活に影響を及ぼし始めたら……。

まず病院や行政などを頼ってほしいですが、それでも解決しなければ、是非私のXアカウントにDMをお願いいたします。きっと力になれるはずです。
✨🐺✨

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