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RTに聴く曲5選

(R) Rainy Days が (T) 続くときに聴く曲。あるいは、(R) Rainbow を見るのが (T) とびっきり待ち遠しい曲

雨のシーンが印象的な映画といえば、ぼくは二本の名作を思い出します。ひとつが「ショーシャンクの空に」、もうひとつが「DIVA」。前者については説明は不要だと思います。後者は、あるいは若い人達は知らないかもしれませんが、作中で主人公が憧れのDIVAと早朝散策をするときに、夜露がそのまま蒸発したような、霧雨のような、しっとり濡れたパリの街並が映し出されます。映像的には、雨が降っていないにもかかわらず、シンボリックな雨傘がそこはかとなく雄弁な、これぞベネックス・ブルーの映像美。今回はそのイメージに触発された 5曲です。


☆Rainy Days And Mondays☆

Title             Rainy Days And Mondays
Artist           Carpenters
Album       「Carpenters」1971
Comment 雨の日にカレンの声を聴きたくなるのは、生理学的にもなにか根拠がありそうな気がします。別に「Close To You」でもいいわけで、曲そのものよりもシンガーが欲しい、って感覚ですかね。鬱陶しい空模様が心地よくなったりするから、不思議。しっとり聴くほど胸が打たれます

☆Shitoshito☆

Title             Shitoshito
Artist           Helge Lien Trio
Album       「Guzuguzu」2016
Comment Helge Lien はノルウェーのジャズ・ピアニスト。透明感のある旋律と定型化を擦り抜ける即興性のバランスが極上です。トリオ編成では、古くは Bill Evans から新しくは Brad Mehldau まで幅広く言及。日本語のオノマトペをタイトルにした本盤は、邦人好みにメランコリックです。

☆Only Shallow☆

Title             Only Shallow
Artist           My Bloody Valentine
Album       「Loveless」1991
Comment シューゲイザーのギターが篠つく雨音に聞こえるのは、ぼくだけでしょうか。30年以上ずっと根強く支持されるシューゲイザーの雄・マイブラ。本盤は90年代オルタナの金字塔で、現在の Daughter あたりまでずっと響いています。憂鬱な雨もエセリアルに染み入りますね。

☆Fahrenheit Fair Enough☆

Title             Fahrenheit Fair Enough
Artist           Telefon Tel Aviv
Album       「Fahrenheit Fair Enough」2001
Comment ミレニアム前後、エレクトロニカのブームとともに本盤を聴き倒したのも今は昔。ポスト・クラシカルとの境界が曖昧になった、ぼく的には IDM分水嶺のアルバムです。ウェットな感傷が電子音に馴染むところが、凡百のアーティストとは違うのでしょう。雨音が絵を描くようです。

☆Kill Bill☆

Title             Kill Bill
Artist           SZA
Album       「SOS」2022
Comment 現R&Bシーンの頂点を極めたSZAの 2nd。一昨年から超ロングセラーのアルバムですね。彼女のSSWとしての資質にも要注目です。Z世代の内面/同時代性を、嫉妬・不安・危うい自己肯定感・といったものまで等身大に描きだす、イマドキのブラック・コンテンポラリー

リードで「DIVA」に触れながら、そのまま放っておくのもおかしな話ですよね。言及したシーンの動画が ↓ です。台詞は一切なし、ただ映像&音楽だけで二人の純粋な/芸術を介した関係性が美しく描かれます。ぼくの生涯ベスト1の映画が「DIVA」です。ちなみに2位は「アメリ」で、このツートップは長らく変わらないですね。3位は敢えて空白にして、文脈に応じて柔軟に対応しています。ある時期は「ミツバチのささやき」、ある時期は「バグダッド・カフェ」みたいに。その他「レオン」とか「CUBE」とか、「カイロの紫のバラ」「天使の分け前」もよかったなあ。

で、結局なにが言いたいのか……。正直に言うと、雨は必ずしも嫌いではないのですよ、ぼくは……。

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