見出し画像

マスクの安全性(JIS規格)について

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

前回の記事でマスク関連の有害物質について書きましたが、その終わりで以下のように書きました。

日本におけるマスクの安全性についてはJIS規格が定められている。メジャーな不織布マスクは多くが適合しているはずだが、気になる方は『JIS T9001 または 9002』の適合品であることをパッケージで確認し購入すると良いだろう。

マスクに含まれる有害物質まとめ|キツネザル.html

マスクのJIS規格は制定されてから結構経ちますが、大雑把な認識しかなかったので今回まとめておこうと思います。面白い内容ではないですが安全性に興味のある方は見ておいていいかと思います。


◆JIS規格制定

制定されたのは2021年6月。当時の情報から一部引用します。リンクは以下。

マスクに「JIS」規格制定へ 飛まつ防止の効果など要件に
2021年6月16日 4時43分
NHK NEWS WEB

新型コロナウイルス対策に欠かせないマスクについて、政府は感染力の強い変異ウイルスにも警戒が必要な中、日本産業規格=JISを定めることになり、今後、飛まつを防ぐ効果や通気性などで一定の性能を満たす製品であることを表示して、販売できるようになります。

新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクが必需品となり、国内では、海外製品の輸入が急増し、布マスクも含めたさまざまな製品が流通していますが、品質に関する公的な規格はこれまで整備されていませんでした。

マスクに「JIS」規格制定へ 飛まつ防止の効果など要件に _ 新型コロナウイルス _ NHKニュース.html
[2024.05.13 引用]
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210616/k10013086681000.html

◆概要

規格は 9001,9002 で以下のように分かれています。

(更新版) マスクのJISについて、及び日衛連が計画す るJIS適合性審査について
2021.7.19 (一社)日本衛生材料工業連合会 全国マスク工業会
[2024.05.13 引用]
https://www.jhpia.or.jp/about/jis/img/jis_works_t9001.pdf

一般人が普通に使う場合、JIS T 9001 で良いでしょう。今回の記事では 9001 のみ取り上げます。


◆性能要件

JIS T 9001 の性能要件は医療用と一般用で以下のように対応しています。細かな品質を除けば医療用から『可燃性』『血液バリア性』を除いたのが一般用っぽいですね。

(更新版) マスクのJISについて、及び日衛連が計画す るJIS適合性審査につ
いて2021.7.19 (一社)日本衛生材料工業連合会 全国マスク工業会
[2024.05.13 引用]
https://www.jhpia.or.jp/about/jis/img/jis_works_t9001.pdf

◇◇◇

医療用の性能要件はいわゆる『サージカルマスク』の規格である ASTM-F2100-11 と似たような内容で、適合していれば(国内では)『サージカルマスク』を名乗れるようです。

一般利用を考えた場合『可燃性』『血液バリア性』にこだわる理由は無いので、使うなら一般用で良いような気がしますね。


◆安全性

安全性については以下項目が該当します。

  • 遊離ホルムアルデヒド

  • アゾ化合物

  • 蛍光

アゾ化合物の内訳(特定芳香族アミン24種)は以下です。

1) 4-アミノジフェニル
2) オルト-アニシジン
3) オルト-トルイジン
4) 4-クロロ-2-メチルアニリン
5) 2・4-ジアミノアニソール
6) 4・4’ -ジアミノジフェニルエーテル
7) 4・4’ -ジアミノジフェニルスルフィド
8) 4・4’ -ジアミノ-3・3’ -ジメチルジフェニルメタン
9) 2・4’-ジアミノトルエン
10) 3・3’ -ジクロロ-4・4’ -ジアミノジフェニルメタン
11) 3・3’ -ジクロロベンジジン
12) 2・4-ジメチルアニリン
13) 2・6-ジメチルアニリン
14) 3・3’ -ジメチルベンジジン(別名オルト-トリジン)
15) 3・3’ -ジメトキシベンジジン
16) 2・4・5-トリメチルアニリン
17) 2-ナフチルアミン(別名ベータ-ナフチルアミン)
18) パラ-クロロアニリン
19) パラ-フェニルアゾアニリン
20) ベンジジン
21) 2-メチル-4-(2-トリルアゾ)アニリン
22) 2-メチル-5-ニトロアニリン
23) 4・4’ -メチレンジアニリン
24) 2-メトキシ-5-メチルアニリン

平成28年4月1日から家庭用品規制法における特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料の規制が始まります.html
[2024.05.13 引用]
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114934.html

◇◇◇

ということで、JIS T 9001 に適合していれば上記の安全性はクリアしています。

なお、東京都の調査『色付きのマスクに含まれるホルムアルデヒド及び特定芳香族アミンに関する調査』によると、海外製造含む22種のマスクで『検出せず』としています。検査対象となったマスク中のJIS適合品は1種のみだったようですので、余程の粗悪品でない限り問題無いように思えます。

資料は以下リンク。続いて結果のスクショ。

https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou74/21.p143-148.pdf

色付きのマスクに含まれるホルムアルデヒド及び特定芳香族アミンに関する調査
[2024.05.13 引用]
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou74/21.p143-148.pdf

◆おわりに

前回の記事で取り上げられた懸念物質(フタル酸エステルとか)がJIS規格のチェック項目に存在しないのが気になるところではあります。

まあ、すべての有害物質をチェックするわけにはいかないでしょうから、原料や製法を前提に項目を絞っているのだと思います。しかし、その妥当性については何とも言えません。ガチプロではないので。

個人的には『マスクが長年産業利用されている実績』を基にリスクの高いものだとは考えてないですが、前回の記事で取り上げた論文がリスクを過大評価しているのか、専門家の見解が知りたいところですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?