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企業向けNo.1動画編集ツール「Video BRAIN」の開発をいいかんじにプロダクトマネジメントする話

※デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社「法人向け動画自動生成・配信ソフト市場の現状と展望 2020 年度版」動画自動生成ソフトにおける動画自動生成売上高シェアNo.1 (2019 年度〜2020 年度) 
※日本マーケティングリサーチ機構|調査概要:2021年8月期_ブランドのイメージ調査 No.1

株式会社オープンエイトにて、Video BRAINというサービスのプロダクトマネージャーをやってます古山と申します。

昨年ではありますが、TECH PLAYのイベントにて登壇し、弊社Video BRAINにおけるプロダクトマネジメントの変遷みたいな話をさせていただきました。
弊社は1月期初になるのでまた新しい期がはじまり、新しい組織になったり次のアクションも具体化しつつあるので、今更ながらこれまでのまとめとして改めてテキストに落としておこうと思い、重い腰を上げて書き始めました。

openpage代表 藤島さんという方に下記のnoteで取り上げていただき、内容に深みをもたせてくださっています。ありがとうございます。

また、イベントについてはこちらでもレポート記事があがっております。


OPEN8の歴史

弊社オープンエイトは、世界を豊かにするコンテンツテクノロジーカンパニーになるというビジョンを掲げたベンチャー企業です。
2015年に創業以来、すでにいくつかのプロダクトを世の中に提供してきました。その歴史を少し振り返ります。

OPEN8のプロダクトの変遷

OPEN8 AD PLATFORM

OPEN8として最初に出したプロダクトは、動画広告のプラットフォーム「OPEN8 AD PLATFORM」。スマートフォンでブラウジング等している際に、ページの上部や途中に挿入される形式のもので、いくつかの特許も取得しています。

おでかけ動画マガジン ルトロン

次に、2016年頃。
”広告を配信するものメディアを知るべし”として、テキストの記事と動画を組合わせた動画メディア「ルトロン」というサービスをローンチしました。
企画・撮影・編集まですべて内製し、かなりこだわったハイクオリティなコンテンツで、主に女性をターゲットにしたライフスタイル情報の提供をしてきました。

そのルトロンで1000件以上たまった動画とテキストのデータベースから自動で動画生成を行うAIを内製。
これを足がかりとして、横展開をはかったプロダクトこそ、3つ目の、現在主軸としているBtoB SaaSサービスである「Video BRAIN(ビデオブレイン)」です。

ベータリリースをしたのが2018年で、SaaSとしてプロダクトをはじめて現在4年目くらいになります。

Video BRAIN 開発組織の変遷

まずは、この3年の間で、大きく半年か一年おきにプロダクトや組織のissueが移り変わってきたので、それに対応して柔軟に変化してきた開発体制について。

フェーズ1

僕がOPEN8にジョインしたのも2018年でまさに立ち上げの時期になります。
PMFがどこにあるか探るべく、とにかくスピード優先でプロダクトを世に出す、というアプローチをしていました。

前述の通りBtoCのメディア事業からの転換で、SaaSとは?The Modelとは?みたいなレベルで、それでも非常に優秀な営業チームを抱えていた弊社、なぜか契約は進む、だからなんとしても出さなければならない、というような非常にハイプレッシャーな状態が続きました。

この時期は開発部隊の中の一部署で少人数な組織で開発を進行していました。非常に未熟で、営業もCSも一緒くただし、リリース前にろくにQAも回せないような体制で地獄を見ました満足いく品質にはとても到達できていませんでした。

フェーズ2

それでも、多くの不具合に翻弄されながらも、どうにかニーズやPMFの方向性が見えたことで、会社としてVideo BRAIN事業へのピボットが決まり、開発部は一本化。

この頃にはCPOの席がおかれたりPdMのマネージャー、クリエイティブのマネージャーとなるメンバーなど採用が進んだことで、プロダクトマネジメントの組織が立ち上がり、エンジニア組織と分離され機能別の組織体制となりました。ビジネスサイドもいわゆるThe Model型の組織がだいぶ整い、CS組織も立ち上がりました。

機能や案件ごとに担当のPdMが要求整理〜要件の定義を行い、開発メンバーのアサインを受け、キックオフ、進行管理。ウォーターフォール型の開発で品質の担保もできるようになりました。

膨大なリニューアルの実装も終え、だいぶよく回ってた感じではあるのですが、エンジニアの人数が少ないこともあり、やりたいことが多すぎて全然追いつかない!ということでエンジニア採用に力を入れ組織を拡大していきます。

フェーズ3

リニューアルを完遂し、プロダクトとして頭一つ飛び出した感覚を得られました。あとはできあがった基盤に機能を載せていき、バケツの穴を塞ぐフェーズ。失注理由のうちプロダクト起因となるものをバシバシつぶしにかかる目標を掲げました。

エンジニアの増加に伴い開発領域ごとにチームを再編成。PM組織としてPjMも結合され、開発推進力を強化。部分的にアジャイルの導入もはじめました。

とはいえやはりスピード優先で、ある程度UXを犠牲にしながら機能を出す、という進め方をしました。このためCSのフォローが不可欠で、CSサマサマでどうにか価値提供ができるというような感じで、プロダクトマネージャーとしては肝を冷やす時期は続きました。笑

フェーズ4

フェーズ3での体制で課題があった点としては、PM vs エンジニア のような構図ができてしまうことかなと思います。スピード優先で、という都合をエンジニアにちゃんと説明できていなかったことなど要因は内々にあるとは思いますが、DX(Developer eXperience)が健全じゃなかったかなと反省。

その課題もありつつ、昨年下期には、機能別の組織からクロスファンクショナルなプロジェクト別の組織体制へ移行しました。
明確に、機能開発をミッションとするPJチームと品質改善をミッションとするPJチームに分けられることで、プロダクトとしてのクオリティを高める意思決定がされました。背景としては、サービス品質がCSのもつ顧客のヘルススコア向上に寄与するという仮説を立てられたからということもあります。

この体制はわりとよく機能したと思います。同じミッションを持つことでチームとして一体感が生まれるし、並列で品質改善が走るのでプロダクトも良くなっていることが実感できました。

ロードマップから開発進行のフロー

ではそんなVideo BRAINの開発がどのようなフローで行われているか紹介します。
概ね、いろんなSaaS企業さんと同じだとは思いますが、せっかくまとめたので載せておきます。笑

ロードマップができるまで

ロードマップ策定まで

プロダクトのロードマップ策定は、社内の機能要望、CSが集めた顧客からの要望、セールスの失注理由からくる機能要望、そして事業戦略的要素の4つの視点から優先すべきものを決定していきます。

弊社の場合、CSが日頃から顧客と会話し、その中で上がってくる要望をセールスフォースに登録しています。その際、定性的ではありますが、

4: これができないと解約すると言われている
3: これができないと顧客満足度が下がり、解約リスクに繋がる
2: これができればより顧客満足度が上がる(更新定着を高める)
1: バックログにいれて静観

こんなかんじでスコアをふっています。

上がってくる要望はあくまでもVoCなので、そこに対してPdMが課題仮説を立て、一段回抽象化します。そして同様の課題ごとにまとめることで、課題の大きさが前述のスコアの積算により可視化されます。

さらに課題を「バックログ項目」として整理します。
MVPの案というか、”こういう機能案で課題解決できるよね”を整理して、カテゴリをつけて管理しています。
N:1で関連付けるので、一つの機能で複数の課題が解決される場合もあります。

そして、ロードマップ策定時には、このバックログやカテゴリをもとにして着手すべき課題のポイントを見定めていきます。

最終的なロードマップの策定・決裁は経営陣で行われます。そこで確定したものが各プロジェクトに降りてきて、PdMはそこから要求整理・要件定義に入ります。

要件定義から開発進行

ロードマップから要件定義まで

さて降りてきた案件を改めてPdMが進行していくわけですが、
前述のようなフローでできあがったロードマップなので、プロジェクトを進行する時点で、要求の確認などは既に課題・バックログにまとまっており、逆引きが楽にできます。
そのおかげで、要求整理から開発着手までスピード感をもってすすめることができますし、要望を上げている顧客まで辿り、担当CSと連携し深堀りのヒアリングをすることもできます。
機能についてアイディアを一度膨らませたり詳細化したりするのはこの要件フェーズで行います。

弊社の場合はPdMがメインでここまで進め、開発に入るとPjMがメインで進行するようなことが多いです。

要件からリリースまで

現在だと、スクラムを組んでタスク管理・進行をする場合が多いです。

優先度の考え方

開発優先度の指標

優先度の指標として今採用しているのがこちらのKPIになります。

チャーンレートを下げることがメインのKPIで、そのサブとしてCSヘルススコアがあります。さらにそのサブとして、プロダクトとしてできることを、サービス品質・表現力向上・快適性向上・効果実感とわけ、それにより寄与するバックログ項目を優先度高くロードマップへ配置していきます。

これがプロダクトユニット全体としての目標であり、各PJが持つミッションになります。昨年ここでサービス品質というKPIをもてたのは非常に良かったと思います。

また、サービス品質改善の指標としては、「狩野モデル」を参考に設計しました。

サービス品質の指標と方針

以上、弊社のプロダクト開発のこれまでのお話でした。

これからのOPEN8

さて、今期からOPEN8は、Video BRAINに次ぐプロダクトの開発に着手します。それに伴い、再び体制がかわることになりました。

概ね、かたちとしてはフェーズ4のクロスファンクショナルなチームのままですが、担当プロジェクトの領域がVideo BRAINと新規プロダクトでわかれていくような感じになります。

僕は引き続きVideo BRAINの担当PdMとしてチームを率いていきます。
プロダクトとしてはグロース期に入っていくようなイメージでいるので、これまでのスピード重視での機能提供というスタイルからは多少変わっていくかなと思っています。
SaaSのグロースを担当するのは個人的にもチャレンジとなりますが、これからも、いいかんじにプロダクトマネジメントしていけるようがんばっていきます。

仲間募集!!

ということで、OPEN8としては、1→10、10→100のプロダクトと、新たな 0→1 のプロダクトが共存する、面白い組織になっていきます!
ぜひ、一緒にいいものを作っていきましょう!!


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