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感動

私は車で通学をしている。道中には農道や古い街並み、通勤する車、通学する子供たちと様々な光景が見られる。しかし先日、今まで見たことの無い初めての光景を目にした。それは辺り一面に広がる霧だった。50m先も見えないような濃い霧が出ていたのである。まるで白銀の世界に自分だけぽつんとあるような感覚に襲われたのだ。私は思わず車を停め、スマートフォンを取り出しその光景を撮影した。地元の方に伺うと、「よくある光景で特に何も感じない」とおっしゃっていた。確かに「霧」というのはただの自然現象である。雨や風などと同じように当たり前に感じている人からすれば当然の感覚なのかもしれない。しかし、初めて見た私にとってはその光景は私の心を震わせるのには十分すぎるものであった。しかし、それと同時にこの感動は1度きりかもしれないという寂しさも覚えた。これから何度もこの光景を見ることになるのを想像することは容易く、その度に感動が薄れてしまうのだろうと感じたからである。だからこそ私は写真におさめたり、人に話したりすることで「霧に感動した自分」という事実を残そうとしたのかもしれない。

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