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【MHW:I】最大瞬間火力からの脱却

野良の救難で導きの地に参加していた時のこと。

氷雪地帯の歴戦ジンオウガ亜種が狩猟対象だったのだが、1頭を狩り終えるまでに部屋主が7乙した。導き地のジンオウガ亜種は、手慣れのハンターでも一瞬の油断でベースキャンプ送りになってしまうほどの手強いモンスター。野良で力尽きる人が続出することなんて日常茶飯事だ。狩猟しているあいだ、彼が4回5回と乙を重ねていったことも、正直私は何も気にしていなかった。

ただ、ふと彼の装備を覗いてみたとき、ちょっとだけ疑問が湧いた。装備が未強化だったり、スキル構成がはちゃめちゃだったとかそういうわけではない。むしろその逆で、完璧な火力ビルドだったのだ。ジンオウガ亜種のTAをやるなら、この装備が最適だろうなというくらいの。適切に最終強化された覚醒武器と、その武器のポテンシャルを最大限まで高める申し分のないスキル。生存スキルは一切積んでいない。

彼の思惑は私には知りようもないが、もし仮に、彼が「火力」を求めていたのだとしたら?より強い装備に身を固め、ジンオウガ亜種を少しでも早く葬り去ろうとしていたのなら?せっかくの火力スキルが裏目に出てしまっているのではないか…?

氷雪地帯の最奥部で力尽きると、ベースキャンプから同じ場所に戻ってくるのに1分近くかかる。討伐までに15分かかったとすると、7乙により、単純計算でその半分の時間を「移動」に費やしていたことになる。平均すると火力が半分になっているのと同じだ。火力が半分というのは、例えば斬れ味ゲージが紫で戦うことを基準とするなら、刃がぼろぼろの橙ゲージのままで常時戦闘しているのと同値である。

重要な、前置き

モンハンにはいろいろな楽しみ方がある。モンハンにおける「火力」の定義も人それぞれだ。それは、武器や防具のステータスを最大まで伸ばすことであったり、お気に入りのスキルをたくさん積むことだったり、戦闘画面に表示されるダメージの数値を叩き出すことだったり、タイムアタックでよい成績を残すことであったり、かっこいい見た目の装備を着ることだったり。

ただし今回はーこの記事内に限りー「火力」を「単位時間当たりにモンスターに与えるダメージ」と定義したい。そして、火力を高めるにあたり、生存スキルが極めて重要なファクターであるという話をこれからする。

もちろんこれは、他のプレイスタイルを否定するものではなく、話を進めるための一時的な定義付けに過ぎない。「俺はそういった『強さ』は求めていないんだよね」という人はこの記事は読まなくてもいいかもしれない。主なターゲット層は「今よりも火力を出すことを模索している」モンハン初心者の各位だ。


生存スキルを積むのは「死なないため」?

モンハンのクエストの失敗条件に「力尽きた回数」がある。制限の厳しい調査クエストでは、1乙しただけでクエスト失敗となってしまうものもある。生存スキルを積む理由のひとつは、「死なないため」であると言ってもいいだろう。せっかく遊び始めたクエストなら成功させたいからだ。しかし、生存できることさえ担保できてしまえば、ちょっとでもダメージを上乗せするために残りの全ての枠を火力スキルに振ってしまうハンターは多い。

今の時代、火力装備を調べる方法はとっても簡単だ。定番のビルドはまとめサイトや業務YouTuberによって紹介し尽されているし、TA(タイムアタック)に挑戦している人の動画で装備構成が公開されていることも多い。ただ、そういった装備を完全に真似たとして、それが「火力を求める」あなたに必ずしもフィットするとは限らない。

TA動画と同じ装備を着て同じクエストで遊んでみると分かりやすいだろう。おそらく普通の人は、その動画の何倍も時間がかかるはずだ。動画では2分で討伐できているのに、5分とか10分とかあるいはもっとそれ以上かかったりする。それは、動画の人のが何倍も強い装備を着ているからではない。純粋な「手数の差」だ。あなたが1回攻撃するあいだに、上手い人は5回攻撃している。

単位時間当たりの火力を考えるうえで、ほとんどの人は装備ステータス画面に表示される数字だけを意識するが、忘れられがちなもうひとつの重要な要素がある。それが「手数」だ。

アートボード 3


手数を生存スキルで補う

「手数が足りてないことくらい分かってるよ、今よりもっと攻撃できるように練習してる。そんでもって、攻撃が当たった時のダメージがちょっとでも大きくなるように火力スキルもしっかり積んでるんだ!」

こんなふうに言う人がいるかもしれない。おそらく頭の中でこのような図式を描いているのだと思う。横軸は1つのクエストにかけた総時間だ。

アートボード 1

「攻撃している時間」はPS(プレイスキル)を高めることで追々伸ばしていくこととして、まずは1回1回の攻撃でより多くのダメージを稼げるように火力型の装備を作る。それはそれで間違ってはいない。

でも実際の内訳はこうではないだろうか。

アートボード 1


被弾まわりに取られる時間は、思っている以上に長い。モンスターの攻撃を食らって被弾リアクションをしているあいだは何も出来ない。起き上がってすぐに回復アイテムを飲めるとも限らない。追撃を食らわないように、絶対に被弾しない場所とタイミングを選んで飲む。飲食そのものにかかる時間もある。もし死んでしまったらキャンプからスタートしなきゃならない。そのあいだ、あなたの火力はずっと0のままだ。せっかく強いスキルをたくさん積んでいるのに。

装備をこねくり回してたかだか小数点以下いくつのオーダーでステータスに拘るよりも、被弾関係で失う時間を減らして攻撃にかける時間を相対的に増やすことのほうがずっとずっと先決だ。今まで10回しか攻撃できなかった時間で11回攻撃できるようになれば、同じ装備のままでも1.1倍の火力になる。攻撃回数をもっと増やせれば、それこそ火力スキルではとても及ばない倍率の火力の伸びが見込める。生存スキルを適切に盛ることで被弾周りの時間を大幅に短縮でき、攻撃の手数が増えることで、結果として火力があがるのだ

TA勢が完全な火力ビルドを追い求めているのは、被弾もしなければ立ち回りも洗練されていて、ほとんどそこにしか伸びしろを見込めない境地に達しているからである。しかし、慣れないうちは、火力スキルを盛るよりも生存スキルを盛ることのほうが火力上昇への寄与が大きい。生存スキルは「死なないため」だけでなく、攻撃している時間「以外の時間」を減らすためにある。

最大瞬間火力は捨てて、そのかわりに生存スキルを積んで平均火力を上げる。この思考法は、モンハンで火力を出すうえでの基本だ。


防御LV7を過信するな

ひとくちに生存スキルと言ってもその種類はたくさんある。ここでは、生存スキルのうち、主要なものの中からいくつかピックアップして注意点を述べておきたい。必要と思われる部分以外はざっと読み飛ばしてもらっていい。

【防御力と各種属性耐性を上昇させるスキル】

防御
・・・LV7で防御力を1.1倍、さらに防御力+35、全属性耐性+5
火耐性/水耐性/氷耐性/雷耐性/龍耐性・・・LV1で属性耐性+6、LV2で属性耐性+12、LV3で属性耐性+20と防御力+10
不屈・・・力尽きる度に防御力1.15倍(最大2回まで)

防御はなぜか初心者ハンターに大人気の生存スキルだ。体力増強を差し置いて防御LV7を積んでいる人を野良でも見かけたりする。ただ、このスキルは費用対効果が悪く、正直なところあまりオススメ出来ない。以下の図を見て欲しい。

アートボード 2

この図は、防御力を100ずつ変化させながら、体力が満タン200の状態で怒り時のイヴェルカーナのなぎ払い極低温ブレスに被弾し、その被弾ダメージを比較したものだ。防御力と被ダメの削減量は比例しているわけではなく、防御力が上がるにつれ、単位防御力あたりの削減量は減少している。特にマスターランクの防具は、強化がなされた状態で既に900程度の防御力があるので、そこから1.1倍の1000になったところで、思っているほど大きな変化はない。

もし防御系のステータスを高めたいのであれば、各種属性耐性スキルを推奨したい。属性耐性値を高めることにより属性やられにならなくなるという効果(※1)はよく知られているが、属性を伴う攻撃のダメージをカットできる事実は意外と知らない人も多い。

防御力を900に統一し、属性耐性値を変えながら、同じく怒り時のイヴェルカーナのなぎ払い極低温ブレスに被弾したときのダメージを比較してみる。

アートボード 4

モンスターの攻撃に付与されている属性値は攻撃によってバラバラなので、一概にこうとは言い切れないが、今回の場合では、氷耐性20の防御力900と氷耐性0の防御力1000とでダメージ軽減率はほぼ変わらないことが分かる。

※1)属性耐性値が20を超えると、その属性については属性やられにならなくなる。例えば装備の水耐性が20を超えれば、ネロミェールのどんな攻撃を食らっても水属性やられになることはない。ただし、防具のもともとの属性耐性値が低いと、耐性スキルで補助しても耐性値が20まで到達しないこともあるため、そのような場合は属性やられ耐性のスキルで属性やられを無効化するのも手だ。ちなみにネコ飯で属性耐性UP【大】を食べれば、全ての属性耐性値が15ずつ上がる。

属性やられ耐性・・・LV3ですべての属性やられを無効化する


面倒な状態異常は先に封じておく

【各種状態異常を無効化するスキル】

裂傷耐性/瘴気耐性/気絶耐性/麻痺耐性/毒耐性/睡眠耐性/防御力DOWN耐性/爆破やられ耐性・・・LV3で状態異常やられを無効化する
熱ダメージ無効・・・熱によるダメージを無効化する

モンスター別に装備マイセットを作る余裕があれば、特に苦手なモンスターだけでも専用の対策装備を作っておくとよい。状態異常やられは、解除のために専用のアイテムを飲まねばならなかったり、行動の制限を受けたり、追加でダメージを受けたりと、とにかくタチが悪い。対策スキルを付けておくだけでかなりの時間短縮効果が見込める。

気絶耐性は短時間に連続して被弾したときに発生する気絶を無効化できる。ただし、その気絶が雷属性やられ(気絶しやすくなる)に由来しているなら、雷耐性を上げるか属性やられ耐性を積むなどして、雷属性やられにならないようにする選択肢も検討しよう。
爆破やられ耐性
は、テオテスカトルやブラキディオスを快適に狩猟するために是非とも積んでおきたい。粉塵や粘菌がばら撒かれたフィールドを、爆破やられを気にすることなく自由に駆け回れる。

定番の汎用生存スキル/その他

このへんは改めて解説する必要もないかもしれない。

体力増強・・・LV3で体力+50
体力回復量UP・・・LV3で回復量1.3倍(回復アイテムだけでなく武器の回復カスタムによる回復にも上乗せして効果が付与される)
精霊の加護・・・LV3で効果発動時、ダメージを50%軽減する
整備・・・LV3で特殊装具の再使用時間30%短縮
回避性能・・・レベル1段階ごとに無敵時間が1フレームずつ延長
回避距離UP・・・レベル1段階ごとに回避距離が延長

最後に、そこそこ優秀なのに忘れられがちな生存スキル。死中に活。

死中に活・・・状態異常中に、回避性能が上がる&スタミナ消費量が減少


まとめ~適切に生存スキルを積む

生存スキルは闇雲に積めばいいという話でもない。自分自身のプレイスキルと、狩猟目的のモンスターに合わせて柔軟に対応するのがベストだ。火力を目的とするなら、クリアタイムが早くなるかならないかを生存スキルをどの程度付けるかの一種の判断材料にしたらよいだろう。

火力を高めるために生存スキルを積むという選択肢を、いつまでも忘れずに。

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