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エッセイ『三沢が怒っていた記憶』

 「ファン」っていうのはいろいろ大変だと思う。愛ゆえ、なんだろうけどプロ野球チームの熱烈なファンのSNSの投稿のなかには見てられないものもあります。見てられないから初めて「ミュート」という機能を使いましたが、あれはいいですね。無駄に気分が悪くならない。

 昔ながらのファンだったりすると、新しいファンのことを「にわか」だとかなんだとかで見下す傾向もあります。例えばミュージシャンなんかですと、アマチュア時代から追いかけていたファンの人たちが、メジャーデビューしてヒットを飛ばしたあとにファンになった人のことをファンとして認めない、というような雰囲気、ありますよね。気持ちはわかりますけどね。

 その昔、全日本プロレスの四天王プロレスが全盛の頃、古参ファンたちが新しいファンのことをファンとして認めないというようなことがあり、三沢光晴さんが怒っていたのを思い出します。古参ファンには古参ファンのルールがあり、それを知らない新規ファンを罵倒する古参ファンなんていうことがあり、三沢さん、かなりご立腹やったような記憶があります。

 対象への熱い気持ちもファン歴の長さを誇りたい気持ちもめちゃくちゃわかりますけど、いっぽうで新しくその世界に飛び込んだ人たちにとって、心地いい場所であることが対象の望むところのはずですし、その点ではプロ野球チームなんかは特に今、すごく変わろうとしていますから、そういう変化自体、古くからのファンの皆さんにとっては自分たちが大事にされていないと思う点だったりするかもしれませんが、そうやって時代の要請に合わせながら変わっていくことでエンターテイメントとして長く愛され続けているわけですから、ファンとしては、そうした変化をも受け止めながら、対象がさらなる新しいファンを獲得し、より多くの人に愛されていく過程を見ることができる幸せを感じることができればいいのにな、と思います。

蠱惑暇(こわくいとま)

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