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映画「カラオケ行こ!」が大好きっていう感想と主題歌考察

映画「カラオケ行こ!」を観た。

久しぶりに好きが爆発した。狂児(ヤクザ)と聡実くん(中学生)という、超絶ファンタジーな組み合わせで、まさかこんなに胸が熱くなるなんて思ってもみなかった。今、わたしの胸はとてもポカポカしている。

紅(くれない)だーーーーっっ!!!!

作中、X JAPANの紅という曲が出てくる。

狂児はこの歌が好きで、終始キモい裏声で熱唱するのだ。この映画を観ると必然的に10年分くらいの紅を聴くことになる。狂児がカラオケの一曲一曲の歌の間に、必ず一回紅を挟むからである。

わたしはこの映画を観るまで、X JAPANを聞いたことがなかったし、紅という曲自体は知っていたけど「なんかパンクなバンドが歌ってる曲」という認識しか持ち合わせていなかった。

映画のラスト、すったもんだの末に聡実くんがこの曲を熱唱するシーンがある。
14歳の子供が泣きそうになりながら、学ランの第一ボタンまでキッチリ閉めて歌う紅は、かなり胸に響くものがあった。

声変わりでもう高い声が出なくなってしまうことに悩んでいた聡実くんが、死んだ狂児のために歌う紅。もう高い音が出なくなっていて、最後のチカラを振り絞って叫ぶように歌うシーンは、はっきり言ってスターウォーズEP8より緊張感があった。目が離せなくなった。
ハリウッド超大作の何千分の1の予算で作られているであろう本作品において、ものすごいCGもVFXも使われていない中、最も私の心を感動させたこのシーンは、若干16歳の新人俳優の演技力ひとつで完成しており、人間の持つエネルギーの強さに改めて感動してしまったのであった。

泣いているような、叫んでいるような。
怒っているような、狂児のこと好きだって言ってるような。(主観でごめん)
もうとにかくすごいエネルギー量で、若さという無限の宇宙を感じてしまう数分間だった。

こんなことを書いたらお婆ちゃんが過ぎるかもしれないが、やはり14歳は若い。わたしの年齢でこの曲をあのテンションで歌ったら、多分脳みその血管が2、3本切れて救急車を呼ぶハメになる。私の身体では、もうあのエネルギー量に耐えられないと感じた。
あれは中学生の身体だから耐えられる。そういう熱さと、熱量だった。
今年の映画界の新人賞は、全て聡実くん役の斎藤潤くんが掻っ攫って欲しい。総ナメにしてくれ。すごく良かったから。

この映画のおかげで、紅という曲が好きになった。なんかうるさいロックバンドが歌ってると思っていて、なんなら少し軽蔑の心で聞いていたこの曲が、今はもう「なんて切ない繊細な男のラブソングなんだ〜〜〜ッッ!」と、胸がキュウキュウに締め付けられる。

↑この予告編でも少し語られてるシーンなんだけど、作中で、英語の歌詞の部分を聡実くんが訳してあげて、それを狂児が読み上げるシーンがある。

あんたが去った時、俺は振り返られへんかった。
ハートがめちゃ痛い。
追いかけ続けてしまいそうで怖い。

アンタのマボロシ見てもうて、
真実見つけに真っ暗な街を走った。

記憶の中のあんたは、
俺の心の中で光ってるで。
ピカピカや。

…え、待って、こいつ超繊細じゃない?

関西弁に訳されたことでなんかいい感じに恥ずかしさが中和されてるけど、これ標準語に訳したら恋する中学生女子の日記になるで???これ、ゴールデンボンバーの女々しくてと並ぶくらい、繊細な男の歌やん……こんなん昭和のゴールデンボンバーやん、彼女に水商売を辞めてくれないかと歌うゴールデンボンバーと同じレベルで心優しいやん、鬼龍院やん、YOSHIKIってこんな歌詞書くんや、曲調の激しさで毛嫌いしとったけん気付かんかったけど、この曲、顔にに合わずめちゃくちゃ心繊細さんやんけ、

やっぱ実質、鬼龍院やん………



関西人でもないのに思わず関西弁が出てしまうほどに驚きが隠せなかった。

よくよく考えたら、
「紅に染まったこの俺を」って、夕焼けのこと紅って言ってる…? 

今まで勝手に「どうにでもなれ!死んでやる!」もしくは「もうどうでもいい、ぶっ殺してやる!」という、破滅衝動を紅って現してるのかと思ってたけど、
この人もしかして、河川敷で1人で夕焼けみてたりする…?????

本当は泣き出したいような寂しさを、素直に「さみしい」って言えなくて、友達にもそんなこと打ち明けられないから、仕方なく1人で泣いてて「慰める奴はもういない」っつてんの…?

だとしたらこの男、可愛すぎるんだが……

実質ちいかわよ。普通に弱くて脆くて可愛いもん。

恋人と別れて寂しくて、その感情を「紅」と表現するのはあまりに文系じゃない?!
普通「ブルー」とか、「白黒」「セピア色」とか言う所を、赤で表そうとするのはその人のセンスめちゃくちゃ出るな。魂の色なんやろな。YOSHIKIの根底にある色なんや、アツいな、私だったら、恋人と別れた時の怒りとか、センスねぇぞふざけんな感も混じり合ってドブ色とか言っちゃいそうだ。こういう絶望感とか、孤独とか、後悔の色を「紅」という色に例えられるのって、なんかすごく純粋な人なんだろうなと思った。

だって、大人になったら絶望ってもっと彩度低くない?孤独もそうだよ、人と別れて孤独になったな〜って思ったら、極限まで彩度落ちて世界が白黒になるじゃん。挙げ句、究極の絶望って真っ黒じゃなくて、通り越して真っ白だと私は思うんだよね。白だよ白、絶望の色は白色。でもアンミカ曰く白は200色あるらしいから、やっぱ感性は人それぞれだよな。この考察に正解なんかないよ。でも、この曲を書いたYOSHIKIにとって、絶望は紅という色だったんだな。
なんかそう思うと、この曲がすごく繊細で、純粋で、若いラブソングなんだなと思うようになった。

つまり、この曲は
聡実くんに、ピッタリだね〜〜!!!(号泣)


映画の終わり方も最高に好き。
「マボロシやったんとちゃう?」って友達に言われた時、心の中で「トトロか?!?!?!」とツッコまずにはいられなかった…
成田狂児、マボロシの男。聡実くんにとってのトトロ……!!ガラの悪い妖精!!夢だけど、夢じゃなかった!!!!はーーー最高ッッッ!!!
それでは聞いてください。little glee monsterで、「紅」……

これは余談なんだけど、小学生の時、合唱コンクール狂いの先生が担任で、一日中合唱曲歌わされてたから、学生の合唱曲ってトラウマレベルで苦手なんだけど、久しぶりに聴いたらやっぱ普通に頭痛くなってワロタ。新津先生、元気ですか。私は今でもトラウマを患っています!合唱コンクールはほどほどにね!!

てか
カ!のあとにファ!があるってマ…?????

やーん。楽しみ過ぎて狂う〜。

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