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スポーツ×会計税務 ~バスケットボールBリーグを切り口に~

皆さん、はじめまして。
KOSOパートナーズ公認会計士の宮本です。

私は主にスポーツを主軸にこれまで仕事をしてきまして、公認会計士の立場からスポーツビジネスを考えてみようと思います。
スポーツと会計、スポーツと税務の切り口で見た時様々なタッチポイントがあります。

<組織レベル>
選手と会計税務
クラブチームと会計税務
協会(NF)と会計税務
自治体と会計税務
学校法人と会計税務
事業会社と会計税務

<競技レベル>
サッカーと会計・税務
野球と会計・税務
バスケットボールと会計・税務

私はこれまで監査法人という立場、スポーツ用品を扱う外資系事業会社の立場、税理士事務所の立場からスポーツと関わってきました。
スポーツはどの立場を取るかで見え方や抱えている課題は様々なため、いろんな角度からこれまでスポーツを見てきたので、ある程度スポーツビジネスの大枠はわかっているつもりです。

経営目線で見たバスケットボールBリーグ

今回はバスケットボールのBリーグをテーマに取り上げてみようと思います。
なぜバスケットボールかというと、プロリーグの中でも一番経営的に進んでいると考えられる競技だからです。

もともとBリーグ誕生の経緯はJBLとbjリーグの分裂を川淵三郎氏の力で統合された経緯があり、外圧によって2016年に誕生したリーグです。
外圧があったこともあり、トップダウンによるリーグ改革がスピーディーにかつ大胆に行われてきました。

特にリーグ初年度からソフトバンク等の大きなスポンサーが付いたことで優秀な人材を獲得できていることもこの改革の大きな要因かと思います。
(総額120億円レベルと言われる契約ですが、川淵氏と孫氏の旧知の交流による成果と言われています)

デジタルマーケティングの活用

他の競技と比較して目を見張る改革ポイントは、SNSを含めたデジタルマーケティングです。
SNSでライトファンをコアファンにする仕組みや、タイパ重視でエンタメを楽しむ若者が楽しめるようなコンテンツを届け、リアルでも天候に左右されないアリーナで最先端の音響や照明を活用した演出で各クラブは着々と売上を上げることに成功しています。
(コロナによってダメージはありましたが、2022-2023年始シーズンは特に売上のCAGRが大きいものになっています)

プロ野球やサッカーと異なり、Bリーグはアリーナ(または体育館)で試合をできる点が経営の安定度を高める1つの要因となっています。
天気や気温に左右されず、スタジアムよりもコンパクトかつスポーツ以外の多角的な利活用ができる点は非常にメリットです。

スピーディーな改革

またBリーグは大きな改革をさらに行います。
これまで1シーズンの結果によってB2、B3リーグへの降格や逆に昇格を行う制度でしたが、これを昇降格を行わないクローズドリーグに2026-27シーズンから以降します。
このような大きな改革をスピーディーに実行するのは、まるでスタートアップ企業のようです。

なかでもファンにとってワクワクするポイントはアリーナの新設でしょう。新しいリーグレギュレーションに備えて全国各地でアリーナが数多く建設されていきます。

【2023年以降新設アリーナ】
・2023年 OPEN HOUSE ARENA OTA 群馬クレインサンダース
・2023年 SAGA アリーナ 佐賀バルーナーズ
・2024年 長崎スタジアム HAPPINES ARENA 長崎ヴェルカ
・2025年 神戸新アリーナ 西宮ストークス
・2024年 ららアリーナ東京ベイ 千葉ジェッツふなばし
・2025年 愛知国際アリーナ 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
・2025年 TOKYO A-ARENA アルバルク東京
・2026年 FE名古屋新アリーナ ファイティングイーグルス名古屋
・2026年 シーホース三河新アリーナ シーホース三河
・2028年 川崎新!アリーナシティ 川崎ブレイブサンダース)

出典:島田慎二氏Note(https://note.com/1105shimada/n/nda325c958d09)

クラブライセンス制度

Bリーグの売上は誰でも検索すればクラブ単位でみることができます。
これはリーグが各クラブチームに収支報告を求めており、それをリーグが公開しているからです。
そもそもリーグとクラブの関係をいうと法人格は全く別であるため、全くの別組織となります。

それなのになぜクラブチームがリーグ側に収支報告を行うかというと、Bリーグがクラブチームに対してリーグに所属して試合をする権利を付与(ライセンス)しているからです。

このライセンスはクラブライセンス制度という制度で具体的な取り決めが行われていますが、毎年クラブライセンス事務局が全クラブを対象にチェック(監査)を行い、ライセンスの更新を行っています。このライセンス制度を通して、クラブチームに対するガバナンスを利かせているわけです。
いってしまえばリーグがライセンスおよびランセンシーを管理するフランチャイズ本部で、クラブチームがライセンシーということになります。

クラブライセンス制度の財務基準の中には監査報告書の提出を求めています。
我々KOSOパートナーズは監査はもちろん、組織のガバナンス整備のお手伝いも可能です。

(注)Bリーグクラブライセンス基準 第10章 財務基準

F.05
監査
本基準は、B1ライセンスにおいてはA基準とし、B2ライセンスにおいてはC基準とする。
(1) 基準(B1ライセンスのみ)
提出されるライセンス申請者の計算書類は、監査法人または公認会計士による監査を受けていなければならない。
なお、当該監査報告書で否定的な意見が付されるかまたは意見不表明となった場合は、本基準は充足しないものとする。
237
(2) 提出資料
以下の資料は、事業年度終了後3カ月以内にライセンス事務局に提出しなければならない。
① F.01(2)①イに定める計算書類に係る公認会計士または監査法人の監査報告書

クラブライセンス交付規則 
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/r-33.pdf

さいごに

KOSOパートナーズは公認会計士チームとコンサルチームで、企業や個人のあらゆる課題を解決すべく日々取り組んでいます。
特にKOSOは“幸せ”を“創る”ファームとして、ありとあらゆる全てのステークホルダーの幸福度が高まることを目指しています。

スポーツはコンテンツそのものが、関与する全ての人を幸せにできるコンテンツだと思っています。
我々がスポーツに携わって感動を生み出している関係者皆様のお役に少しでも立つことができたら幸いです。

24年3月頃には日本で初めての「スポーツ×会計・税務」の書籍を発刊予定です。
今後少しずつではありますが、スポーツと会計・税務を中心に情報発信をしていきますので、少しでもご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。


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