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clusterのイベントでの集客のメカニズムを考える

こんにちは、イベントプロデューサー(的な)こはだです。

普段、clusterやVRChatで月に2回ほど、音楽イベントを開催しています。
盛り上げるためにはお客様がたくさん来場されるとうれしいものです。
そのためには、イベントの中身を作りこむだけでなく、イベントの集客についても考える必要があります。

そこで、いままでイベント運営をしてきて、ここが大事だと思うことについて書いてみますね。以下はclusterを前提としてお話を進めていきます。VRChatはぜんぜん違うメカニズムなのでまたおいおい…。


いつ開くか

人にはそれぞれの生活のサイクルがあり、ネットを楽しむ時間帯は大まかな傾向があります。

皆さんがよく参考にされている総務省の「情報通信白書(令和3年版):主なメディアの利用時間帯」によると、ネット利用は、平日だと12時台と夜21-22時台、休日だと、日中の時間が総じて平日より高くなり、夜20-22時第がピークとなります。

平日の昼12時は休憩時間であることが考えられるのと、必要な用事や連絡を済ませているであろうことを想像すると、時間選びとしては20-23時にするのがよいということが見られます。(年齢層やデバイスによって多少の差があると思いますが、そこから先は調べてみてくださいね)

結論:20-23時の間にイベントを開催するといいですよ。

かぶりを避ける

観客からすると、たくさんのイベントがあって選べる状況は幸せなことです。ですが、イベンターの立場からすると、準備してきたものをよりお客さんに見てもらえたり、協力してくれたスタッフさんや演者さんに報いるためにも、ほかの開催イベントを見て日時を決めることは大事です。

イベント開始時間の傾向

この表は今日(2024年2月19日)を境に過去一週間と未来一週間で、どの時間にイベントが開始されるかを集計したものです。

←過去 | 未来 →

過去1週間だけだと、実態とくらべてばらつきがあるはずなので、断言をしませんが、上のネット利用時間帯グラフと同じく、20時からイベントの数が増えて、0時までにはあらかた終わるような傾向を示しています。

ここにあるだけではない普段の傾向も思い出しながら、曜日別にみていくと、火曜日と木曜日は他の曜日に比べるとイベントの数が少ないように見えます。逆に、水曜日、金曜日、土曜日は激戦であることがうかがえます。

ここで気にすべきは、激戦であるはずなのに、イベントの数が少ない曜日×時間帯です。あとから予定が立つかもしれませんが、普段の傾向に対して、想定よりもイベントが少ない場合があり、そういうところはねらい目です。個人的な印象だと金曜日の夜は穴場になりがちです。そういう決め方は、直前にイベント日を決められるようなソロ系、突発系に向いているでしょう。
(誰か曜日×1時間おきのイベントの開催データを1年分くらいご用意いただけたら、標準偏差を出して穴場候補を探ってみたいところです)

ジャンル軸で考える

もう少し詳しく見ていくと、イベントの中でもジャンルが様々で、例えばよく見かけるのはこのようなところでしょうか。

お客さんの層が異なるものは、分散にはならないので、イベントかぶりとして深刻に考えなくてもいいと思います。(ただし、浮動するお客さんには影響します)

ほかに見ておいたほうがいいところ

ジャンルが異なれば気にしなくてもいいとは書きましたが、重ねないように留意しておいたほうがいい要素を挙げます。

  • イベントの「気になる」が50以上 … 注目度の高いイベントです。予見できたらジャンル問わず避けましょう。

  • 固定客の多い週一イベント … ジャンルかぶりだとお互いの固定客が分散し、あまりいい結果になりません。

  • ハロークラスター … 分類的には上と同じく、ジャンル問わず人が集まる固定客の多い定例イベントです。

  • フレンドさんの誕生日イベント … よほどの事情がない限りは避けたほうが賢明です。

どうしてもかぶりが避けられないときに

打てる手は2つあります。

早めにイベントページを立てる … サムネイルや詳細は仮でいいので、演者さん・スタッフさんの予定が調整できたら、速やかにイベントページを立てておきます。これにより、同じように他のイベントを見てどこにイベントを入れるか考えている方との不意のかぶりを回避できます。

同じ時間帯のイベント主催者に連絡する … イベントかぶりの対象がもしお知り合いなら、関係性維持のため、お詫びの旨一言入れるとよいと思います。お互い盛り上げる約束をして、フェスみたいにしちゃいましょう。(主催者以外の日程の都合があることをご理解いただけることが多いです)

結論:ねらい目は火・木の20時以降(2024年2月現在)、激戦区なのにイベント予定が少なければそこを狙うのもあり(ただし突発向き)。イベントかぶりは同ジャンルで判別し、事前人気があるものと固定客のついているイベントとのかぶりは避けましょう。

人があつまる理由を再現する

定性的な話になりますが、人がイベントに足を運ぶ理由は様々です。ここでは、音楽イベントに例えて、その理由を考察してみます。

イベントに足を運ぶ理由:

  1. その人の表現技術に興味があるから(=面白いもの、すごいものを見たい)

  2. その人と仲良しで、応援・交流しにいきたいから

  3. 自分のフレンドさんがそこにいたから

  4. 行くあてがなく「ホット」で一番上にあったから

というものがあると考えています。
上に行くほど、目的意識がはっきりしていて、下に行くほど、なんとなくな理由です。

それぞれに対してひも解いていきます。

その人の表現技術に興味があるから

これは、さらに分解すると、

  • 企画の切り口、テーマ性が面白い

  • 上記が期待につながる形で伝わっている

  • その期待を満足に変換する技術を持っている

という3つが成り立っている必要があると思います。いくら面白いネタを考えても、技術をいくら磨いても、それが期待に変わるように伝わらないと、すっごい良い内容だったとしても、人の集まりは悪くなってしまいます。

企画の切り口やテーマ性と、それが興味になるような形で伝わることは、本当に大事だと思っていて、似たようなイベントがたくさんあればあるほど、お客さんも慣れてきて、あえて「これに行こう」と選択する理由を探すのが難しくなると思います。

お客さんはたくさんの情報にあふれているなかで、それに気づいていただくためにも、イベントの楽しみ方を一行で言えるくらいに練り上げておくと伝えやすいですし、自分の中でも、やるべきこと、やらなくていいことがはっきりするし、協力者を巻き込みやすくなるということにもつながります。

こういった要素は、イベントページのタイトル名やフライヤーはもちろん、ソーシャルでのイベント告知にも反映させたいところですし、伝え方も文章だけでなく、予告のために、画像や動画を仕込むのも手でしょう。4W(When/Where/What/Who)の基礎情報だけでなく、そのイベントの楽しみ方が伝わるといいですね。

これがシリーズ化されているイベントなら、期待値が持続的となり、いわゆる「箱に人が集まる」状態になります。そのイベントに集まる演者さんは、その企画やテーマにふさわしい方として、箱に対する期待がそのまま演者さんに向けられ、演者さんへの期待は箱への評価に相互に作用するのだと思います。

そして、期待はずれにならないように、ちゃんとそれらを表現できるように技術のところはがんばりましょう。。。私も、ワールド制作に、DJに、VJと、いろいろがんばります。

その人と仲良しで、応援・交流しにいきたいから

これはイベントに足を運ぶ理由としてもっとも大きなものだととらえています。仲良しになる、というのは、普段からVRSNSにログインして、いつも顔を合わせるうち、行動を共にする、ということもあったり、フレンドのフレンドさんを紹介される、ということだったりすると思います。

それはイベントの集客を目的としてやることではなく、結果的にそういうことになる、というものだと思いますが、身近な人が頑張るシーンというのは内容を気にせず、目に焼き付けておきたいし、応援しにいきたいと思うものです。

なので、普段から様々な人と交流を図っておく、というのはパーティーを盛り上げるための土台になるのは確かだと思います。

なぜそうなるか、というのについて有名な考え方があります。

返報性の原理、と言って「人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く」というものがあります。

意識してても、していなくても、誰かが自分のことを応援してくれたり、自分のイベントに来てくれていたりすると、お返しに、相手のイベントに応援しにいこう、というのがこの心理に基づいています。

だけど、それを狙って形だけそういうことをしても見透かされてしまうでしょう!

自分のフレンドさんがそこにいたから

ここから先は、イベントの中身や主催者・演者さんが理由ではなく、受動的なものになっていきます。

頻度高く会うフレンドさんは、よくコミュニケーションをする上で、生活スタイルが似ていたり、お互いに好きなものがあったり、共通要素が何かしらあるのだと思います。

そういう共通点のある人が楽しんでいるということは、自分にとっても楽しいかも!?と期待したくなります。

何となく、さみしくて、誰かのところに行こう、って思って、フレンド欄を開いたときに、フレンドさんたちの居場所が、あるイベントに集約されていたら、そのイベントに行きたくなる可能性はとても高いでしょう。

これをどう考えるかは、最後に書きます。

行くあてがなく「ホット」で一番上にあったから

clusterで公式サイトを開くと「ホット」という欄があり、そのときに一番にぎわっているイベントやワールドが人の多い順にリストされています。

ちゃんとしたロジックはわかりませんが、人が多い順に並んでいるようです。
人が集まっているところは楽しいものをやっているのではないか、と期待値があがるのは確かで、これにはちゃんとしたメカニズムがあります。

バンドワゴン効果といって「ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果」というものです。

一つ上の「自分のフレンドさんがそこにいたから」のことも含めて、この原理をどう活かすか、で取れる作戦は以下のように考えます。

  1. 固定のお客さんにちゃんと来ていただける準備をする

  2. 来ていただいたお客さんを楽しませ、離脱しないようにする

この2つが大事です。へたっぴな絵ですが、

こういう風に、固定のお客さんがいて、その方々が離脱せずに楽しんでいただければ、このバンドワゴン効果によって、固定のお客さんのフレンドさんから始まり、あとは、cluster公式webのホット欄からさらに人を呼び込む状態につながっていくと考えています。

この普段つながりのない浮動のお客さんにも、そのまま止まって楽しんでいただけるように、イベント中での声掛けやあいさつも大事です。「自分には関係のない人たちの集まり」という心理的な壁を取り除けるように、オープンな雰囲気を作ってみましょう。(clusterさんへの要望: イベンター視点で、フレンドさんやご新規さんにご挨拶できるように、入場リマインド機能がオプションであると便利かもです!)

結論:企画のコンセプトをはっきりさせて、それが伝わるように工夫しましょう! いつも来てくれる固定のお客さんへのケアは大事に! はじめて見かけたお客さんには暖かい声がけを! その方々が楽しんでいただける限り、お客さんは自然と集まるはずです!

来れなかった人に次に来てもらう

もし、シリーズもののイベントをやっていたとして、次回も開催されるなら、次回開催のイベントの期待感をもっていただくためにできることがあります。

それは、イベントの内容がとても楽しかった、ということを自分ではなく、遊びにいらしていただいた方々から感想の形でご紹介することです。

本人が「すっごい楽しいよ!」「面白いものいっぱいあるよ!」と声高に主張しても、盛りすぎって思われたり、またか、と思われてしまうことは仕方のないことだと思います。

ですが、そういう宣伝する動機のない純粋に遊びに来ていただいた方が「楽しかった」と述べていただけることはとても大きな意味を持ちます。

なので、イベントの感想は、私のソーシャルの場で極力紹介させていただくようにしています。この場を借りて、いつもイベントの感想や、写真をたくさん上げてくださる皆様に感謝です!


というわけで、イベントに集客するために何ができるか、というのを過去の経験から整理してみました。この話が参考になって、頑張って準備したイベントにちゃんと人が集まる助けになれば幸いです! ではでは。

もしサポートをいただけましたら、制作活動を行う際のソフトウェア、アセットの購入資金に充てたいと思います!