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東京都監査事務局が住民監査請求の結果を公表 2~2月28日以降に起こること

住民監査請求監査と監査

 住民監査請求に基づく監査は、地方公共団体の住民であれば誰でも請求するという間口の広さと、今回の住民監査委請求を例にとれば、請求することができる内容が地方公共団体の違法又は不当な公金の支出がなされていると認められる場合のみという請求内容の大きな制限があるということについては、前回のnoteで申し上げました。

 今回の暇空茜さんの住民監査請求について、税理士、社会保険労務士に対する報酬の部分が一部認容される監査結果がなされ、これ以外は棄却又は却下となっています。ただ、これは棄却又は却下された部分の内容が監査委員の監査に付した場合に適正であるという監査結果が出ることを保障していないものであることは留意する必要があります。
 会計検査で違法又は不当な公金の支出であると認められた不当事項においてよくある事例として、適切な工事などを行っていないことによって工事の目的を達成することができないというものがありますが、このような事例が住民監査請求された場合、住民監査請求における違法又は不当な公金の支出である旨の監査結果がなされるかと考えると非常に難しいのではないかと思います。
 そのような側面があるからこそ、東京都監査委員は、請求を認容しなかった部分についても監査対象局に再度の精査を求めたのであると思います。
 したがって、2月28日までに提出される精査した資料による住民監査請求結果に基づく改善報告書の内容次第で、東京都監査委員による監査が改めてなされる可能性があるということでもあります。

東京都の定例監査について

 地方自治法第199条第4項に基づき、監査委員は、毎会計年度少なくとも1回以上期日を定めて地方公共団体の財務に関する事務の執行及び普通地方公共団体の経営に係る事業の管理を監査しなければなりません。
 東京都は、この監査を「定例監査」として監査を行っていますが、「令和5年度定例監査実施計画」において、令和4年度の事務及び事業についてなされる監査を令和5年1月6日から同年9月7日まで行うことと決めており、福祉保健局の監査は令和5年5月から6月に実施する予定となっています。

 定例監査において、東京都監査委員はテーマを設けて監査を行っていますが、令和5年定例監査においては、「都民生活の豊かさや東京の持続的成長を目指し、次なるステージに向けて展開している都の様々な施策を含め、監査対象局の事業の特性、社会経済状況や事業執行上のリスクを考慮して、局ごとにテーマを選定する」こととなっています。現時点では令和5年1月から3月までに実施する局の重点監査事項が現在設定されています。ここで、福祉保健局の重点監査事項がどのようなものになるのかが注目されることとなります。例えば、福祉保健局の重点監査事項が「委託契約について」と設定されれば、東京都監査委員は今回の住民監査請求監査でかなり大きな問題意識を持ったと考えてよいと思います。