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さらば永遠の逸材 田中正義

ついに移籍が現実のものとなりましたね
1/11、ホークスは近藤健介の人的補償として田中正義投手が日本ハムファイターズに移籍することを公表しました。

かねてより新庄監督が獲得を示唆するような発言があり、田中正義投手は人的補償の有力候補として挙げられていました。

プロテクトを予想した時から覚悟はしていましたが、いざ正式に決まるとやはり寂しいですね
素材が一級品なことは周知の事実で、春キャンプではいつもブレーク候補に挙げられておきながら、決まって怪我をすることからもどかしいい思いをしていたのはホークスファンだけではないはず

田中正義のプロフィール

出身:神奈川県 横浜市
球歴:創価高校ー創価大学ーソフトバンク(16年ドラ1)

プロ入り6年目の本格派右腕
高校時代からスペ体質で右肩痛に悩むと外野手転向を経験
大学進学時に投手に再転向すると、3年時にユニバーシアードに選出
NPBとの交流戦に登板すると7人連続で三振を奪い、一気に注目の的となった
※対戦打者(武田健吾、石川貢、岡本和真谷内亮太清水優心大嶺翔太、岸里亮佑)

その後も度々右肩痛に悩まされるも、登板時のパフォーマンスは圧巻で最速155km/hを計測するなど2016年ドラフトの目玉だった
ドラフト時には5球団が競合し(ソフトバンク、巨人、日ハム、ロッテ、カープ)、2015年に引き続きメイショウクドーが豪運で引き当てた
本人も希望球団の1つとしてソフトバンクを挙げており、獲得時にはこの笑顔であった

プロ入り後

いきなり3月中に肩の違和感でリハビリスタートすると6月まで登板がなく、1年目は2軍戦で1試合、3軍戦で7試合の計8試合に終わり早速暗雲が立ち込める

2年目 2018年はオープン戦から好調で、10試合に登板するも7月中に体調を崩し、そのままシーズン終了。ここまでスペ体質とは…

3年目 キャンプで右肩の張りからリハビリ組へ、この年は1軍で1試合

4年目 登板なし、この年は肘が痛かった

5年目 救援で自己最多の18試合に登板。結局この年が現状のキャリアイヤーとなった

6年目 開幕ローテの候補に上がるも、やはり右肩痛で離脱。コロナにも感染し、5試合の登板に終わる

誰がこうなることを予想できたでしょうか
6年間(実働4年間)の成績は
・34登板(全て救援)
・36回
0勝 1敗 2ホールド 0セーブ 35奪三振

全く稼働できませんでした
肩、肘、下半身、体調不良にコロナと逆に怪我していない場所の方が少ないのでは…?

アマチュア時代からのスペ体質は結局改善せず

投球スタイル

最速156km/hのストレートが最大の武器
初速と終速の差が小さく、糸を引いたようにミットに収まるストレートは壮観の一言
ストレートの被打率が2021シーズンは.146、2022シーズンも.182と分かっていても捉えることが難しい
その他、フォーク、カットボール、スライダー、カーブを持っており、フォークで三振を奪える

コントロールは通算のK/BBが2.2と特段優れているわけではないが、今季は1軍で6奪三振に対し四球は0、ファームでも1四球(6イニング)と改善傾向にある可能性がある
また1軍ではリリーフの登板のみとなっているが、2022シーズンは開幕は先発調整を行っていたことから、先発の適性も持ち合わせている


課題

なんといってもスペ体質。これに尽きる
プロ入り後はほぼ毎年と言っていいほど肩の異常に悩まされており、肘にも故障歴がある。
アマチュア時代には足も故障しており、むしろ球速を維持して投げられている方が奇跡なのかもしれない

ホークス側から見た田中正義の流出

来季29歳のシーズンを迎える田中正義はホークス投手陣の中では中堅からベテランの立ち位置。
昨年開幕前に期待されていた先発の枠は新加入のガンケル有原航平、中継ぎから配置転換の藤井皓哉森唯斗らでいっぱいであり、残されたのは経験のあるリリーフ
そのリリーフもオスナの加入によりモイネロがセットアッパーに復帰。任されるであろう点差が開いたり、長いイニングのリリーフは現役ドラフトで加入した1つ下の古川侑利と争う形になっていた
素材の高さは誰もが認めていたが、年齢、ポジション、稼働率の低さと他の選手のプロテクトを外してまで守るべきかと言われたら優先度は低かっただろう
特に単年リリーバーは育成からでも育て上げることができるノウハウがすでにホークスの中では確立されつつあるので、リリーバーの立ち位置は相対的に低い

むしろ近年育成に苦労していた先発投手や若手野手を取られなかったぶん、ホークス的には許容範囲だったのでは?と個人的には思います。


野手のプロスペクトは少ない印象
赤字は育成選手

日ハム側から見た田中正義獲得

田中獲得前で日ハムの支配下数は65人。そのうち投手が36人で野手は29名。かなり投手の数が多い。
オフに日ハムは支配下野手でヌニエス杉谷拳士片岡奨人宮田輝星上野響平を構想外にし、トレードで石川亮渡邉諒高濱祐仁佐藤龍世を放出した。
支配下投手では谷川昌希望月大希金子千尋が構想外に柿木蓮が育成契約、古川が現役ドラフトでホークスに移籍した。
獲得したのは江越大賀齋藤友貴哉山田遥楓松岡洸希齋藤綱記といずれもリリーフ投手守備が売りの野手だった。

オフは積極的な動きを見せる日ハム

チーム総得点がリーグ最小、先発防御率はリーグ3位の3.26ながら救援防御率は最下位の3.83であり、特に救援は最多登板がルーキーの北山亘基という有様。その他のリリーバーは吉田輝星玉井大翔堀瑞輝石川直也古川侑利ロドリゲスらで、この中で安定していたのは玉井とロドリゲスくらい。
確かにリリーフ整理は急務だったので補強ポイントとは一応合致してます。
近年何かと負担の多いリリーバー、こんなんなんぼあってもいいですからね。

ルーキーイヤーからフル回転した北山

しかし素材では一番だったかもしれないが、リリーフとして何より致命的なスペ体質という問題を抱えた田中正義はかなりの博打だろう。
ハマれば球界トップクラスのリリーバーになる可能性がある一方で、全く投げらない可能性もある、まさに0 or 100の選手。
決して若手ではない年齢な上、同じくロマン枠のリリーバーとしてトレード加入の齋藤友貴哉もいる、しかもこちらは年齢が1つ下である。
齋藤はプロ入り後の目立った故障歴はなく、制球さえ改善されればハマる可能性は高い。
他にホークスのプロテクトから外れた可能性のあるリリーバーでは高橋礼髙橋純平笠谷俊介椎野新田浦文丸あたりか。いずれも今季は不調であったが高橋礼、髙橋純平は一軍での実績があるが、ロマンという観点では田中正義以上にインパクトを与えられなかったのかもしれない。
北海道出身で本格は左腕として評価の高かった木村大成もおそらく外れていただろうが、同世代の左腕で松浦慶斗、1つ上に根本悠楓と近い世代でプロスペクトを抱えていたことから対象から外れたのか?

注目の道産子左腕こと木村大成は残留



野手に目を移すと牧原巧谷川原健太リチャード増田珠野村大樹川原田純平川瀬晃笹川吉康水谷瞬らがほぼ確実に外れてそうで、大穴で上林誠知あたりか。

中でも目玉は一軍戦力の谷川原健太やファームで別格の成績を残しているリチャード、一定の打力がある増田珠、野村大樹であろう。
しかし捕手は新加入の伏見虎威マルティネス宇佐見真吾清水優心古川祐大とかなり豊富であり、補強ポイントではない。
内野ではドラフトでも二遊間を守れる加藤豪将奈良間大己を獲得。昨年も水野達稀上川畑大悟を指名しており、トレード獲得の山田を含めUTタイプは揃っている。

異色のルーキー加藤豪将
日ハムの救世主となれるか


大砲候補も清宮幸太郎を初め、野村祐希万波中正と両コーナーを任せる、率は低いが1発の魅力がある若手はおり、昨季ブレークの兆しを見せた伸び盛りの3選手と同じタイプを加えることは嫌ったのかもしれない。
一方で外野手には本来内野登録のアルカンタラや捕手登録の古川を起用しているなど苦しい起用法があった。
レギュラーが確定しているのは松本剛のみであり、その他を今川優馬万波中正五十幡亮汰浅間大基らで争う形である。江越大賀をトレードで獲得したが、ご存知の通りコンタクト能力にはかなりの課題があり、レギュラーで起用するのはかなり怖い。

課題の外野陣
五十幡も怪我さえなければ、、、

五十幡、浅間もスペ体質であり、本来であればレギュラー候補となる外野手を補強したかったかもしれないが、ここ数年不調続き且つ故障明けの上林を獲得するのはそれこそ大博打であり、かといって未知数な水谷、笹川を取るわけにもいかずといったところか。

野手のデプスは少ない


だったらハマった時のリターンが最も大きい田中正義にベットしようとなったのか
実際ドラフト時にも指名しており、マークしていたのは間違いないだろう
これだけスペっても獲得したということは、何らか活かす自信があるということでしょう。

最後に

5球団競合の逸材はついにホークスの巨大戦力の中では日の目を浴びることはりませんでしたが、日ハムという若いチームでその才能を開花させて欲しいと心から願っています。
投げれば宝石のようなジャスティス
投げなければただのアラサー
果たして今回の移籍はどう転ぶのか
田中正義の新天地での活躍を祈って締めたいと思います

それでは次の更新で

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